*いぬとの生活*



*パラレル設定
*刹那17歳、バイト生活中
*ライル(186cm笑)に犬耳尻尾がついてます



許せる方のみど〜ぞ




「なんだ?……うで?!」

バイト帰りに通る公園。
ちょうど飲み終わった缶ジュースを捨てようと中に入ると、茂みから白い腕が出ているのに気付き驚いた。
幽霊、などという文字も脳裏に浮かんだが、とりあえずその正体を知るために茂みの中を覗き込む。

「………犬?」

正体は、ぐったりと倒れた犬だった。
正確には、獣人と呼ばれる種族の犬科だろう。
彼らに人権はなく、普通の動物と同じようにペットとして飼われていることが多 い。
胸が上下しているから死んではいないようだ。
茂みを乗り越え犬の傍に膝をつく。

「は、はっ、はッ」
「具合が悪そうだな…おい、おいっ」
「う、ハッ、あ゛、はぁ」

犬は苦しそうに表情を歪める。
紅潮した頬と汗を見て、病気ではないかと額に手の平を当てると異常に熱かった。
自分の中に放っておくという選択肢はなく、その犬を担ぎ上げる。
随分と身長が高いことに気付き軽く舌打ちをしたが、体重が軽いことが幸いし運び出すことができた。

今の時間帯は夜だ。
深夜と言っても過言ではない。
獣人も診てくれる動物病院はとっくに閉まっているだろう。
仕方なく知り合いの医者のところへ足を向けた。

獣人の造りは人間とあまり差異がないから、人間専門の医者でも大丈夫だろうと思って。










「う〜ん、こんな夜中に誰だい?」
「すまないカタギリ、急患なんだ」
「刹那…?」

同じマンションに住んでいる友人の親友である、人が良いビリー・カタギリは少し困った顔をしたが迎え入れてくれた。
犬を見て更に眉を下げる。

「僕の専門は人間だよ」
「わかっている。しかしお前にしか頼めない…。熱が高いんだ、助けてやってくれ」
「全く…グラハムも君も相変わらず無茶を言うね。でも、獣人ならなんとかなるかな。そこに寝かせて」

カタギリは下ろしていた髪を高く結い上げ、改めてその犬を見る。
暫く触診していたカタギリは表情を緩めて顔を上げた。

「ただの風邪かな。熱は高いみたいだけど、悪質なウイルスの症状も見当たらないし、薬を飲ませて体力を回復させれば元気になるよ」
「そうか、ありがとう」
「…ところで、この子どうしたんだい?」
「公園で倒れているのを見付けた」
「野良かな。登録証も見当たらないし…。だとすると、回復しても保健所かぁ」
「……公園に戻してやることは?」
「法律上ダメなんだよ。公園に戻したところで捕まってしまうだろうね」
「…どうすれば…」
「飼い主を見付けるしかないかな。子犬ならすぐに飼い主がつくんだけど…彼は随分と大人だからねぇ」

二人して眠る犬を見下ろす。
白い肌に、ブラウンの柔らかい髪
髪の間からひょっこりと出ているカタチのいい三角耳、力なく垂れ下がっているしなふさふさの尻尾

光の下で改めて見た容姿は息を呑むほど美しかった。

「………ソッチ系のおじさまには飼ってもらえそうだけど」

カタギリの呟きに、思い切り嫌な表情をしてしまった。
カタギリは苦笑しながら「冗談だよ」と言うが、あながち冗談で済みそうにない 。

「とりあえず、点滴を打つから」

カタギリは診察室を後にし、残された俺は犬をもう一度よく見た。

「……目を、見たい」

ふとそう思ったのだ。
この綺麗な犬の瞳は、何色なのか。
声も聞いてみたい。

「…早く、元気になれ」

犬の頭を一撫でして、診察室を出た。













『うん、目を覚ましたよ。起きた時は暴れて大変だったけどね。今?今は落ち着 いてるよ。知らない場所だったからビックリしただけみたい、凄くいい子だよ』

バイトの休憩中にきたカタギリからの電話で、ずっと気になっていた犬のことを 聞けて胸を撫で下ろす。

「まだ熱はあるのか?…そうか。帰りに寄る」
『わかった。待ってるよ。バイト頑張ってね』
「ありがとう」

電話を終えると、休憩時間もそろそろ終わりだと気付いて片付けを始める。
頭の中を占めるのは、やはりあの犬のことだった。





カタギリにお礼の意味を込めてドーナツ詰め合わせを買い、病院を訪れる。
カタギリは嬉々としてドーナツを受けとって病室に案内してくれた。

窓際のベッドの上、枕を背もたれにして外を見ている犬が一匹。

「コラ、寝ていないとだめじゃないか」

カタギリはそんな彼の姿を見てやんわりと叱る。
振り向いた彼は困ったように微笑んでみせた。

「寝過ぎて身体が痛ぇよ」
「でもまだ熱があるんだから、安静にしてないと。あ、そうだ。紹介するよ。彼が君をここまで運んできた、刹那・F・セイエイ君」
「……アンタが」
「…具合はどうだ?」

犬の傍まで寄り、その瞳の色をしっかり見るために下から覗き込んだ。
戸惑いに揺れる彼の瞳は、青の中に緑を落としたような、澄んだ色をしていた。

「…あ、の…。ありがとな…助かった」
「いや、気にするな。元気になったようで良かった」

そう言ってやると、彼はふんわりと微笑み、その表情に目を奪われる。

「…お前、うちに来ないか?」
「は?」

ごく自然に口から滑り出た言葉に、自分自身も驚いていた。

「…せ、刹那?君、そんな余裕…」
「しかし、このまま放り出せば保健所行きだろう」
「でも、そんなに大きくなるまで大丈夫だったんだから………あ、もしかして君 、飼い犬だったのかい?」
「…一応、つい最近まで。だけど主人が辛そうだったから、出てきたんだ」
「辛そう?」
「海外に移住することになって、そこでは獣人差別が厳しいからって…俺を連れ ていくか迷ってた。だから…」
「だから家出したのか」
「ここまで育ててもらった恩返しだよ。俺からいなくならなきゃ、アイツはきっと俺を捨てられない」
「……お前の名前を、聞いてもいいか」

彼は目を見開き、戸惑いながらも口を開く。

「…ライル。前の主人に、そう名付けられた」
「ライル…。俺と一緒に暮らしてくれないか?」
「…アンタまだ子供だろう。ペットを飼う余裕なんかないんじゃねーの」
「問題ない」
「刹那…君、マンションでしょ」
「うちのマンションは動物はダメだが獣人なら飼ってもいいらしい」
「気持ちは嬉しいけど、遠慮するよ。そこまで迷惑かけらんねぇ。捕まらないよ う頑張って…」
「駄目だ」

グッと強く白い手を握り、彼の瞳を真っ直ぐ見据えた。
どうしても、彼を手放したくない。
首輪をつけて、鎖で繋いで、ずっと傍に置いておきたいと
自分の中に芽生えた仄暗い感情に驚きつつも言葉を紡ぐ。

「お前が欲しい」
「ッ……あ、え、ぇと…」
「…はぁ〜熱いね、刹那。僕はびっくりだよ…。ライル、もう諦めた方がいいんじゃないかな」
「でも、俺、もう大人だし、家事もたいしてできないし、愛玩にもならねぇし… 」
「なにもしなくて構わない。ただ、俺の傍にいて欲しいんだ」
「………せつ、な」
「ライル、一緒に暮らそう」

彼は、ゆっくりと頷いた。










「すまない、グラハム」
「なにお安い御用だ、少年!私も会ってみたいのだよ、君が一目惚れした姫君に 」
「……オス犬だ」
「はっはっは!細かいことは気にするな!」

数少ない友人である、グラハム・エーカーの車で病院へ向かう。
ライルはまだ本調子ではないため、移動手段として車を選んだためだ。
自分はバイクの免許しか持っていない。

「ところで、首輪は買ったのかな?」
「あぁ。タグも作ってもらった」
「友人が一人増えるのは楽しみだ。今夜はパーティをしよう」
「ライルはまだ本調子じゃない。後日にしてくれ」
「そうか、それは残念だ。では明日」
「…俺から連絡する」
「なるべく待っていよう」






病院の小さな駐車場に車を停め、ライルを迎えに行く。

「やぁ、来たね」
「刹那」
「ライル、待たせた。具合はどうだ?」
「もう大丈夫だ」
「あとは体力の回復を待つだけだよ」
「やぁカタギリ!そして君が噂の姫君か!!」

グラハムの大声に、耳をピンと立てて驚くライル。

「ふむ、美しいな!少年が一目惚れしただけはある。私はグラハム・エーカー、 彼の友人だ。したがって、君の友人でもある。以後よろしく頼む!」
「………えぇと」
「ライル、あまり気にするな。悪い奴じゃない」
「あ、あぁ。えと、ライルだ。よろしく」
「白魚のような指をしている!」

グラハムは握った手を見て目を輝かせ、口元まで運び指にキスをした。

「うわっ?!」

ライルの悲鳴を聞いて、思わず手が出る。

「いたい!」
「さ、触るな」

グラハムの手を払いライルの手を取り戻し握り込む。

「なにをする、少年」
「貴様がなにをする。ライルが汚れる」
「なんと!私の口づけは姫を汚すと?!」
「当たり前だ!」
「まぁまぁまぁ二人とも。僕もヒマじゃないんだよ。ロビーの真ん中で漫才はやめてくれないかな」
「…漫才ではない」
「すまないカタギリ。すぐに立ち去ろう。行くぞ少年!」
「……迷惑をかけた。ありがとう、カタギリ」
「あ、ありがとな、センセ」
「どういたしまして。元気でね、ライル」






車の後部座席に収まったライルは、しきりに尻尾を振っていた。
犬の感情表現は実にわかりやすい。

「…嬉しいのか?」
「へっ?!い、いや、その…俺、ドライブって好きなんだ」
「そうか!では少し遠回りをして帰ろう。いいかね?少年」
「…頼む」
「任された!」

グラハムが嬉々としてアクセルを踏み込む。
ライルは流れゆく景色を眺め、嬉そうに尻尾を揺らした。





「まだお前を迎え入れる準備は整っていないのだが…」

一人暮らしにしては大きめの部屋。
養父母がセキュリティがしっかりしたところがいいと借りてくれた部屋に、住人が増えた。

「…刹那の匂いだ」

ライルがそう呟くから、自分の服の匂いを嗅ぎ首を傾げる。

「すまない、臭うか?」
「あっ、違う違う!今まで薬品の匂いばっか嗅いでたから…なんか、あったかい匂いで安心した」
「……そうか」

ライルをリビングまで連れて行き、二人掛けのソファーに座らせる。
昨日購入した新品の首輪を棚から取り出し、ライルの背後に回った。

「首輪をつけるが、構わないか?」
「もちろん。俺は刹那のペットだからな」
「…似合うといいが」

選んだものは、深紅の革製の首輪。
チャリ、と、十字架のチャームとタグが擦れて鳴る。
正面に回ってライルを見下ろした。

「…よく似合う」
「…ありがとな、刹那。なんかお洒落だなぁ、恥ずかしいかも」
「お前は肌が白い。だからきっと赤が似合うと思った」

頭を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細め尻尾をちぎれんばかりに左右に振った。

「俺…やっぱり寂しかっんだ…。何度も家に帰りそうになった。でも必死で堪えて…」
「あぁ、そうだな…。偉いぞ、ライル」

ライルの頭を抱きしめ、宥めるように背中を撫でる。

「俺はお前を離さない…だからずっと傍にいてくれ。勝手に消えたりなんて、しないでくれ」
「………ん、わかった。ご主人サマ」

擦り寄るライルの頭を強く抱き、気付かれないよう小さく安堵の溜息を零した。

きっと前の主人も、ライルを手放したくなどなかったのだろう。
でも、ライルの身に危険が及ぶかもしれない状況になり、ライルと離れるか悩んだ。


その時点で、ライルを手放したと同然だとも気付かずに。


もしかしたらライルを捜しているかもしれない。

だが、もう



「俺のものだ…」

柔らかな髪の毛を指で弄び、揺れる耳にキスをした。








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基本ライルはにゃんこタイプだと思うのですが
わんこでもいいじゃない!!!
絶対頭の良いわんこです。
兄さんの場合は少しアホなわんこだといいです(笑)

刹那に懐いてわふわふする寂しがりやなわんこライル萌えませんか…!
寝る時はソファーですが、刹那に誘われてベッドに入ると嬉しくて尻尾振りっぱなし可愛い!
一緒に買い物に出てご主人様守るんだモードのライル可愛い!
でも逆に守られてるとなお可愛い!!

そしてなにげにユニオン組と絡ませるの大好きです^^
ハムもビリーも可愛いよ!!!


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