拍手お礼SS 刹ライ *こども*
「ほら、これやるよ」
食堂での出会い頭、いきなり投げて寄越された箱をキャッチして首を傾げた。
「なんだ?」
「柏餅」
「かしわもち?」
「昨日日本で買ってきたんだよ。和菓子ってヤツさ」
「…そうか、ありがとう」
「どういたしまして」
ミッションのため暫く会っていなかったというのに、
随分と素っ気ない再会に幾分気落ちしてしまう。
「ふぁあ…疲れた、俺昼まで仮眠だから…おやすみー」
「あ、おいライル…」
「ロックオン、だぜ、刹那」
「…お帰り、ロックオン」
「…あぁ、ただいま!」
一瞬きょとんとしてから、随分幼い笑顔が輝いた。
俺の胸は一気に暖かくなり自然と口元が緩む。
今ここには二人きり。
公共の場ではあるが問題ないだろう。
ライルの腰を引き寄せキスをした。
「んっ…コラ…」
「会いたかった」
「…俺もだよ」
何度かキスを交わし、名残惜しいがライルを解放してやる。
苦笑を浮かべたライルを見送り、食べかけのランチへ向き直った。
日本には滞在していたが、和菓子などに手を出したことのない俺には未知の食べ物だ。
ランチを終え、箱を開けてみる。
「………葉っぱ?」
葉っぱが巻いてあり固まってしまった。
食べれるのだろうか。
しばし柏餅と睨めっこしていると、背後のドアがシュン、と鳴る。
「あーセイエイさんですぅ!」
「刹那」
「フェルト、ミレイナ、休憩か?」
「はいです!先程ストラトスさんにお菓子を貰ったので!」
「…あ、刹那も貰ったんだ」
「あぁ」
「柏餅ですかぁ〜…むむむ…」
「どうしたんだ?」
不満そうな顔で柏餅を見詰めるミレイナに問い掛けてみると、ミレイナはピッと
人差し指を立てて口を開けた。
「今日は5月5日、こどもの日なのです」
「……こどものひ?」
「うん、日本の祝日でね、子供の幸福や成長を祝う日なんだって」
「それとこれに何か関係があるのか?」
「こどもの日には、子供がいる家庭では柏餅を食べるんですぅ。
つまりミレイナ達は子供扱いされてるのです!」
「こども、あつかい…」
思わず顔をしかめた俺に、フェルトが苦笑する。
「ミレイナはもう子供じゃないですぅ」
「ロックオンから見たら、私達なんてまだまだ子供なんだろうね」
「……そうだな……」
お前がそう思うならこちらにも考えがある。
眼下の柏餅も掴み、思いきりかぶりついた。
「お、どしたぁ刹那?もう寝る時間…」
一日のスケジュールを終え、訪れたライルの私室。
無理矢理室内に入り込み、戸惑うライルを見詰めた。
「えと、何か用か?ちなみに俺は久々のシュミレートで疲れたから
寝るつもりなんだけど…」
「俺は子供じゃない」
「はい?」
「お前がそう思っていたのなら、今からそうじゃないと証明してやる」
「え、ちょ!なんの話っ…」
ライルに本気で抵抗される前に素早くベッドに押し倒し唇を奪った。
「………あのなぁ…お前、はやとちり過ぎ」
掠れた声と潤んだ瞳がジトリと俺を睨む。
「ただ俺は……」
「なんだ?」
「………………ご、ご…」
「ご?」
「ご家族でどうぞ!って書いてあったから買ってきたんだ!!
こどもの日なんか俺が知るか!」
真っ赤になって怒鳴り、すぐさま枕に顔を埋めてしまう。
呆気にとられた俺はしばらく動けなかったが、
心臓のあたりが驚く程締め付けられ思わずライルを抱きしめた。
「うっ、くるし…」
「お前は本当、可愛いな」
「可愛くない!」
「…ありがとう、ライル」
ココを家だと、帰る場所だと思ってくれて。
俺達を、家族だと、認めてくれて。
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拍手ありがとうございました!
ライルは家族なんかいらねぇよって突っ張ってるように見えますが
家族を一番欲しがってた子なんじゃないかなぁと思います。
まあ柏餅なんか子供がいてもいなくても食べるでしょうが
ミレイナの知識は“こどもと食べるためのお菓子”って感じということで^^
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