*invitation5*



*一期設定



許せる方のみど〜ぞ




まだ眠い、そんな様子のライルはとても可愛くてずっと眺めていたいくらいだった。
だからと言ってブリーフィングに遅刻するわけにはいかず、ぼーっとして固まるライルを急かす。

「お前さん低血圧なんだよなぁ」
「…ごめん…がんばる…」
「うん…ダメだ可愛すぎる」
「……ん?」

ライルは俺の発言に小首を傾げつつもたもたと顔を洗う。
タオルを差し出してやるとふにゃりと微笑まれた。
その表情に狙い撃たれたのは言うまでもなく、そのまま唇を奪う。

そんなこんなでじゃれついていたらかなりヤバイ時間になっていた。





「に、兄さんちょっ待っ…」
「しっかり抱き着いてろ!離すなよ!」

背後から首に腕を回させたおんぶ状態で、微重力の通路を駆ける。
壁を勢いよく蹴ってブリーフィングルームまで急いだ。
ギリギリで到着してとりあえずライルを落ち着かせる。

「大丈夫か?」
「だいじょぶ…無重力空間とか初体験でちょっと身体がついてかないだけだから 」
「だよなぁ。……よし、落ち着いたか?」
「ん、オーケイ」
「じゃあ、行くぞ」

このドアの向こうには、マイスター全員が集まっているだろう。
ライルの手を強く握り、決意新たにドアを開いた。

「よぉ!おはよーさん」

目を見開く三人と、苦笑しているスメラギ。
いち早く口を開いたのはやっぱりというかなんというか、ティエリアだった。

「なんですか、それは」
「それって言うなよ、人間に対して」
「質問に答えて下さい」
「ロックオンが二人いる…」

毅然と俺を睨みつけるティエリアに、俺達を交互に見て呟くアレルヤ、無言のままライルをじっと見ている刹那。
三者三様の様子に面白くなりながら、ライルの手を引き中心まで向かった。

「コイツは俺の双子の弟で、名前はライル。昨日さらってきちまった」
「万死に値する」
「おおっ、いきなりそれか」
「貴方にはマイスターとしての自覚はないのですか。一般市民に自らバラしてどうする。その上トレミーに連れ込むなど、万死だ!」
「なにか理由があったんですか?」

ティエリアの言葉など意に介さないアレルヤが横から口を挟む。
ティエリアが自分を睨みつけたことだって気付きやしない。

「理由っつぅか…爆発、っつぅか?」
「ばくはつ、ですか」
「うっかり会っちまって。もうその後はなし崩しでさらっちまった」
「貴方は自制が利かないんですがいい歳して」
「利かなかったんだよなぁそれが」
「そのふざけた口調をやめて下さい」
「悪い悪い。だってさ、俺はコイツのこと愛してるんだよ」
「愛…」

今まで無言だった刹那がポツリと呟いた。
刹那に睨むまではいかないが、強い視線で見詰められているライルは居心地が悪いらしく視線をさ迷わせている。

「だからなんだと言うんだ、意味がわからない」
「愛してると、爆発的な衝動に駆られることがあるってことさ。お前さんにはわかんねーだろうな」

ティエリアがぐっと唇を噛み締めた。
アレルヤは目を見開き「愛かぁ…そうなんだぁ」などと呟いている。
俺に何を言ってもかわされると思ったのか、ティエリアが矛先を変えた。

「スメラギ李ノリエガ!貴女は知っていたんだろう!何故すぐに追い返さなかっ た!」
「なにもせずにハイサヨナラって放り出せるの?彼はデュナメスに乗ったし、トレミーにも乗船したのよ。なによりマイスターの正体を知ったわ」
「っ…!しかし!」
「逆にここから出さない方が得策なんじゃないかしら?」

ティエリアは遂に口を閉ざした。
心の中でスメラギさんに称賛の言葉を叫ぶ。

「…私は反対だっ…ここは、戦場なんだぞ」

苦しげに呟いたティエリアの言葉に目を見開いた。

「…まさか、ライルを心配してくれてる、のか?」
「ッ!断じて違うッッ!もういいこれ以上ここにいたくない、私は戻る!」
「おっと」

俺達の横を通り抜ける際、ライルをもの凄い形相で睨み付けていく。

「…ツンデレ?」
「微妙なとこだな」
「…さて!二人は異議なし、かしら?」

ライルの問い掛けに肩を竦めると、スメラギが大きな声を出し残りのマイスターを見た。
俺達も残った二人を見遣る。

「僕は構いません」
「……俺も、別にいい」
「そう!良かったわね、ロックオン」
「あ、あぁ。サンキューな、二人とも」

案外すんなりとライルの存在を認められ拍子抜けした。
ティエリアはまだ認めていないだろうが、無理にライルを追い出すことはしないだろう。
少しばかりティエリアとの連携が取りにくくなるだろうが、そこはリーダーの腕の見せどころってわけで。

「え、と。ライル、でしたよね」
「あぁ」
「僕はアレルヤ・ハプティズム。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
「…………………」
「……アイツは刹那、刹那・F・セイエイ。ちょいと人見知り?」
「なんで疑問形?えーと、刹那。俺はライル、よろしくな」

ニコニコと挨拶するアレルヤと違い、先程から無言の刹那に代わり紹介をしてやる。
愛想よく刹那に向かうライルを、刹那はやはり無言で見詰めるだけだった。

「…えーとっ。それでライルには貴方達のサポートもしてもらうから」
「サポートというと?」
「まぁ色々よ。ドリンク渡したり些細なことをね」
「なんだかちょっと気恥ずかしいな…。でも嬉しいです、ありがとうライル」
「や、まだしてないし、礼を言われる程じゃねーって」

とりあえずアレルヤとは仲良くやってもらえそうで安心した。
ティエリアも敵意は持っていないだろう。
予期せぬ問題は全く意図の掴めない刹那だ。

「おしっ、じゃあ朝飯行くか!」
「オーライ兄さん」
「あ、僕もご一緒していいですか?」
「おう、もちろん。…刹那、お前さんはどうする?」

ライルに興味がないから黙っているのか、いやそれはない。
先程からの射るような視線は興味がない筈がない。

「……あぁ、行く」
「じゃ、皆で行くか。スメラギさんは?」
「私はブリッジの皆に報告しに行くわ、貴方達だけでどうぞ」
「オーケイ。ほら行くぞライル」

ドアの1番近くにいるライルの背を押し外へ出る。
途端に浮いた身体に驚いたライルを捕まえバーに導いてやった。

「ははっ、慣れないか?」
「慣れねーよ」
「微重力は慣れれば楽チンだぞ」
「だろうな」
「…あの、二人は双子、なんだよね?」

後ろに続いていたアレルヤがそう問い掛ける。

「あぁ、そうだ」
「さっきライルが兄さんって呼んだから、不思議に思って」
「あ〜…まぁなんつうか昔から?」
「……そうだな」

ライルが俺を兄さんと呼び出したのは、俺と距離を置きはじめたあの頃だ。
あの頃バカだった俺は、その呼び方を素直に喜んだ。
ライルが背を向けいなくなるまでは。

家族がいなくなってからはその呼び名はまた違う意味を持った。
自分達が家族であると、強く感じることが出来る呼び名だ。

「双子でもそういうのがあるんだね」
「そういうことだよ。それに俺はここではロックオン・ストラトスだ。本名で呼ばれるのはちょっと、な」
「つか、思ってたんだが」
「ん?」

ライルが急に眉間に皺を寄せ俺を見詰める。
ライルの言葉をアレルヤも待っているのが空気でわかった。

「なんなんだ?そのこっ恥ずかしい名前」
「こっっ……」

あんまりにもあんまりなライルの発言に俺は目を見開き固まる。

「だって、ロックオンて。笑っていいのかけなしていいのかわかんなくて」
「笑うなけなすなっ!お前なぁっ、酷いぞ!」
「いやいやいや…え、なに、アンタ自分で付けたわけか…?」
「ぅおおいっ!その憐れむ目を止めなさい!」
「ぷっ…ふふっ…あははっ」
「アレルヤ…」
「す、すみません、だっておかしくて」
「お前なぁ……」

アレルヤを見た流れでその後ろの刹那に視線が止まった。
まだ刹那はライルを見詰めている、その瞳に何か、揺らめくモノを見た。

「…刹那?」
「なんだ」
「ぁ、いや……お、着いたな」

俺と目を合わせた時にはその揺れは消え失せ、いつもの憎たらしい程澄んだ瞳に戻っていた。
胸をジリジリと焦がす得体の知れない何かに首を傾げつつ、食堂のドアを開く。

「おっ」
「………ロックオン・ストラトス、後で話があります。食事を終えたら連絡を」

ちょうど食事を終えたらしいティエリアが俺を睨み付け、横を通り抜けた。

「りょーかい」
「…えと、アイツは」
「あぁ、ティエリア・アーデ。厳しくてキツくて怖いけど、根は優しい奴、だと思うから安心していい」
「ふぅん…なんか、憎めない感じ?」
「ま、そんなとこだな。お前にもキツく当たると思うが、アイツの言うことやることは全部相手のため、皆のためを思ってやることだ。
自分が気に食わないから とか、そんな理由で突っ掛かってくることはない」
「…そか、わかった」

微笑むライルの頭を撫でて、イスに座るよう促した。
二人分の食事トレイを持ってライルの隣に腰を下ろす。
自然とアレルヤが俺の前に座ると、刹那も迷わずライルの前に座った。

刹那が至近距離で食事を摂ることさえ珍しかったが、あのタクラマカン砂漠以降 、俺達は自然と食事も共に出来るようになっていた。
俺は、刹那はアレルヤの隣、ライルのいない方を選び座るだろうと予想していたのだ。

刹那は人と距離を置く。
慣れるまでに時間が掛かる。
そう思い込んでいたのに、彼は迷わずライルの目の前に座った。

「…兄さん?」
「あ、あぁ、悪いボーッとしてた。食え食え」
「いただきます」

刹那は何事もないようにフォークを口に運んでいる。
アレルヤの他愛もない話題に乗り会話をしながら進める食事。




あらかた平らげたところで、ライルのトレイの中身がまだまだ残っていることに気が付いた。

「ん?どした、口に合わなかったか?」
「いや、そうじゃなくて…あー…」
「ん?」
「……ごめん、もう腹一杯だ」
「……は?」

そうは言っても、中身はまだ半分は残っている。
ライルの顔を覗き込み、本当なのかと窺った。

「俺、低血圧だろ?」
「あぁ」
「朝はあんまし食えないんだ…。気持ち悪くなる」
「…そう、なのか。でもちゃんと食べないと身体に悪いぞ?」
「そう思って朝は栄養バッチリのゼリー飲料だったんだけどな、今まで」
「ゼリー飲料なんてダメだ、頭が働かないだろ」
「そうは言っても、気持ち悪くなるんだって」
「でもなぁ」
「食えないと言っているんだ、無理に食わすことはないだろう」

突然の発言者に驚いて固まる。
発言者、刹那は真っ直ぐにライルを見ていた。

「俺が残りを食べる」
「…え、でも」
「捨てるのは勿体ない」
「あ、あぁ…その、悪い」
「問題ない」

目の前で交わされる刹那とライルの会話が遅れて脳に届く。
呆然としていたためか、アレルヤに控えめな声で呼び掛けられた。
慌てて笑顔を作り、なんでもねぇよと返す。

「でもな、ライル。なるべく食べるようにしような?」
「ん…努力はするさ」
「刹那、悪いな。次からは俺が食べるからお前さんは…」
「大丈夫だ、お前はいつも俺にたくさん食べろと言っている」
「…そうだけどな…」

思わず笑顔が引き攣るのを感じつつ、この胸の靄を払うためにテーブルの下でライルの手を強く握った。
ライルは怪訝そうな顔で俺を見るが何も言わない。
しっかりと握り返してくれたことが嬉しかった。




「さて、と。みんな食べ終わったことだし、戻るか」
「そうですね」
「あー…俺はティエリアにお説教を受けに行かんとだな…」
「兄さん、俺も一緒に…」
「俺をご指名だからな、ライルは暫く部屋で待っててくれ。心配しなさんな、ち ょっと怒られるだけだからさ」

ティエリアの説教は長いが我慢すればいいわけで。
今はそんなことよりあの最年少のマイスターが気になって仕方ない。

「刹那、この後は俺と連携訓練だな」
「あぁ」
「遅れたらごめんな?ティエリアのせいってことで許せよ」
「わかった」
「んじゃ、後でなー」














自室に戻り、ライルに話題をふってみた。

「なぁ、刹那のことどう思う?」
「刹那?あぁ…んー…よくわかんねーけど、イイ奴、かな?」
「…んー…俺も今わかんなくなっちまった」
「はぁ?なにそれ」
「最近はわかり合えてきたと思ったんだがなぁ…」
「確かにアイツなんか難しそうだしな」
「笑い事じゃないぞ…前は悲惨だったんだ」
「ハハ、またの機会に聞くよ」

笑うライルにキスをし、ティエリアの説教を受けるべく部屋を出る。






なにはともあれライルといられる環境が整った。
ココはティエリアの言う通り戦場だ。
ライルに及ぶ危険は地上の比にならない。

それでも、俺はライルを死なせない。

ライルと生きる未来のために、俺は戦うんだ。

ライルの傍にいていいと言われたから、俺はその居場所を全力で守りたい。










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やっとここまできたああああああああああああああ
やっとみんなにお披露目できたああああああああ!!!!

アレルヤはもの凄くマイペースで、あまり周りを気にしない人って思ってました。
刹那のほうがよっぽど他人を気にかける。
ティエは自分の懐に入れた人間にだけ全力を注ぐ。そもそもCBしか知らないですしね。

二期からはこの三人ももっと変わった印象ですね。
ティエが特にね(笑)

そんなこんなでライル乗船おめでとう!!^^
これからの展開はギャグ寄りになると思います!

せっさんもしっかりライルにフラグ立たせましたようふふ

兄さんガンバレ編が始まります←



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