*Protection*
*パラレル設定
*兄さんとライル二人暮らし
*兄さん社会人、ライル大学生
*ライルがデレデレ
許せる方のみど〜ぞ
コトコトと音を立てる鍋をぐるりと掻き回しながら、いつも勝手に口から出てくる童謡を歌っていた。
高校を卒業した後、ライルはちゃんと大学に通ってくれている。
割と有名な大学で、そんな中で結構成績上位だったりする可愛い可愛いライルは俺の自慢だ。
いつもの様に歌いながらライルに想いを馳せていると、喧しく携帯が鳴る。
この着信音はライルので、意気揚々と電話に出た。
「もしもし、ライル?どうした?」
『兄さん!俺ちょーお腹減っちゃって、待ち切れなかったんだ!』
唐突な話題に一瞬思考が追い付かない。
やけに大きな声で、「今晩のメニューは?」なんて聞いてくるから、条件反射で答えた。
「あ、あぁ。シチューだよ、鶏肉のホワイトシチュー」
『シチュー?嬉しいね、俺のには鶏肉たくさん入れてくれよ!』
「わかってるって…」
どうにも様子がおかしい。
多分帰り道だろう、僅かに息が弾んでいる。
なんでわざわざ帰り道に電話なんてしてきて、こんな話題なのか…
『兄さんあのさ、今日講義ですげー先生来て!』
「ライル…?」
『あの話には感銘を受けたなー!』
声音から、緊張が伝わってきた。
ドキリと、俺にも緊張が伝染る。
ライルに付き合って会話をしていると、もう近くまで来たから!と言って電話が切れた。
30秒も経たないうちに玄関がガチャガチャと鳴る。
「ライル、お帰り」
ライルは扉に寄り掛かっていた。
その表情は引き攣っていて、俺を見た途端にくしゃりと歪む。
「ライル…?!」
「にー、さっ…」
慌てて駆け寄ると飛び付いてきた。
倒れそうになった身体をなんとか保ち、肩に顔を埋めたその背を撫でてやる。
「…どうした?」
「こ、怖かった…!」
「大丈夫だ、俺がいる」
「っ…兄さん、兄さんっ…!」
落ち着くように優しく頭を撫でてやると、強張っていた身体から徐々に力が抜けていった。
「何があった?」
「…………あのな、」
「うん」
背に回った腕に、力が込もる。
それに比例するように俺も抱きしめる腕に力を込めた。
「…駅から、ずっと…尾行けられてて…」
「……なにっ?!」
また思考が追い付かず、数秒遅れて声を上げる。
思わず身体を引きはがしてライルの瞳を覗き込んだ。
見開いた翡翠色の綺麗な瞳には、涙の膜が張っていて今にも零れ落ちそうだ。
「っ、や…兄さん…っ」
「…悪い」
離れたのが怖かったのか、ポロポロ涙が零れて必死で俺にしがみついてくる。
「兄さん、俺、おれっ…」
「ごめんな、大丈夫だよ。もう大丈夫。だってここには俺がいるだろう?」
「……ん」
肩が涙で濡れていくのがわかった。
余程怖かったのだろう。
ライルには、人間不信の気があった。
両親と妹を事故で亡くしてからは二人で暮らした。
俺は元からライルを愛していたのと、愛する対象がライル一人になってしまったことから随分と過保護になっていたようで
甘やかし過ぎた、という自覚もあった 。
弟気質で人懐っこかったライルは過去に誘拐まがいなことをされたことがある。
その事と、それから先の俺の過保護のせいかライルはあまり人を信じない。
「怖かった、兄さん、怖かったっ…!」
「うん、うん。電話で気付いてやれなくてごめんな」
「兄さん、もっと強く」
骨が軋む程抱きしめてやると、息を詰めながらも安心したようにフッと笑う。
「…明日は、駅で待ってろ。迎えに行くから」
「ほんと…?」
「あぁ、約束だ」
「ありがと、兄さん」
それから後のライルは、ぴったりと俺に張り付いて離れなくなった。
食事もいつもの向かい合わせの席ではなく隣に座り、風呂ももちろん一緒に入った。
夜は不安を感じる暇もない程愛してやって、朝はキスで起こしてやる。
もう昨夜のパニック状態からは脱したようだ。
「おはよ…」
「おはよ、いい子だ」
「朝飯はぁ…?」
「トーストとじゃがいもスープ」
「ん」
「よし、顔洗っといで」
ライルは大学へ行くのを渋ったが、ちゃんと迎えに行くからと宥めて送り出す。
行きも不安だったらしく、大学に着くまでメールを寄越してきて、俺も忙しかったが可愛いライルのため付き合ってやる。
おかげさまで仕事に少し遅刻した。
ライルが大学にいる間は、ライルの親友であるクラウスになるべくついていてもらうよう根回しをしてある。
とりあえずは目の前に鎮座している仕事の山を片付けるだけだ。
そしてひそかに計画を立てる。
ライルを泣かした野郎を社会的に抹殺するために。
「そのためには少しライルに我慢してもらわねぇとな」
仕事を早く切り上げて駅の改札でコーヒーを啜る。
ライルの話だと尾行けられてると感じたのはこの地元駅からだ。
大学からの帰り道も一人だったらしいし、途中の駅からか、ここからストーカーが現れたという可能性が高い。
一度きりの質の悪いイタズラだったかもしれないし
まぁ推測だから当たってくれれば万々歳。
「………ん」
横顔に視線を感じた。
携帯を開きながら視線の先をさりげなく探る。
そこにいたのは人の良さそうな雰囲気をしたサラリーマン。
こちらを伺いながら腕時計を確認している。
きっと“ライル”がいつもより早く駅にいるから驚いているのだろう。
『駅に着いたら喫茶店で待機。片が付いたら行くから心配しないで待ってろよ、 と…』
ライルに素早くメールを送って、残りのコーヒーを飲み干しソイツの前をわざと 通ってゴミ箱へ向かう。
後を着いて来たのを確認して駅を出た。
『ビンゴ。善人面してよくやるぜ』
ライルからの抗議のメールを無視し黙々と帰路を歩く。
人通りが少なくなった住宅街の電柱の下で止まり、靴紐を直す振りをして相手の出方を待った。
背後で足音が止まる。
ゆっくりと振り返れば、男が嫌らしい笑みを浮かべて俺を見下ろしていた。
「や、やぁ、気分でも悪いのか?」
「…いえ、ちょっと靴紐が」
「そうか、よかった。いきなりしゃがみ込むから心配してしまったよ」
男は去って行こうとせず、俺へと手を差し延べる。
その手を無視して立ち上がり「どーも」なんて言いつつ一歩踏み出した。
「君、学生?」
「ええ、まぁ」
「勉強は楽しいかい?俺も最近大学を卒業したから…」
その言葉でピンときた。
多分こいつはライルの大学OBだ。
「大学生?」
「はい」
「どこに通ってるの?」
「A大ですけど」
「あぁ、偶然だなぁ!実は俺もA大なんだよ、もしかしたら学内で擦れ違ってたかもしれないな」
「そうなんですか、偶然ですね」
わざと暗い道へと入っていき、会話を続けながら男を誘う。
現場をおさえなきゃ意味がないからだ。
「な、なぁ、名前聞いてもいいかな」
「…ライル、です」
「そうか、ライル、いい名前だ。俺は…」
いきなり肩を捕まれ壁に叩き付けられる。
息を詰めた一瞬で、男はピッタリと身体を寄せてきた。
こうされていたのがライルだと思うと殺意が湧く。
「っ、ちょっ」
「はぁっ…い、いい匂いだねライル…っ、俺、ずっと君のことを見ていたんだよ っ」
「やめ…」
「あぁ、ライル、ライル!」
「……いい加減にしやがれ」
「ぐあっ?!」
男の拘束を簡単に解いて地面に転がしてやる。
腹を踏み付け、ゆっくりと男に見せ付けるように銃を取り出した。
「っっ…ヒッ…」
「汚ねー口でライルって呼ぶんじゃねーよ」
「な、な、な…」
「よくも俺のライルを怖がらせてくれたじゃねーか。ただじゃすまねーぞ 」
「きっ、きみはっ…」
グッと顔を男に近付ける。
「ライルは俺の弟だ。ずっと見てたクセに区別もつかねーんだな?」
「そ、んな…」
「ライルになにかしてみろ、俺は貴様を殺す」
銃口を眉間に押し付け低く囁いた。
男は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら「ごめんなさい」を繰り返す。
「……わかったらさっさと消えろ」
男は慌てて立ち上がり、何度も転びながら去って行った。
銃を懐にしまい、襟に隠してあったカメラを確認する。
「よし、ちゃんと撮れたかな」
男の所業を全て撮影したモノ、これを奴の会社とネットに流す。
そうすれば社会的抹殺の完了だ。
もちろん、報復を受ける覚悟もある。
その時は命を懸けてライルを護る。
「兄さん?!」
「っ…ライル!お前、駅で待ってろって言っただろ!」
走り寄ってきたのは最愛の弟で。
泣きそうな顔をして俺の名を呼ぶ。
「兄さん!兄さんっ…」
「大丈夫だ、なんともないよ」
「だ、てっ…なんで一人で!」
「大丈夫、全部上手くいったから」
「違う!そういう問題じゃない!兄さんにもしなにかあったら…俺ッ…!」
震える身体を抱きしめて、背中を撫でて落ち着かせる。
泣き出したライルはひたすらなにか文句を呟いていた。
「うう、あっ…へ、ぅーっ…にいしゃ…」
「ん、ごめんな…大丈夫だから。お前を独りになんてしねーから」
「うぇ、あううっ」
「ライル…愛してるよ、お前は俺がずっと護る」
「行ってらっしゃい、気をつけてな」
「ん、行ってきます」
大学のちょい手前で車からおろす。
元気よく歩いて行った背中を眺めていると、窓をノックされた。
「ん?」
「ご苦労様だな、ニール」
「お、クラウス」
「しかし送り迎えをするのはやり過ぎじゃないか?」
「そんなことねーよ、大事なもんからは目を離さない主義なのさ」
「ふ、君らしいけどな…。じゃあ」
「おう、ライルをよろしく」
ライルに追い付くクラウスを見送ってから、車をゆっくりと動かす。
本当は家の中に閉じ込めてしまいたいくらい
愛してるんだけどな
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ストーカー被害にあうライルんが書きたかっただけでした^^
男前兄さんがライルを守ればいいじゃない!!!
ついでにクラウスにも守られてるお姫様らいるん可愛い
小さい頃のらいるんマジ天使だったので、おじさんがハアハアしながらついておいでしてると思うんです。
絶対誘拐されたことあるってあの可愛さなら!!!
兄さんと違って警戒心が薄い感じがね、するしね。
兄さんは兄貴気質だから人懐っこいふりして警戒心ハンパないと思います。
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