*ブラザーコンプレックス7*



*パラレル設定
*商社マンライル
*ユニオンは警察設定

許せる方のみど〜ぞ





朝から嫌な予感はしてたんだ。

マグカップ割れたり、腕時計動いてなかったり、電車は遅延してたし…





不幸って、続くもんだよな。

















水を打ったように静まり返り、次の瞬間辺りはどよめいた。

取引先で友人になった女性に付き合って立ち寄ったとある銀行。
これから楽しいランチタイム…のはずが、拳銃を振りかざして怒鳴り込んできた男のせいで悪夢に変わった。

出入口付近にいた人達は転がるように逃げ出し、男の進路であるカウンター付近にいた俺達はただ立ちすくすしかなかった。

「動くんじゃねぇ!撃つぞ!!」
「ッ、ラ、ライルッ」
「大丈夫だ、落ち着け」

彼女が顔を引き攣らせて俺の腕にしがみつく。
チラリと背後を見ると、奥の方にいた職員達は裏口から逃げたらしくカウンター付近の職員しか残っていなかった。

「てめぇらもこっちに出てこい!早くしねぇとブッ放すぞ!!」

銀行内に残ったのは、職員と客合わせて10人程。
一カ所にまとめて座らされた。

「支店長を呼べ、今すぐだ!」
「ひっ…い、今支店長は出ていま、してっ」
「連絡しろ!!早く!!」

男は最初から顔を見せていた。
強盗が目的ではないらしい。
ガタガタ震える彼女をなるべく背中に隠しながら、犯人を観察する。

俺だって、こういう状況が怖くないわけない。
けど、幸い俺は普通の人より銃に慣れていた。
小さい頃、毎日のように触っていたライフル。

今も部屋の片隅に飾られた父親の形見のライフルの手入れは俺の仕事だ。

兄が危険な仕事に携わっていることもあって、俺はそれなりに冷静でいられた。







遠くでサイレンの音がする。

















「白昼堂々銀行強盗。利用者は少なかったみたいだけど、悲惨ねぇ」
「要求は金じゃない、支店長を出せと言っている。つまりは私怨が理由なんじゃないか」
「そうね」

休憩室でついていたテレビを見ながら、ライルが作ってくれた弁当を開く。
中身はジャガイモが目立った。

「大変ですね、死傷者が出ないといいけど…」
「…この地区の管轄はあのグラハム・エーカーだろう。問題ない」
「あの変人、腕前だけは確かだもんな」

無表情で呟いた刹那に、苦笑して返す。
ほうばったジャガイモは美味しい。

ポケットの中の携帯が振動し、咀嚼をしながら電話に出た。

着信者はクラウス・グラード、ライルの旧友で、上司にあたる人物だ。

「もしもし?なんだよクラウス」
『すまない、今大丈夫か?』
「あぁ、つか久しぶりだな、お前さんからって」
『あぁ…今ニュースを見ているか?銀行の…』
「見てるが?」
『ライルが、巻き込まれた可能性がある』
「………は?」

一瞬、頭が真っ白になる。

「な、ん…」
『その銀行近くの企業に営業に行っていたんだが、昼食を友人と食べて帰る、銀行に寄る、と…言っていた。
先程電話をかけたが、切られてしまったんだ』
「うそ、だろ?まさかそんな…」
『…可能性があるだけだ。確信はない。だが…もう帰社してもいい時間で…』

白く塗り潰された頭が、重たく起動を始め赤く点滅していく。

「悪い、切る」
『ッニー…』

不思議そうに俺を見る刹那達を一瞥してから、立ち上がり部署に走った。

自分のデスクに着く頃に繋がった電話の相手に怒鳴る。

「グラハム!」
『なんだね、急に。私は今現場で忙しい』
「わかってる!銀行の防犯カメラの映像、俺のパソコンに送ってもらえないか」
『…君はあくまでも一般人。警察としては受け入れられない要求だな』
「ッ、頼む!頼むよ、グラハム!」
『……少し待ってくれ、すぐ送る』
「あっ、ありがとう!」
『全く…この貸しはでかいぞ。……いったか?』
「ん、あぁ、………!ラッ…!」
『一体何事だと……ん?彼は…』
「まじかよ!!!」

悲鳴を上げ、頭を抱え込んだ。
そんな俺の背後から声が掛かる。

「…ライルだな」
「みたいですね」
「全く…なにをしてるんだ、彼は…」
「お、お前ら…」
『…ぃ、…おい!聞いているのかね、ロックオン・ストラトス!』
「うお!わ、悪い!」
『君そっくりの人物がいるようだが、彼は?』
「…双子の弟だ。営業帰りに巻き込まれらしい」
『君の弟…そうか、どうりで必死だったワケだな。わかった、後はこちらに任せてもらう』
「はぁ?!フザケんなっ!おい!おいグラハッ…ちくしょう、切られた!」

無機質な音しか出さない携帯を睨みつけ、違う番号を呼び出す。
リアルタイムで映し出される防犯カメラの映像を凝視していると、ライルが動いた。

「…っ、のバカ…切りやがった」
「いや、懸命な判断だ」
「音がカンに障る犯人もいるし、ヘタに出たら何をされるかわからない」
「…そーだけど!」
「冷静になりなさい、ロックオン。落ち着いて、事件の行方を見守りましょう。
貴方だって認めているんでしょ?グラハム・エーカーの手腕は」
「………あぁ」

世界にたった一人の片割れ、愛しい恋人。
そんな存在が危険にさらされているとわかって、ジッとしていられる程ニールは大人ではなかった。

「わ、るい…午後からの仕事できそーにねぇ。屋上で頭冷やしてくる」
「わかったわ」

出ていく後ろ姿を見詰めながら、スメラギは刹那に耳打ちをする。

「ロックオンを頼むわね」
「了解した」
「さぁ、私達はいつでも彼らの力になれるように、仕事を片付けておきましょう」
「「了解」」

















カウンターの電話が鳴り響く。
男が職員に出るよう促した。

どうやら電話は警察からのものらしく、犯人が相手に要求をぶつける。

「……ライル」
「大丈夫、心配ない。だからそんな顔すんな、俺の後ろに隠れてて」
「うん…」

青ざめた彼女を背後に庇い、あたりを確認する。

今のところ、犯人に近いのは電話に出た職員と、俺。
俺達の背後にはお年寄りが5人もいた。

犯人が乱暴に受話器をたたき付ける。
交渉は決裂といったところか。





「頑張れよ警察…」

思わず零しながら、溜息をついた。













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ブラコンシリーズ第7弾!でももう番外も含めたら11弾目ですな
もうずいぶん長いこと続いてますね…!自分でビックリ!(笑)

グラハムが警察とか萌えるのです…!ビリーが科学捜査科とか…!^^
ライルが事件に巻き込まれるのはお約束ですが、その展開が燃えるのだ。

もう一個続きます!次回解決編!


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