*ブラザーコンプレックス2*
*パラレル設定
*商社マンライル
*ライルの同僚などオリキャラ出てきます
許せる方のみど〜ぞ
一気に飲み干したビールに、またも並々と注がれた。
恨めしげに隣を見遣ると、ニヤニヤと笑う先輩。
「今日はお兄さん迎えにこねーの?」
「迎えに来る前に帰りますよ」
「なんだとー、逃がさねーぞ」
「意味わからん、あんな人見て何が楽しいんスか」
「いやいや、美人な双子が並ぶとそりゃもう眼福もんだし?」
「…………先輩てホモだったのか、きゃー怖い」
「ちっげーよバカ!」
そう言い合いながらも、また空になったグラスにビールビンが宛てられた。
慌ててビンを掴みそれを阻止する。
「あの、すんません。俺今日はここら辺で失礼します!」
そそくさと席を立った途端に上がるブーイングに苦笑して、伸びてくる手をかい潜り外に出た。
冷たい空気が身体を吹き抜けて、身震いする。
時刻は零時半。
心配性のニールには30分前にメールを入れた。
きっと駅まで歩いていれば、するすると近付いてきた目立つ珍しい車に引きずりこまれることだろう。
「あ〜、寒ぃ」
マフラーに顎を埋めて、ポケットに両手を突っ込んで歩く。
今にも雪が降りそうな空を見上げて、白い息を吐いた。
「ラーイル!」
予想通り、近付いてきた一台の車から手が延びてくる。
「おかえり、早く乗れよ、寒いだろ?」
「あぁ、サンキュ」
兄の自慢の車に乗り込むと、サッと柔らかい膝かけをかけられた。
次いで握らされたのは暖かいコーヒー。
「それ飲んであったまれ〜」
「ん、兄さん、タバコ吸ってい?」
「一本だけな」
「……はいはい」
いつものやりとりだ。
飲み会の後や、残業で帰りが遅い時、いつも兄は車で迎えに来る。
やめてほしいと何度言っても「夜中にお前みたいな可愛いのを一人で歩かせられるか!」と、一蹴された。
基本めんどくさがりなので、好きにさせている。
「腹は?帰ったら一応ポトフあるけど」
「あんま食べてないから、ポトフ食いたい」
「そうか!今回のは力作なんだぜ〜、お前のには負けるけどな」
「兄さんはよくわからん味付けするからだよ…」
別にまずくはないのだが、なんとも微妙な味になるのが兄の料理だ。
まぁ、嫌いじゃない。
そんな不器用なとこが、逆にクセになったりする。
雪が降り出した外をぼんやりと眺めながら、兄が歌い出した鼻歌に、自分も音を重ねた。
「くあ〜っ!寒かったなぁ!」
「風呂先入ろかな、俺」
駐車場から家までの間にすっかり身体は冷えている。
ネクタイを引き抜きながらそう言うと、後ろから着いて来た兄がいきなり抱き着いてきた。
「うわぁ?!」
「俺も入る!な、一緒に入ろうぜ!」
「嫌だね、今日は俺別に酔ってねーし」
「なんだよ〜!俺も冷えたし、いいだろ?な、サービスで頭洗ってやるし」
「誰に対するサービスだよそりゃ…」
輝く笑顔で「もちろん!俺かな!」とか言いやがった兄の頭を叩いてやる。
痛いと言いながらもニヤけた面を崩さないのは、俺の返答を知ってるからだ。
「よし、泡出来たぜ〜」
バスタブから溢れ出ている泡を兄さんが楽しそうに掬う。
手招きされて、中に入った。
すぐさま暖かいシャワーがあてられる。
頭皮を流れていくお湯が気持ち良くて、うっとり目を閉じると
唇に柔らかいものが押し当てられた。
「……兄さん」
「悪い。つい、こう、な?」
「つい、で野郎にキスすんな」
「だってライル、すげー可愛い顔してたんだもんよ〜」
こうした大胆なスキンシップをとってくる上に、好きだの愛してるだのを臆面もなく言う。
「兄」としてだ。
自身を重度のブラコンだと明言する兄の言動だから矛盾は感じない。
………いや、矛盾はむしろ感じるんだ。
ニールの言動は「ブラコン」の度を越している。
「んーしっ、綺麗綺麗!俺も入れて」
「どーぞ」
洗髪が終わり、兄さんがシャツとパンツを脱いだ。
シャワーで一通り身体を流してから泡だらけのバスタブに慎重に片足を突っ込む。
俺は過去に酔っ払って泡風呂に入り滑って転んだことがある。
それ以来兄さんに世話を焼かれてるわけだが…
兄さんの定位置は、俺の後ろ。
兄さんの足の間に俺が入り、大体いつも肩を揉んでもらう。
「今日も凝ってんな、デスクワーク中何回も身体伸ばさねーとダメだぞ?」
「伸ばしてるけどさ、凝るんだよ」
「う〜ん、目の疲れからくるってのもあるしなぁ」
ニールはきっと、兄弟に向けるべき感情ではないものを、持っている。
ニールが明確な意思表示をしてこないからつい最近まで目を逸らしていたわけだが、もういい加減………
「ライル、先に出てろよ。俺もさっと洗って出るから」
「ん。……のぼせんなよ」
ドアを開けながら振り返り言うと、「さっとって言ったろぉ」と返ってきた。
俺、知ってんだよ、兄さん。
俺と入るときなんでいつも泡風呂にするのかとか、後ろに座るのかとか、一緒に出ないのか、とか……。
結局いつもいつも、喉元まで出かかった言葉を呑み込んでしまう情けない俺。
「ポトフ、美味しぃ」
「そりゃよかった!」
やっぱりなんとも言えない微妙な味で、でも美味しくて、ポトフと共に言いたい言葉はどんどん腹の底に落ちていく。
「明日はどうしようか?久しぶりにデートすっか」
「えー…休日は家でゴロゴロしたい…」
「不健全だぜ、ライル。明日はデート、決まりな?」
「……じゃあ、映画見よう」
「いいぜ。あ、でも、寝るなよ…?」
「…………」
「コラコラッ、目を逸らすなっ」
二人で出掛けることをデートと言い始めたのはいつからだったか。
兄から女の影が消えたのはいつからだったか。
………俺も、女に目が向かなくなったのはいつからだったんだろう。
ベッドに座り、ニールからのおやすみのキスを受ける。
「いい夢を。愛してるよ、ライル」
「………にい、さん」
「ん?」
「…そろそろ、白黒つけたい」
「…は?」
この関係が壊れるかもしれない。
怖い。
勘違いだったら、俺はこの先ニールに会えない。
でも、もう俺らだっていい歳だ。
天国の父さん、母さん、エイミー。
もうそろそろ孫の顔が見たいだろ?
貴方達に土下座しに行くのは二人か、一人か
ニールの胸倉を掴み引き寄せ、キスをした。
初めての、俺からのキス。
目を見開くニールを睨みながら、ニールの舌を自身の舌に絡め、噛み付き、大袈裟な音を立てて唇を離した。
「俺、ニールのこと…愛してるから」
しかし、弱い俺の根性はここまでしかもたなかった。
即座に布団を頭まで被り丸まる。
ニールの声なんて自分の心音で聞こえやしない。
みのみしみたいに丸まって外界を拒絶した。
さぁ、兄さん。
もうブラコンだなんて言わせねーぞ。
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続編!書いちゃいましたぁ!(←コーラ風に)
ついにライルの気持ちが明らかに^^
まぁ、好きだったわけですよねぇ、兄さんが。
毎日可愛い可愛い好き好き愛してるってされてたらそりゃほだされるってもんですよ(笑)
兄さんが泡風呂にするのもライルの後ろに座るのも一緒に出ないのも、もとろんアレが理由です。
欲情しないワケがない(爆)
もう一個続きます!次回完結編!^^