拍手お礼SS 刹ニルライ *ハプニング*
「ぎゃああああああああああああああああ!!!」
晩飯の用意をしていた兄がキッチンで叫ぶ。
俺は驚いてソファーから飛び起きた。
刹那も悲鳴が聞こえた方向を見詰め固まっている。
「に、兄さん?」
恐る恐る声を掛けると、ジリジリと後退りしながらキッチンを出てきた兄がくる
りと振り返り突進してきた。
「ヤツがあああああ!!」
「どわぁっっ!!」
勢いを殺さず抱き着いてきた兄と一緒にソファーに背中からダイブする。
兄が高い金を払って買ったソファーはフカフカで衝撃を全て吸収してくれた。
「ぐえ…にいさん苦しいっ」
「無理無理無理!俺アイツだけは無理なんだーッ!!」
「アイツとはなんだ、ニール」
「ヤツだよ!黒い弾丸…台所の悪魔だ!!」
その言葉を聞き、俺もサッと顔を青ざめさせる。
俺の緊張が伝わったのか、兄は俺を守るようにぎゅうと強く抱きしめた。
刹那が鋭い視線をキッチンへ向ける。
その背中には殺気すら感じた。
「ゴキ○リか」
「その名を出すなぁっ」
「我が家の一大事だな。刹那・F・セイエイ、目標を駆逐する!」
「お、おおい刹那っ!」
雑誌を丸めた刹那は勇ましくキッチンへ向かった。
待ってくれ、その雑誌まだ読み終わってねぇんだよ!
そんな俺の心の叫びに気付かず、刹那はキッチンへ息を殺しながら消えて行った
。
「……に、兄さん…」
「だ、大丈夫だライル。刹那は強い男だから…」
「そ、そうだな」
二人で手を握り合い、ソファーからキッチンの様子を伺う。
何度かバシバシと壁や床を叩く音が聞こえたかと思うと、刹那の切羽詰まった声
が届いた。
「まずいっ…!」
「刹那?どうし…」
「逃げろライル!」
「え…」
嫌な羽音をさせて黒いものがリビングに飛び込んでくる。
ぞわわっと一気に鳥肌が立った。
声も出ない俺を兄がガバッと抱きしめる。
「ライル!」
「あっ…」
バチッと鈍い音が鳴り、俺を抱きしめる兄が喉から搾り出したような変な声を上
げた。
「ひへえぇっ」
「に、兄さん?!」
「ニールッ」
「ららららいる…下は見るなよ…っ!せ、せつなぁっ」
身体がガタガタ震え出し、裏返った声で刹那を呼ぶ。
ジリ、と寄ってきた刹那がゆっくりと頷いた。
「俺に構わずやれ…!」
「了解した。お前の覚悟を無駄にはしない」
「頼んだぜ…刹那…!」
たかがゴキ○リとはたから見れば笑うだろう。
だが兄と刹那は戦場にいるかのような会話を交わし、俺もまたグッと胸に込み上
げたものを飲み込んだ。
「目標をっ…駆逐するっっ!!」
「いづっっ!!」
「ッ…!」
バチーンッッ
鋭い音が響き、振動が俺にまで伝わり思わず目をきつく閉じた。
ガクリと力の抜けた兄の身体を支え、恐る恐る目を開く。
「せつな…」
「目標を駆逐。ミッション完了」
「よ、よくやった…刹那…」
「すまない、強く叩き過ぎてシャツにざんが…」
「うわあああああああああああ言うな言わないでくれぇぇ!!」
至近距離の兄の悲鳴に顔をしかめてから、頭を撫でて額にキスを贈った。
アンタは勇者だよ。
「ありがとな兄さん、庇ってくれて…」
「ライルのためならなんだってするさ」
「イチャイチャしてないで着替えてこい。気持ち悪い」
「………ムードぶち壊しだな刹那」
「ふん」
兄が自室に去った後、突っ立ったままの刹那の傍に歩み寄る。
少し機嫌の悪い理由は簡単にわかった。
そうだよな、お前だって
「刹那」
「…なんだ」
「ありがとうな」
そう言えば、刹那はわざとゆっくり俺と視線を合わせた。
まだムスッとした表情で、思わず頬を緩めてしまう。
「せーつな、どうすれば機嫌直してくれる?」
「…ヤツを退治したのは俺だ…」
「あぁ、そうだな。かっこよかったよ」
「…じゃあ、ご褒美をくれ。ニールばかり、狡い」
可愛い呟きに、堪えきれなくなった俺は小さく吹き出した。
途端に刹那の眉間に増えたシワ。
「む…」
「ごめんて。いや、好きだなぁって思ったんだよ」
「好き…?」
「そ。刹那、ありがとな。俺の勇者サマ」
ポカンと口を開ける刹那に、そっとキスを贈った。
「あーーっ!!俺のいねぇとこでイチャイチャしてる!」
「喧しい。正当な報酬だ」
「兄さんうるさいよ。ってか刹那、手洗って来い。ティッシュ越しとはいえヤツ
を掴んだんだし」
愛すべき日常に、小さなハプニング。
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拍手ありがとうございました!
せっさんはびっくりする程男前!^^
ニルライはヤツが苦手だと可愛いです。
ナチュラルに三人暮らしな刹ニル×ライ美味しいですね!
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