拍手お礼SS ニルライ *看病*
腹に物凄い衝撃を受け、夢の世界から強制送還される。
潰れた悲鳴を上げて自身の腹部を見遣れば、そこには愛しい弟が顔面を埋めていた。
「ラ、ライル?」
「…ごめっ、躓いた」
「大丈夫か?」
俺の腹に顔面ダイブしたらしいライルを抱き起こし顔を覗き込む。
涙が溢れ出るのがスローモーションに見え、思考が停止した。
「……ッッ?!ライル?!大丈夫か?!そんなに痛かったか?!もしかして足でも捻っ…」
「ちが、くて…なんか、おれ…熱出しちまった…みたい」
「熱ぅ?!」
「でかい声、やだ…頭いたい」
「風邪か?どれどれ」
首筋に当てた掌から伝わる体温はかなり高い。
しっとりと汗をかいていて、脈も早いことから確かにライルが発熱していることがわかった。
怠そうに脱力した身体を抱きしめ、背中を撫でてあやす。
「よしよし。怠いな、辛いな、苦しいよな。もう大丈夫だからな」
「んっ…にいさ…にいさん…」
溢れて止まらない涙と震える身体。
様子から見て39度はあるかもしれない。
これは病院に連れていくべきだなと考えつつ、まずライルを安心させることにした。
身体をそっとベッドに横たえ頭を撫でて額にキスをする。
「今日はずっと傍にいるよ。だから安心しろ、ライル。ほら、冷やすもん持ってくるから目つぶってろ」
「…わか、た…」
「絶対すぐ帰ってくるから、泣くなよ?」
睫毛にキスをし涙を舐めると、ライルは赤い顔を更に赤らめて睨んできた。
「も、ガキじゃねんだし…」
「ガキ扱いなんかしてないさ。お前は俺の大事な人だからな」
もう一度と目尻に唇を寄せてから傍を離れる。
ライルは不安な時、独りにされるのを酷く怖がる。
家族を失ったあの日に一人でいたからかもしれない。
俺が帰ってこないんじゃないかと怯えるのだ。
「あぁ、悪いな。そういうワケだから」
氷枕を作りながら職場に電話し、休みを取る。
冷えピタと氷枕とストローを刺した水のペットボトルを持ち寝室へ戻った。
相変わらず涙を流しながら震えているライルを見て胸が痛む。
「ライル、ただいま」
「にー、さ…」
「ほら、まずは枕な。ん、そんで冷えピタ…大丈夫か?」
「また、は、き、そう…」
「トイレ行くか?」
「みず、くれ…」
寝たままストローをくわえ水を飲むと、いくらかすっきりしたように溜息を吐き出した。
「さっき吐いたのか?」
「ん、気持ち悪くて、起きたから…」
「気付いてやれなくてごめんな…」
「…謝んなよ…」
「…よし、病院行こうな。俺支度してくるから、待ってられるか?」
「ん」
「お利口さん」
「熱ん時のライル、たまんねぇ可愛いんだよなぁ」
翌日、まだ熱はあるがだいぶ下がって調子も良くなったライルに見送られ、 職場に出てきた俺は同僚達に話し出す。
あからさまに嫌そうな顔したティエリアと、困ったように笑うアレルヤ、無表情の刹那に 構わずいつものライルトークが始まった。
「すっげぇ素直になんだぜ、あのライルが!」
「みんな、コーヒーいるか?」
「あ、うん」
「あぁ」
ティエリアが逃げ出す。
「俺も!んでな、ずっと俺の手握ってんだぜ〜可愛いだろ! 辛そうで可哀相で代わってやりてぇって思うけどな、 滅多にないライルのデレだからもうちょいこのままでとかも思っちまう…」
「移らないで下さいね」
「おう!実はガキん頃から移ったことねぇんだ。昔はそれが悔しかったけど、二人でダウンしたら困るもんな」
「ロックオン、食べないと休憩終わるぞ」
「あぁ。んでな、熱が下がってくると、看病されてるのが恥ずかしいのか素っ気なくなるんだが、 夜って結構熱上がるだろ?もー甘えてきてなぁ、やべぇやべぇ」
「聞いてないね…」
「放っておけ。どうぞ」
ティエリアがいれてくれたコーヒーを啜りながら、俺の話はまだ続く。
休憩時間をフルに使って、終わる間際にライルに電話して様子を聞くことも忘れない。
「よし、仕事戻るか!」
「要領良いのがしゃくに障るな」
「よくあんなに喋ってて食べ終わるよね…」
「今日は仕事も早く終わるでしょうね」
同僚達の言葉を背に、早くライルの元に戻るため俺は仕事に励んだ。
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拍手ありがとうございました!
弱ってる子が好きです(爆) 普段強がってる子が弱ってる姿って可愛いですよね!
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