*Birthday*
*二期後
*クラライは友達以上恋人未満(笑)
許せる方のみど〜ぞ
地上での単独ミッションを受け、地上に降り立ったのは4月の頭頃だった。
期間は一週間程度。
なんの偶然か任務地はユニオンの首都で、俺の頭の中には旧友の顔が浮かんでいた。
ミッションを終え、戻ったホテルでトレミーへと連絡をする。
あらかた報告を終えてから思いついたことをスメラギに聞いてみた。
「あぁ、そうだ。なぁどうしてもすぐに帰艦しないとダメか?」
『え?……そうねぇ、今は目立った動きもないし、別にすぐに、じゃなくても大丈夫よ?』
「だったら三日程休暇を貰えないかな?野暮用があって」
『ええ、構わないわ。お土産楽しみにしてるから』
「ハハ、りょーかい」
『…あ、でも…』
「ん?」
『…いいえ、なんでもないわ。休暇、楽しんでらっしゃい』
「あぁ、ありがとう。それじゃあ」
なにか引っ掛かりを感じながらも、通信を切る。
休暇はもらえた。
そうと決まれば早速と呼び出すダイヤル。
何コールも鳴らしてみるが相手は出なかった。
なんてったってお忙しい政治家様だ。
大人しくカタロン時代に使っていた暗号を留守電に吹き込み、端末をベッドに放る。
「…しっかし…スメラギは何が“でも”だったんだ?」
この時は気付かなかった。
旧友よりも先に思い出していれば、と思ったところで後の祭である。
「ジーンワン!」
「おう、クラウス」
「すまない、待たせてしまったな。さぁとりあえず乗ってくれ」
目の前にやって来た黒のベンツから、懐かしい顔が現れ車内に招かれる。
中も想像通りの豪華さで苦笑が漏れた。
「なんだい?」
「いや、アンタにゃあんま似合わないなぁって」
「ハハハ、言わないでくれ。私が一番そう感じている」
旧友―クラウスは、新連邦政府の政治家として活動していた。
記憶の大半を占めるのは、砂漠の国で砂まみれになりながら働く彼の姿。
キッチリとスーツを着て仰々しい車なんかに乗る彼がしっくりこない。
「しかし今日はまたいきなりどうしたんだい?」
「鈍いのは相変わらずなんだなぁアンタは」
「ん?私はなにか忘れているか…?」
「まさか当日にアポ取れるとは思ってなかったんだけど。周りも忘れてるとかないよな」
「だから一体……あ」
やっと気付いたらしい彼の膝の上に、ポンと箱を置いてやる。
「HAPPY BIRTHDAY、クラウス」
「あぁ!ありがとう!嬉しいよ、君が覚えていてくれたなんてなぁ」
「まぁ一応、長い付き合いだからな」
「…すまない…私は君になにもしていない…」
「ん?あぁ気にすんなよ。ゴタゴタしてた時期だったもんな」
「それでもメールの一通でもしたかったんだが…」
「だーから気にすんなって!ほらそれよりプレゼント、開けてみてくれよ」
「あ、あぁそうだな」
馬鹿丁寧にラッピングを剥いていく様子は昔から変わらない。
中から現れたソレを見て、クラウスは目を輝かせた。
「相変わらず君のセンスはいいな!」
「まーね」
「私はとくにこういうのに疎いから…嬉しいよ」
「たいしたモンじゃないよ。それにもっとイイもん貰ってるだろ?」
「そういう問題じゃないんだ。君の気持ちが篭っている…素晴らしいプレゼントだよ。ありがとう、ライル」
「……照れるからそんな喜ぶな…」
たかが一つのネクタイピン。
クラウスはそれを手に取り愛おしげに見詰めた。
そしておもむろに車内電話の回線を開く。
「やはり君になにかプレゼントしなければ」
「は?」
「私の気が済まないし、君にも私が贈ったモノを持っていて欲しい。なにせ君は宇宙に上がると決めた時に全て処分してしまったくらいだからな」
「う、だって、」
「あぁ、すまないが、ショッピングモールへ向かってくれ」
「おおいクラウス!」
「なに?スケジュールが…?……なんとかしてくれ」
「おいって!」
「あぁ、あぁ。ありがとう、君のような優秀な部下を持って私は幸せだよ。あぁ、それじゃあ」
「……アンタなぁ…」
自分を置き去りに交わされる会話に頭痛を覚えた。
窓越しにチラチラとこちらを伺う秘書の視線が痛くて仕方ない。
「よし。何をプレゼントしようかなぁ」
「行動力はピカイチだよな…」
プレゼントを渡して、軽く会話をして、さっさと帰ろうと思っていたのに。
「今晩食事でも、と言いたかったんだが…なんでも私のバースデーパーティがあるらしい…」
「そりゃああるだろうな」
「すまない、ライル。あまり時間をとれなくて」
「いいって。それよりプレゼントありがと、クラウス」
「お礼を言うのは私の方だよ。久しぶりに君と会話が出来て楽しかった」
「俺もだ」
「ソレは捨てずに持っていてくれよ?次に会う時に持っていなかったら泣くからな」
「バカ、いい大人が何言ってんだよ」
「…私も、これを大切にする。また必ず会おう」
「…おう、もちろん。それじゃあ、な」
「あぁ、元気で」
「そっちこそぶっ倒れんなよ!」
広い額に人差し指を突き付ける。
やっと笑顔になったクラウスに手を振り、走り去るベンツの姿が見えなくなるまで見送ってから、踵を返した。
いまさっきプレゼントされた腕時計を見て、残りの時間をどうしようかと思考を巡らす。
「……みんなに土産でも見繕うかねぇ」
「おう、お帰りーロックオン」
「ただいま、イアン」
「どーだ、地上は楽しかったかぁ?」
「まぁそれなりにね。あ、土産あるからさ、食堂に置いとくから食べてくれな」
「おう、すまんなぁ!」
ブリッジでスメラギに土産のワインを渡す。
ミレイナ達にも食堂にお菓子があることを伝えると、もの凄く喜ばれた。
「休暇、満喫できたかしら?」
「あぁ。それなりに」
「ふふふ、お洒落な時計ねぇ?」
「さすが女性は目敏いな」
「ふふ、あぁそうだわ。明日でもいいんだけど、これやっておいてね」
「ん、オーライ」
スメラギから仮想ミッションの指示を受け、端末に入力する。
とりあえず着替えるべく自室へと足を向けた。
「…お?」
自室の前に青い制服を見付け、相手も自分に気付いたらしくこちらを向く。
「よぉ刹那」
「…お帰り、ロックオン」
「ただいま。どした?俺になんか用事でも?」
とりあえず中へと促すと、無言で着いてくる刹那。
少し待ったが何も喋ろうとしないから、肩を竦めて上着を脱いだ。
「…これは?」
「わっ」
手を上げたことでこの真新しい腕時計に気付いたらしい。
刹那は急に腕を取りまじまじと腕時計を見た。
「あー、貰ったんだよ」
「クラウス・グラードにか」
「………そんなことまでわかるのかよ?イノベイターさんは」
「…違う。ただの予想だ」
「へえ?」
「…………お前が、休暇を取ったのは…ソイツのためだろう…」
「…そう、だが…」
刹那が、イノベイターの能力を使って俺の思考を読んでいるのかと思った。
しかしどうやら違うらしい。
不安げに揺れる刹那の瞳は、いつもの赤茶色をしている。
「なんでわかんだよ」
「…誕生日」
「え?」
「クラウス・グラードの誕生日は4月9日だと、お前が前に言っていた」
「…あ、あー、よく覚えたな…………ん?」
なにか、引っ掛かる。
なんで刹那にクラウスの誕生日なんか言ったんだ?
なにか流れがあったはずだ。
ふと、スメラギのあの“でも”が耳元にこだまする。
何かが浮上しかかった瞬間、俺は背中に鈍い衝撃を感じ目をつむった。
「ッ…なんっ」
視界を埋めるのは刹那の顔。
言葉を失った隙を狙い、素早く唇が塞がれる。
「ん、んっ…!」
深くキスをされながら、両手はしっかりと顔の横に固定されていることに気付いた。
どうやらベッドに押し倒されたらしい。
「ンッ、ん、ふは!ちょ、いきなりなにすんだよ!」
「…アイツのためにはわざわざ休暇を取るのに……」
「…刹那?」
「やはり、俺はまだお前の中にいないのか…」
「なに、言ってんだよ…」
また顔が近づいたから、慌てて顔を逸らした。
しかしキスをしようとしたわけではないらしく、ぎゅう、と抱きしめられる。
「…刹那?」
まるで拗ねた子供だ。
自由になった手でボサボサの頭を撫でてみる。
「…あっ」
やっと思い出したあるコトに、俺は頭を抱えたくなった。
「わ、るい…ごめんな、刹那」
「…なんのことだ」
「誕生日、お前の誕生日忘れてたよ」
「…ハッキリ言うんだな」
「まぁ、事実だからなぁ。そうだったよ、俺が聞いたんだ…なのに忘れてたとか …最低だな俺」
「そんなことはない。ただ、俺よりクラウス・グラードとの付き合いの方が長いからだろう」
刹那は物分かりのいいコトを言いながらも、身体は更に密着させようと強く抱き着いてくる。
なんだかやたら可愛らしい様子に思わず頬が緩んだ。
「確かにそうだろうけど、悪いのは俺だからな。なぁ、刹那、どうしたら機嫌直してもらえるんだ?」
「……………」
無言で身体を起こし、俺の腕を引っ張り向き合うカタチで座り込む。
刹那はおもむろに腕時計を外しだした。
「刹那?」
「…俺がいる時には、これはつけないで欲しい」
「…嫉妬?」
「わからない。お前が言うなら、そうなのかもしれない」
「……はは、は…ったく、ホントに困った奴だなぁアンタは」
「すまない…」
「謝るなよ。俺はそんな刹那が好きなんだから」
ほんの少し軽くなった左腕を上げ、そっと刹那の頬を撫でる。
「ごめんな。祝ってやれなくて…。プレゼントもなくてさ、なにかしてやれればいいんだけど」
「プレゼントならある」
「んん?」
「ココにある」
またしても塞がれる唇。
舌が侵入し、わざとその舌から逃げてやるとガッシリと両手で頭を掴まれた。
拙いキスを受けながら刹那の腰に両手を回す。
「ふ、はぁっ、は…プレゼント、て…俺?」
「…今日一日のお前の時間を俺にくれ」
「…時間でいいの?」
「……………あぁ」
「…たく、素直に俺が欲しいって言わないならやらねーぞ?」
「っ、そ、れは…」
「いいか刹那」
自分から唇を寄せ、合わせるだけの幼いキスをする。
「俺はお前のモンになるって決めたんだ。刹那がそれを許してくんなきゃ困るんだが?」
「……くれるのか?」
「刹那が望むなら」
「…ライル、俺はお前が欲しい」
「オーライ、もらってくれよ」
刹那が、ふんわりと幸せそうに微笑んだ。
その笑顔が嬉しくてこちらまで笑顔になる。
「ライル、愛してる」
「せつなぁ…俺もう若くないからさ…ちょっとは手加減してくれよ…」
ベッドに突っ伏し全く動けずに恨み言を呟く。
「すまない、抑えがきかなかった」
「つまり今までは遠慮してたってことか…」
成り行きで身体を重ねて、お互い愛情も育んでから数ヶ月。
再起不能になるまでシたことはなかった。
しかも腕の内側についたたくさんのキスマーク。
「…こりゃすげーな…」
「日本にいた頃、それは好きな人にする所有印みたいなものだと聞いた」
「みたいだな。それにしたってつけ過ぎだって」
「すまない…」
腕だけでなく、首筋や背中、内太ももにもついているハズだ。
刹那がこんなに独占欲が強いとは思ってもみなかった。
「刹那、次の誕生日はしっかり祝うから」
「…あぁ、頼む」
「俺の誕生日も忘れんなよぉ?」
「もちろんだ」
二人で微笑みあい、キスを交わす。
「遅れてごめんな。HAPPY BIRTHDAY、刹那」
「ありがとう、ライル」
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出来上がりきってなかった刹ライです(笑)
二期後、なんやかんやあって刹那に迫られたライルは流されて受け入れちゃって
セフレ程度の認識だったのが段々刹那の真剣な想いに感化されていって
その頃刹那はイノベの力に悩んでたりして、ライルは刹那に想いを寄せることを決めてー
みたいな感じです(笑)
そんなんで刹那の誕生日を聞いたりしてたんだけど
クラウスと近かったもんだから印象がうす〜〜くなりました^^
4月の誕生日=クラウスっていう刷り込みがあったライルはすっかり刹那の誕生日忘れてました^^
ぐううなんだかグダグダになってしまったのが悔しい!!
クラウスとの絡みが楽しかったせいだ!!
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