拍手お礼SS  マイスターズ+ライ *心配性*




ただのアホだ。
スリープ状態になっていたハロに躓いて思いっきりコケた。

ドアに激突、どこか掴もうとしてちょうど当たった指紋センサーがドアを開く。
再度顔面を硬い床にしたたかに打ち付けていた。

『ロックオン、ロックオン』

うっすら聞こえてくるハロの声。
浮上してくる意識と共にやってくる鈍痛。

あぁ…アホだ。

自嘲を零しながら起きようとした時、人の気配がした。

「ライル?!」
「んぇ…」
「どうしたライル!大丈夫か?!」

慌てた刹那の声が頭上から降りかかる。
抱き起こされて頬を掴まれた。

「ライル!」
「ん…あぁ…だいじょーぶだいじょーぶ。 なんか恥ずかしいコトしただけだから…あんまり核心には触れないでくれな…」
「しかし、額が真っ赤だ」
「……ハハ、そーだね…」

あぁ恥ずかしくて死ぬかもしれない。
ハロに躓いてコケて、通路でのびてたなんて。

「メディカルルームへ」
「へっ?いやいや、そんな重傷じゃねーよ。大丈夫だって」
「頭を打ったのだろう、用心するに越したことはない」
「あの、いやその」
「…足に力が入らないか?なら」
「え、うおわぁっ」

半無重力のおかげか、俺よりも小さな刹那に横抱きで抱え上げられた。
ハロが目をチカチカさせて見上げてくる。

『ロックオン、テレテル!ロックオン、テレテル!』
「せっ刹那!いい、歩ける!大丈夫だって!」
「問題ない」
「大アリだっ!」

刹那の心配ぶりに兄の姿が被った。
ちょっとケガすると大慌てして騒いで泣きそうになる兄に。

こんな心配症な一面を刹那には見たくなかったな…!

「静かにしていろ。ライル、お前は俺が護るとニールに約束した」
「マジで?!」

ちょっと兄さん何約束させてんの! アンタの心配症が一番似合わない刹那に伝染ってんぞ!

「墓前に」
「してないそれ正確にはしてないぞっ?!」

あぁちょっと騒ぎ過ぎたか? 頭ガンガンする。

「…うぅ」
「ライル?大丈夫か」
「きもちわりぃ…」
「だから静かにと言ったのだ、もう着く」
「うぇぇ…」

刹那の腕の中でだきょうした。



次を曲がればメディカルルームだ。
幸いここまで誰にも会っていない。

「刹那、ロックオン…?!」
「ティエリア」
「…げ」

一番会いたくない人に、出会ってしまった。
頭を持ち上げ刹那の視線の先を見る。

「どうした、何があった!」
「ロックオンが頭を打った。念のため検査をする」
「あ、いや、本当に大したことないんだ」

慌ててティエリアにそう言えば、みるみるうちに歪んでいく顔。
やばい怒られる。
そう思って、思わず刹那の服を強く掴んだ。
だが飛んできたのは怒号でもなんでもなく―

「早く、検査を」
「あぁ」
「…へ?」
「あまり動かないほうがいい、目をつぶっていろ」

優しく掌が俺の目を覆い隠す。
手袋の感触が嫌で、目を強くつぶった。

でもティエリアに頭を撫でられたことは、何故かすごく安心した。














「大丈夫なの?ロックオン」
「……あぁ、なんだアレルヤか」
「わ、ごめん寝てた?」
「いや、寝てないよ」
「貴方がメディカルルームにいるって聞いて…お見舞いに」
「悪ぃな、大した怪我じゃないんだ…なのに刹那とティエリアがさ」

検査で異常がないことがわかっても、刹那に寝ていろと言われ出れなかった。
もういいかなと、刹那が去ってからベットを下りようとしたら入ってきたティエリアに止められる始末。

『貴方は今頭を打って寝ている。今正常でも打ったのは頭だから、用心して欲しい。 だから今日は寝ていることを推奨する』
『……オーライ、わかったよ…』
『…食事は、後で持ってくる』
『サンキュウ』

あのティエリアにまで心配…された?らしいので出歩くこと叶わず、つか出来ず。
この中では比較的にマトモな会話のできるアレルヤだったら、そんなに心配しないだろうと愚痴を零した。

「みんなロックオンの事が大事だからね」
「…兄さんだろ、それ」
「違うよ、君の事だよ」
「またまた、よく言うぜ。あの教官殿は確実に俺の事嫌ってる」

俺に縋るような視線を向けるティエリアは、俺と目が合うと瞳に絶望の色が滲むんだ。

お前はロックオンではない―と。

「…貴方は、ティエリアを誤解してる」
「ぁん?」
「彼は、守れなかったニールのためにも、貴方を守ろうとしているんです」

アレルヤのその言葉に、俺は瞬きも忘れ固まった。

「…今は信じられないかもしれないけれど、刹那も僕も、同じ気持ちだよ」
「ま、もる、って……ハハ、俺もう三十路だぜ?アンタらみたいなガキんちょに…」
「戦上では、まだ貴方は僕達より子供ですから」
「………俺は男に守られるなんて、絶対に嫌だね」
「だから、ティエリアは貴方を特別にしごいているんですよ」

アレルヤがのほほんとした笑顔でそう言う。
なんだか混乱することばかりで、後ろ頭をガシガシと掻いた。

「僕達に守られなくてもいいように、一人でも生き残れるように、ティエリアはそうするためにキツく当たってるんです」
「…そうかねぇ」
「ま、貴方が半人前のままでも僕がしっかり守りますんでいいんですけどね」
「……ハア?!」

何食わぬ顔で立ち上がり、俺の両肩を掴んでベッドに押し倒す。
やっと離れられたベッドに無理矢理逆戻りだ。

「一日安静にしていて下さいね、ご飯を届けに来たティエリアに起きてるの見付かったら怒られますよ」
「…あー、ハイハイ、もうわかったよ…」
「じゃあ僕はこれで」

アレルヤが出て行った後も、しばらくドアを見詰めて今日の出来事を思い返していた。






「…ん」
「ッ!すまない、起こしたか」
「………ティエリア…」

いつの間にか寝ていたらしく、目の前でやけに慌てるティエリアを見付け首を傾げる。
そういえばなんか頭を撫でられていたみたいな…暖かい感触が残っているような。

「食事を持ってきた。食べられるか?」
「あぁ、腹減ったよ」
「そうか、たくさん食べるといい」

食事トレーを手渡され、それを平らげる間もティエリアは無言でその場にいた。

「…ごちそーさん」

居心地があまりにも悪くて、味なんてほとんど感じない食事を終える。

「何か欲しいものはあるか」
「え?」
「就寝時間までまだ4時間程あるからな、さすがに退屈だろうと思って」
「あー…つうかもう大丈夫だからさ…今からでもシュミレートとか…」
「一日、安静、です」
「……オーライ…じゃあさ、ハロ連れてきてくれよ」
「ハロだな、わかった」

ティエリアがトレーを受け取りメディカルルームを出て行って、やっと一息つけた。
5分程で帰って来たティエリアからハロを受け取り、再度安静にと念を押されてから一人きりになる。





「………はぁ〜〜、なんか疲れたなぁ。今日はなんもしてねーけど」
『オツカレ、オツカレ』
「お前なぁ、なんであんなとこに転がってたんだよ」
『ヨル、ユレタ!ユレタ!』
「そういや惑星を避けようとして揺れたんだっけ…」

ハロに罪はない。
足元を確認しなかった自分も悪い。
ハロを抱きしめ冷たいボディに頬をつける。

「退屈だー。たく、皆どんだけ心配性なんだよ。…兄さんめ」
『ライルシンパイ、ライルシンパイ』
「えっ?」
『アイツハヌケテルトコアッテ、シカモイガイトオヒトヨシ!ダカラニーサンスゲーシンパイ!』
「はあ?!」
『ロックオンガイッテタ、イッテタ』

閉口。
もう何かどうでもよくなってハロを抱きしめたままベッドにダイブ。

『ハロモ、ロックオンマモル!マモル!』
「あ〜〜うん、サンキュー」

目を赤く点滅させ可愛らしく宣言するハロを撫でて、全く睡魔なんてないながらも瞳を閉じた。









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拍手ありがとうございました!

ちょっと初心?に帰ってみました第二弾(笑)

心配性なマイスターズいいと思います。
ティエリアがライルにツンツンなのが悲しいので、実は独り立ち出来るよう キツクあたってるんだよっていうことだったら嬉しい^^
刹那もティエリアもアレルヤも、ニールが護りたかったライルを ニールに代わって守ろうと思ってるといいよね!





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