*狂った愛の結末*



*二期後、ニール生存、パラレル設定
*ニールが限りなく病んでます
*ちょっと刹→ライ気味

許せる方のみど〜ぞ






「ライル、大丈夫か?」
「んっ、んっ…だ、い、じょぶ…ッア」

ズブズブと兄が胎内に埋まっていった。
その際に反射的に跳ねていた足は、今はもう動かない。
ニールの肩にだらりと掛かっているだけ。

「ヒ、ああっ…ん、にいさ…兄さんっ」
「うん、ほら全部入ったよ。見えるだろ?」
「ん、ンッ、みえ、あああ…ッ」

グッと強く突き入れられ、思うままに揺さぶられれば もう絶頂はすぐそこだ。

「にーさ、あ、あっ!にぃっ…ぅあ、あああっ!」

これでやっと、意識を手放せる。





「へ?刹那、達が…来るの?」
「あぁ。ティエリアの発案らしいんだが、みんなで会おうぜってな」

かなり、驚いた。
ここ数年、俺を誰とも会わせてくれなかった兄が、この場所に刹那達を招待する というのだ。
愛おしげに俺の太ももを撫でる。

「ライルの足は、事故で動かなくなったってことでいいよな?」
「……え?」
「俺がこうしたなんて刹那達が知ったら、お前を取り上げられちゃうだろ?」

ニールの瞳が、暗く澱んでいく。
この顔は、大嫌いだ。
あの日の恐怖を思い出し、過呼吸になる。

「っ…ひゅ、」
「ライル?おいっ…どうした?大丈夫、何も怖くなんてないぞ?」
「はっ、はっ…は、は、はぁ、っ」
「大丈夫、大丈夫だ、ライル」

そっと口に掌が当てられ、自身が吐き出した二酸化酸素を吸い込んだ。

「ふ、ぅ、ふっ…はふ…」
「ん、大丈夫だろう?」
「にいさ、ん…」
「俺と引き離されるのが怖かったのか?大丈夫だ、絶対にそんなことにはならね ーからな」

抱きしめられた身体が、ベッドに沈む。
深くキスをされ、着たばかりのシャツを捲られた。

「あ、兄さんっ…」
「ごめん、もっかいシたくなっちまった」
「ちょ…む、無理…もう限界だって…」
「ごめんな、ライル」
「バ、カっ…ぅあ…」

刹那達が…あの、刹那が。
今の俺達を見たらどう思うのだろうか。












玄関先がガヤガヤと賑わう。
主には兄の嬉しそうな声。

複数の足音が近付き、リビングから兄が顔を出した。

「ライル、みんな来たぞ」
「あぁ」
「久しぶり、ラ…」
「久しぶり、みんな」

次々に現れた顔に、俺は微笑む。
なぁ、俺はいつも通り笑えてんだろ?

目を見開き硬直した面々が、説明を求めるようにニールを見た。
ニールは俺の傍らで、優しく俺の足を撫でる。

「3年前に、事故でな」
「っ…じ、こ?」
「あぁ、ここはド田舎だからよ。病院に着くまでが時間かかり過ぎて…手遅れに なっちまったんだ」
「そんな…」

アレルヤとティエリアは、兄の言葉を微塵も疑わずに悲しげな表情を浮かべた。
刹那の赤茶の瞳は、ただジッと、俺の足を見詰めている。

「…そんな顔すんなよ。兄さんがいてくれてるおかげで、俺は何一つ不自由して ねーんだから」
「……ライル…」
「今からでも、再生治療で治すことは出来ないのか?」

ティエリアが呟いた。
それに対して俺はゆるゆると首を振る。

「もう、いいんだ。三年も前に動かなくなっちまったんだから…リハビリにどん だけかかるかもわからねぇ」
「しかし、希望は…」
「今の技術なら治せるだろうな、でもよティエリア。ライルと話し合って決めた ことだから」
「あぁ、これでいいんだ」

皆に、そして自身に言い聞かせるように言った。
皆に再生治療を勧められ、仮に兄が従ったとしよう。

でもどうせまた、動けなくなるんだ。
あんな痛みは一回だけで充分過ぎる。
ニールは俺を逃がさない。

ふと目が合った刹那に、驚いた。
刹那の顔は悲痛に歪み、悔しそうに歯を食いしばる。

「………疲れただろ?荷物置いて、ゆっくりしろよ。なぁ、兄さん」
「あぁ、そうだな。皆コーヒーでいいか?」
「あ、はい」
「えぇ」
「……あぁ」
「おっとその前に…ライル」
「ん、頼むよ」

ニールはいつもの様に膝裏に腕を差し入れ、俺の腕が首に廻ったのを確認してか ら持ち上げた。
殊更優しくソファに降ろされる。

「じゃ、コーヒー煎れてくるから、そこ座ってろ」

三人は遠慮がちに、そわそわとしながら俺の前に座った。





柔らかい日差しが差し込むリビングで、ささやかなお茶会が開かれ、それぞれの 5年間が語られる。
ニールは優しく微笑みながら、皆の話に耳を傾けていた。

その間ずっと、ニールの掌は俺の太ももを行ったり来たりする。
その掌の動きを静かに見詰めている刹那に、言いようのない恐怖を覚えた。

気付いて欲しいと思う自分と 気付かないでくれと願う自分がいる。
刹那の瞳はいつだって、真実を見抜こうとしていた。











「お?やべぇ、うっかりしてた。調味料がねーわ」

夕方になり、兄は食事の準備を始めていた。
困ったなぁと頭をかく兄にアレルヤとティエリアが寄っていく。

「僕、買い出ししてきますよ。何が足りないんですか?」
「え、いや、悪いからいいよ。俺が行ってくるから」
「私も一緒に行こう」
「えー?お前らは寛いでろってぇ」
「ダメですよ、ご馳走になるんだからそれくらいさせて下さい」
「そうかぁ?でもなぁ…店わかんねーだろうし…うん、しょーがねぇ、一緒に行 くか」
「たかが買い出しに三人もいるのか」
「あ、兄さん。ついでだからお酒買ってきてよ。久しぶりに飲みたい」
「酒かぁ…………。少しだぞ、ライル」
「わかってる」
「りょーかい。じゃあ行くか、ティエリア、アレルヤ。あ、刹那はどうする?」
「皆いなくなったら、ライルが困るだろう。俺はここにいる」
「俺のことは気にしなくていいぜ?刹那」
「そういうわけにもいかない」

俺達のやり取りを見ていたニールが、嬉しそうに笑って頭をぐしゃぐしゃと撫で てきた。

「何だ、ニール」
「いんや、別に!刹那、ライルを頼む」
「…了解」

兄がどれほど刹那を大切にし信頼していたか、見せ付けられたようだった。
まさかあのニールが、俺と他人を二人きりにするなんて。











二人きりの無言の空間に耐え切れず、口火をきる。

「……刹那と兄さんって、仲良いよな」
「信頼はしている」
「つか、アンタら皆仲が良い」
「………生死を共にしたんだ。それなりの感情が芽生えて当然だろう。それは勿 論お前もだ、ライル」
「へっ?」
「お前は自身に向けられる好意に気づかない。俺もティエリアもアレルヤも、お 前のことを想っている」
「っ…な、んだよそれ…こっ恥ずかしい…」
「事実だ」

強い眼差しが痛くて、思わず目を逸らした。

「……ニールが、どれほどまでにお前を愛しているのか、俺は嫌というほど理解 しているつもりだ…」
「…え?なに?なんの話…」

刹那の掌が俺の足に伸びて、思わず肩が跳ねる。
膝に当てられた掌は、暖かい。

「だが、許せることと許せないことがある」
「せ、つな?」

怖い、と思った。
暴かないでくれ、恐怖に呑まれる。

「……お前の足は、何故動かなくなった」
「ッッ…!……ぁ、そ、れは…だから、事故で」
「再生治療を何故拒む」
「…これが、俺が受けるべき咎だから……」
「違う」
「っ…なん、だよっ」
「こんなことは、許されない」

いきなり刹那は俺の足を掴んで持ち上げた。
反動でソファに倒れ込む。
ズボンの裾を掴んだ刹那に叫んだ。

「何すんだ!やめろ、やめてくれ!!」

訴えに刹那は応じず、真実を暴き出す。
持ち上げられた白い足首に、忌ま忌ましい傷痕があった。

「………ライル」
「ちが、う…違うんだ、刹那。事故で…」
「何故庇う」
「っ…兄さんは…何もしてないんだ…!」

刹那の顔が、悲痛に歪む。
来た時と同じ顔だ。
刹那は最初から気付いていたのかもしれない。

刹那はゆっくりと足を下ろし、フローリングに座り込んだ。

「………歪んでいる。お前達は…」
「…兄さんは、何もしてないよ、刹那」
「ライル…なぜ、受け入れてしまったんだ。何故、俺達に…俺に、助けを求めな いっ」
「刹那…」

ずっと助けて欲しかった。
何度もお前の名を呼んだ。

でもな、刹那

遅かったんだよ―。

「俺は、兄さんを愛してる。兄さんを独りになんてさせられない」
「こんなことをされてもか」

最初は、怒って泣き叫んで、兄さんを罵倒したんだ。
でも、兄さんは何を言われてもされても…俺を抱きしめた腕の力を抜かなかった 。

だから、俺は自分の意思で 兄から、ニールから、離れない。

「もう、いいんだ。刹那。俺は二度と、ニールの傍から離れない」
「…こんなものは、お前が受けるべき咎じゃない」
「むしろ幸せだからかい?」

刹那は、目を見開いた。

「しあ、わせ…」
「兄さんの傍にずっといられる理由が出来たことが、幸せだ」
「嘘だ」
「嘘じゃねーよ」
「ライル…!」

じっくり時間をかけて、内側から愛と言う名の毒で溶かされる。
幸せを、ホントにするために毒に身を委ねた。



それから暫く、俺達二人は会話もなく重たい空気の中、息を潜めていた。














「ただいまー!ライル、刹那ぁ!」
「ただいまー、ふぅーやっと着いたね」
「ただいま」

ざわざわと玄関先が賑わう。
ついでに色々と買ってきたのだろう、三人は両手に荷物を提げていた。

「……おかえり」
「お帰り。みんな」
「…ん?どうした、ライル」

兄が眉を寄せ近寄ってくる。
心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「なにが?どうもしないさ」
「……そうか?具合、悪くないか?」

俺の微妙に揺れ動いた雰囲気を敏感に感じとり、不安を示す兄。
優しく太ももあたりを撫でるのは、もう癖になっている。

その掌に自身の掌を重ね、軽く握った。

「大丈夫、なんともない」
「…そ、か。なら良かった。離れてごめんな?」

頬に軽いキス。
ジクリと痛む胸と、じわりと広がる喜び。

あぁ、逃げたいのか縛られたいのかわからない。
















翌日の昼過ぎ、三人は帰るべく外に出る。

「それじゃあ、また来るよ」
「おう、いつでも!」
「…ライル、身体を大事に」

ティエリアからの意外な一言に、俺は目を丸くした。
そんな俺を見て、気まずそうに視線を逸らす。

「適度に運動もするように。衰えると病気になりやすい」
「…あ、あぁ、サンキュ、ティエリア。気をつける」
「珍しいね、君がそんなことを言うなんて」
「ッッ、これくらい普通だ!」
「ははは!ありがとなーティエリア。こいつはちゃんと俺が面倒見るからさ」

空気の読めないアレルヤに怒るティエリアを、兄が宥める。
そんな風景を、また見られるなんて思っていなかった。

「…ライル」
「……ん?」
「…いつでも、頼ってくれ。その時は、俺がお前を守る」

あの時以来口をきいていなかった刹那が、真っ直ぐに俺を見て言った。
俺の肩に置かれた兄さんの手が、ピクリと動くのを感じる。

「…ありが、とう。刹那…」
「……あぁ」

泣きたいの笑いたいのか
俺達二人はそんな表情を浮かべていたと思う。

なんて情けないんだろう。

刹那が差し延べてくれた手を見ないふりして、兄の手をとった。
これでいいんだ。

「じゃあな、刹那」

































傷痕の残る足首に優しく口づけられる。
愛おしい、と ニールの全身が俺にそう叫んでいた。

だから、これでいいんだ。

「……兄さん」
「ん?」
「……俺、しあわせだよ」


















とても、幸せなんだ。












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病んでるニールと、可哀相なライルと、やりきれない刹那でした。

これにて完結になります!!!
いや〜コツコツと続きを書いて1年になりそうでした…!(滝汗)
前編をupしたのがどうやら去年の7月末。

刹那を介入させたら、刹那に逃げた方がライルは幸せなんじゃ?
とか考えたらもう纏まらなくなっていって^^;

まぁ、最初からライルにはニールを選ばせるつもりでしたので
ここまでこじつけるのに紆余曲折しましたとも…
無駄が多くなっては削り矛盾が出ては手が止まり…

そんなに時間をかけたわりには拙い出来で申し訳ないデス(´・ω・`;)


とにかくニルライは歪んでても幸せりなれるのさ!!(?)


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