*The occlude world*



きょん様に捧げます

*二期、ニール生存設定
*ニールが大好きな病み気味ライル

許せる方のみど〜ぞ





やっとニールに会えたのに。

目の前の光景に腹が立つ。

俺の知らない奴ら、俺の知らない兄さんを知ってる奴ら。
なんで兄さんの傍にいるんだよ。
そこはずっと俺の場所だったのに。

一度そこから逃げ出した罰なのか?

だったら償うから。

なぁ兄さん、俺を見て。



「ライル?」
「っ、あ、え、何?」
「どしたぁ、眉間に皺寄せちまって!いい男が台なしだぞ」
「…アンタと同じ顔だよ」

俺の想いが通じたのか、ニールは俺の傍まで寄って来てくれた。
眉間を人差し指で撫で、頬に軽くキスをくれる。

「俺はお前みたいに可愛くないよ」
「俺だって可愛くない」
「可愛いよ」

ニールが俺に夢中になると、どうしようもなく優越感が沸き上がった。

「ニール、まだ話は終わってないです」
「あー、悪い悪い。話していいぜ」
「……そんなんで頭に入るのか?」
「だぁいじょーぶだって」

俺の腰を抱いたままなのが不満なのか、刹那達は苦い表情をする。

その顔が見たかったんだ。
思い知れよ、兄さんは俺のだってな。

「…では、続きを話します」
「おう」

前回の戦闘時について、ティエリアが反省点を述べていく。
ニールの意識がティエリアに向いていくのが気に喰わないから、頬に擦り寄ってみた。

気付いたニールはへにゃりと笑って再度俺の頬に唇を寄せる。

「……もういい。貴方については後回しにします。アレルヤ、自己反省点については?」
「あ、うん。えーと」
「あらら、怒らせちまった」
「兄さんはしょうがねぇなぁ」
「だってお前が可愛いことすっからだろぉ?」
「してねーよ」
「ニール・ディランディ!ロックオン・ストラトス!!私語を慎みなさい!!」
「おぉ、こわっ」
「悪い悪い、教官殿」

ティエリアはヒステリックに怒鳴り、俺達は揃って肩を竦めた。









「お前はいつからこんな甘えん坊になっちまったんだ?」
「兄さんの前でだけだよ」

時間が空けばニールを探し、ニールに引っ付く毎日。
ニールも最初こそ戸惑っていたようだが、今は俺を見付けると嬉しそうに自分から抱き着いてくる。

「可愛いけど、ちょっと不思議かな」
「…言っただろ?俺は兄さんが大好きなんだ…。もう昔みたいな間違いは犯したくない…兄さんが好きだ」
「…そか。俺もお前が好きだよ。愛してる」

過去の過ちは繰り返さない。
好きならずっと傍にいるべきだ。

愛してると告げれば、ニールも愛してると言ってくれた。

なら問題ないじゃないか。
これからは二人で生きていけばいい。

「兄さん、ずっと傍にいてくれ。俺だけの兄さんでいて」
「もちろんだとも。離せっつったって離さないからな」

満たされる気持ち。
俺達二人だけの空間。

邪魔なんてさせない。

兄さんは全部俺のモノだ。









「兄さん」
「お、ライルー」
「待てニール」

自身のスケジュールを終え、ニールを探して訪れたシュミレーションルーム。
刹那の射撃シュミレートのコーチをしていたらしい。
俺に気付いてすぐさまこちらに来ようとしたニールの腕を、刹那が掴み引き止めた。

「まだ説明の途中だろう。放り出さないでくれ」
「あー悪ィ。えーとどこまで話したっけか?」
「軌道のブレだ」
「あー」

刹那がニールに触れているのが腹立つ。
距離も近いし。

気付けば足はそちらに向かい、思い切り刹那の手を振り払った。

「お、おいっ」
「っ…兄さんに触ンなよ」
「……今ニールは仕事中だ。場をわきまえろ、ロックオン」
「なっ…」
「ライル!刹那も!喧嘩すんな!…ほらライル、今はちょっと構ってやれねーけど、そこにいてくれるか?」
「…………わかった」
「お利口さん。後でたっぷり可愛がってやるからな」

納得いかないが仕方ない。
ニールから唇にキスを貰い、僅かに機嫌が直った俺は大人しく隣のシュミレータ ーのイスに腰掛けた。

刹那なんか放っておけよ。
俺のことだけ見ててくれよ。

俺は兄さん以外、全部いらないのに―。











「真剣に話を聞いて欲しい」
「俺はいつだって真剣だぜ?」
「ニール…」
「…悪い。で、なんの話だ?」

マイスターが集まったとある一室。
そこにライルの姿だけがない。

「貴方と、ライル・ディランディの関係についてです」
「そんなの、公言しただろ?俺達は…」
「違う。それについてではない」
「…じゃあ、なんだよ」

ティエリアが眼鏡を上げ、一拍置いてから口を開いた。

「ライル・ディランディの貴方に対する接し方は異常だ。我々に対しても。貴方 もわかっているでしょう?」
「これではじきにミッションや戦闘時にも支障をきたす」
「正直、信頼してくれない人に背中を預けるのは無理な話だ…」

ティエリア、刹那、アレルヤが順番に進言する。
ニールは苦虫を噛んだような表情でジッとそれを聞いた。

「…ニール、このままではお前達もダメになるぞ」
「………わかってる。あぁ、わかってるさ!だがどうしろって言うんだ?!俺は アイツを愛してる!アイツに二度と寂しい思いはさせたくねぇんだよ!」

ニールの叫びに、三人は口をつぐむしかなかった。
三人とて解決策が浮かんでいるわけではない。

「…しかし、これから戦況はどんどん切迫して行きます。このままでは…」
「…少し距離を置いてみたらどうだ」
「そんなことしたらライルが悲しむ…」
「お前が言い聞かせれば、聞くかもしれない。無理に離すのではなく、離れている時間を増やしていくんだ。そして、俺達とお前がいても平気になるように少しずつ慣らしていけばいい」
「……でも…」
「全員合同のプランを増やそう。ライルに、我々といることを自然だと思ってもらわなければ」
「…みんな…」
「極度な依存は歪みを生むぞ、ニール。ライルのためにも、修正しなくてはならない」

ニールはしばし悩んだ末、うなだれながら小さく「わかった」と呟いた。










今日のニールは様子がおかしい。

ほとんど二人で使っているニールの部屋で、俯いたまま口を開こうとしないニールの顔を覗き込む。

「なぁ兄さん?どうしたんだ?」
「いや、ちょっとな。なぁライル」
「んー?」

ベッドに座るニールの膝の上に導かれ、向き合うように座る。
ニールの掌が頭を撫で、耳たぶを弄りながら顔中にキスをされた。

「なんだよ?どうしたんだ?」
「あのな、明日ラグランジェ2に物資補給とかしに行くだろ?」
「あぁ」
「…で、俺ちょっとそっちで仕事しなきゃならなくなってさ」
「…え?」
「一日中会えないってわけじゃないぞ。二人きりってのは減るが…お前らマイスターの合同トレーニングを増やすらしくてな。それのコーチもすっからさ」

ニールと会えなくなる。
その事実だけが頭に入り胃の辺りがひんやりと冷える。

拒絶反応だろう、軽く目眩がしてきた。

「…やだ」
「ライル?」
「絶対やだ、そんなの。なぁどこで仕事してるとか、逐一教えてくれよ?そしたら俺会いに行くから」
「…いや、綿密な作業とかしなきゃなんねーから、お前が来ても構ってやれない し。でもいいだろ?合同トレーニングで…」
「嫌だ、アイツらがいると兄さんはあんま構ってくれないから。二人きりで…少しの時間でだっていい」
「……ダメだ、わかってくれライル。な?ずっと会えないってわけじゃないんだ 。少し我慢すりゃぁ…」
「嫌だッッ!!」

ニールが俺を否定する。
ニールが俺といることを拒む。

そんなの嫌だ耐えられない。

思い切りニールを突き飛ばし仰向けに倒れた腹の上に乗った。
抵抗されないように肘あたりをしっかりと押さえ付ける。

「ら、らいるっ」
「傍にいてくれるって言っただろ?少しの間だって傍にいたい。今だって充分我慢してる!兄さんが刹那達の相手してるの黙って我慢してるじゃないか!俺以外と話す兄さんを見るのは嫌なんだよ!」
「ライル、落ち着けよ!」
「仕事って誰から言われたんだよ?スメラギか?あの人も俺達の邪魔すんのかよっ」
「おいっ…」
「兄さんは俺のだろっ?絶対やだ離れたくない!」
「ライル!」

怒鳴られたって怯むもんか。
もう二度と離れないって決めたんだ。

どうにかして俺をどかそうともがくニールをこっちも必死で押さえ付ける。

「刹那達と話してるの嫌なのに、我慢してるのに」
「無茶言うな!俺達は仲間だろ?会話もするさ、お前だって…」
「俺は兄さん以外いらないんだ」
「っ…」
「俺には兄さんさえいればいい。刹那達なんかいらない。むしろいなくなってく れれば最高だな」
「…ライル、今のは言い過ぎだ」
「…兄さんは、刹那達がいなきゃダメなのか…?」
「当たり前だろう!ずっと一緒に戦ってきたんだ、一人でも欠けたら悲しいに決まってる!」

ニールの一言一言が鋭いナイフのように胸に突き刺さる。
痛くて苦しくて悲しくて、俺の両手はゆっくりとニールの首にのびた。

「…兄さんは、違うんだな…」
「うっ…」

ニールの瞳が恐怖に染まることはない。
ただ哀の色を浮かべ細められるだけだ。

「俺以外が必要な兄さんはやだ…二人でいいじゃないか…もう俺には兄さんしかいないよ…兄さんは違うのか?」
「ライル…」

ゆっくりと指先に力を込めていく。

「………俺より、刹那達の方が大事なのか?」
「ぐ、う」

問い掛けているのに首を締め上げ喋らせないようにしてしまうのは、答えを聞くのが怖いから。

ニールが震えながら腕を上げ、そろり、と俺の頬を撫でた。
瞬間、頭が真っ白になる。

「ッッ!!」
「かっ、げほっ!げほ!」
「あ、にい、る」

反射的に腕を離したことで気道が確保されたニールは背を丸めて咳込んだ。

「ごめ、やだ、やだニール、違う、そうじゃない」
「は、はあっ…けほ、はぁ…」
「ごめん、ちがうんだ、死んじゃ嫌だ、一人にしないでくれよ…やだぁ…」
「……ライル」

自分のしたことが信じられなくて、よろりとニールの上からどいて壁際に逃げる。

ニールの顔を見るのが怖い。
こんなことした俺を嫌いになったかも。

そんなの嫌だ、一緒にいたい。

「ライル、こっち向け」
「ひ、う…」
「ライル、我が儘言わないで、俺の言うこと聞いてくれよ」
「にい、さ…」
「…このままじゃ困るんだ。………一緒にいられなくなっちまう」

ニールにとっても、苦しい一言。
ずっと傍にいてやりたいが、刹那の言う通り極度な依存は歪みを生む。

かつて自分がそうだったように。

ライルが異常に自分に依存してくれたのが嬉しかった。
でも、このままではダメだと気付いていた。

これをキッカケに、少しでも変われれば―


「置いていくのか?」
「…え?」
「また置いていくのか?俺を一人にするのか?」
「ライル、」

ただただ、ニールと一緒にいたいだけなのに。
二人きりで、二人だけの世界で。

「兄さんの世界には刹那達がいるんだな」
「おい、ライル」

脱ぎ捨てた上着に手をのばす。
そこには一緒に拳銃も放ってあった。

「ライル!!!」

拳銃を素早く自身のこめかみに宛てた俺に、ニールが目を見開き叫ぶ。

「俺が欲しいのは兄さんの全てだ。手に入らないなら、また置いていかれるなら 、先に置いてく」

ニールを殺すなんてできないから。
だって独りになりたくない。
だったら俺が先に行けばいい。

「よせ!!ライル、だめだ、それはだめだ!」
「兄さんの全部俺にくれないなら嫌だ!刹那達となんか喋るなよ!必要とすんなよ!俺だけを求めてよッッ!!」

独りぼっちはもう嫌なんだ。

ニールの周りにはいつも誰かがいて
その誰かは透明な壁を俺の前に作る。

ニールが手を差し延べてくれても、誰かがいる限りその壁は消えないんだ。

独りぼっちは嫌だ、兄さんだけいればいい。

「にいさん、にいさん、ひとりはいやだ」
「ライル、俺だって独りは嫌だ…!やめてくれ、お前がいなくなったら、俺は生きてる意味がないっ…!」
「うそだ、だってにいさんにはせつなたちがいるもんな」
「違うだろ!アイツらとお前じゃあ、そもそも比較なんかできねーんだよ!」
「じゃあなんでおれをえらばないんだよ?おれがいなくてもいいからだろ?」
「ライル!!」

カチリ、と人差し指に力が篭った瞬間、ニールの腕が拳銃を払った。
どこか上の方で着弾した音が響く。

「っ…は…あ、ぁあ…」
「…しなせてもくんねーの?」
「あぁ…だめだ…ライル、生きてくれよ…俺のために…」
「…………俺が必要?」
「必要だ…お前だけが」

ガタガタと震えるニールの腕の中で、ぼんやりと傷付いた壁を見る。

「俺だけ…?」
「…………ライルだけが、俺の全てだ。他には何もいらない」


その言葉を聞いた瞬間の幸福感を、俺は一生忘れないだろう。









さぁ、これからどうする?


二人きりの世界で、何をしようか?















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きょん様に捧げます!!!

本人様に限りお持ち帰り自由です。

テーマは“ニールが大好きな病み気味ライル”だったのですが
病み気味というより病んでしまいました(爆)

ものすっごく試行錯誤しました…!!;
ライルが兄さん大好きで病んでるの、他所様で見るのは大好きだったのですが
いざ自分で書くとなるとこんなにも難しいとは・・・!!
何度兄さんの方が病みそうになったことか(笑)
結局最後は兄さんも病んだみたいですが…^^;

リクエストありがとうございました!
新たなスキル(ヤンデライル)を習得できた気がします…!




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