*人気者*
*パラレル学生設定
*ニルライ←刹那
許せる方のみど〜ぞ
俺の双子の兄は人気者だ。
容姿は全く同じだから自分で言うのはなんだが、良い方だし
性格は超がつくほど良くて
成績優秀、運動神経も抜群。
つまり俺の兄は素晴らしく出来た人間であるということだ。
そしてそんな兄とは反対に、俺は出来損ないだった。
兄のように誰にでも優しくなんて出来ないし、他人にはまず壁を作る。
成績は問題ないが授業態度に問題アリ。
運動神経も悪くないがしないから問題外。
出来過ぎた兄に対するコンプレックスから、というのは言い訳かもしれないが俺は捻くれていた。
そんなワケで兄弟仲があまり良くないと思われている俺達だがそれは勘違いで、 俺達の仲は良いを通り越している。
何がキッカケかと聞かれればわからないとしか答えようがない。
俺達はごく自然に…そういう仲になっていたのだから。
「相変わらず人気者だな、彼は」
俺の視線の先を見たクラウスが苦笑混じりにそう言った。
俺も肩を竦めて同意する。
「みんな兄さんが大好きだから」
「私は君の方が好きだけどね」
爽やかな笑顔でそう告げるクラウスに、口を間抜けに開けて唖然となってしまった。
時々こいつはとんでもない発言をする。
「…びっくりするからやめてくれ、そういうの」
「君がニールにひがむ必要はないんだと、そう言いたいんだよ」
「…わかってる、別にひがんでねーよ…。ただちょっと、眩しいだけ」
「そうだな、彼は確かに眩しい。おや、気付いたようだ」
クラウスの言葉に、俺も兄の方を見遣るとこちらを見てニコニコしている兄がいた。
「うーん、私は早々に退散することにするよ」
「あっおい!逃げンのかよ!」
そそくさと去って行くクラウスと入れ代わるように兄が俺の目の前まで来る。
俺の教室の前にいたのは俺に会いに来たからだというのはわかっていた。
何人かは兄が行ってしまったことで恨めしげに俺を見る。
これが物凄い苦手だったりする。
「ラーイル、今日の昼飯屋上な?」
「あーうん」
「お前一人で来いよな?」
「……はい、はい」
「…ったく、お兄ちゃんは心配だよ、浮気すんじゃねーかって」
ボソりと呟かれた言葉に眉を寄せた。
ジト目で兄を見ると、割と真剣な表情をしていて驚く。
「できねーっつの。相手に何されっかわかんねーもん」
「あら、わかってた?」
「アンタのことだからね」
「そ、俺はライルを繋ぎ止めるためならなんだってするんだ。よく覚えておけよ 」
「…はいはい…」
「はいは一度!」
「…はーい」
「よし!じゃあ戻るな?授業サボんなよ」
去り際に頭を撫でられたからその手を払った。
誰だってこの歳になって公衆の面前で頭を撫でられるのは嫌だろう。
なのになんだ、この批難の視線は
「ごめん。じゃな!」
「っ…」
軽く謝り颯爽と去って行く兄。
去った兄を見る視線には羨望が
残された俺を見る視線には批難が
俺は深く息を吐き出し目を伏せた。
慣れている、こんなこと。
他人の視線に負けて兄から離れるよりも、視線を無視して兄の傍にいることを選んだのは俺だ。
「後悔はしてないけど、さ…」
「今日はニールとかい?」
「あぁ、悪ぃな。ほんとあの人気まぐれだからさ」
「大丈夫だよ、君を独り占めはできないからな」
「変な言い方すんなっての」
教室を出て購買に向かい調達する昼飯。
屋上に向かう途中で、生徒に囲まれた兄を見つけた。
女子の方が多いが男子もそれなりにいる。
ニール、一緒にご飯食べよう。
お弁当作ってきたの。
昼休みにサッカーしようぜ。
次の授業の予習付き合って。
等など…口々に言う生徒達。
俺は関わるのが嫌で来た道を引き返していた。
綺麗な青空を見上げ、ぼんやりとパンを口に運ぶ。
兄を待つ気などこれっぽっちもなかった。
待っていたら昼休みが終わってしまうだろう。
少し離れたところで朝食をとっている女子達の笑い声や、校庭から届く生徒達のはしゃぐ声に耳を傾けながら
機械的に口を開いてはパンを飲み込んでいく。
暫くして目の前が陰り、顔をあげるとそこには待ち人ではない人が立っていた。
「おぉ、刹那だ」
「珍しいな、一人か?」
兄に構われまくったのがキッカケで俺とも知り合いになった一年生の刹那。
コンビニの袋を下げて俺の隣に座り込んだ。
「クラウスと一緒ではないのか」
「今日は兄さん」
「…来ていないようだが」
「途中で捕まってたからなぁ。もう暫くは来ないんじゃね」
「相変わらず外面のいい奴だな」
「ハハッ、兄さんのことそんな風に言うのアンタくらいだよ」
「中々素を見せないからなニールは。本人としても作っているつもりはないんだろう」
「…そうだな。素だとかなーりダークだったりするのにな」
刹那は幼い見た目に反し、かなり大人な性格の持ち主だ。
人の本質を見抜く大きな赤茶色の瞳が、実は少し怖かったりする。
人当たりの良い兄に対して、決して良い人ではないと言うのはこの刹那くらいだ。
「ほんと俺、お前のそういうとこ好きだけど苦手でもあるわ…」
「なんだ?薮から棒に」
「なんでもねーよ」
刹那のと会話は心地良い。
会話といってもほとんどしないが、沈黙が苦痛じゃないのだ。
「ライルッ!!」
突如耳を打った大声にびっくりして顔を上げれば
声を掛けてくる女子達を軽くかわしてズカズカとこちらに寄ってくる兄がいた。
「…割と早かったかも」
「いやしかしもう15分もすれば昼休みは終わるぞ」
「最高記録は鐘鳴ってからだからなぁ」
「それは酷いな」
「なんでお前さんがいるんだよ」
俺の左隣に座り込み低く唸り刹那を睨み付ける。
この光景を兄さんのファン達が見たらびっくりすることだろう。
「たまたま会った」
「距離が近い!もっと離れなさいもしくは俺の隣に来なさい!」
「喧しいよ兄さん」
「それより早く食べないと昼休みが終わるぞ」
「今日はライルと二人きりで食べる日なの!お前さんはお呼びじゃないの!」
「さてと今日のデザートはプリン」
「お前プリン好きだな」
「ゼリーとかも好きだぜ」
「お兄ちゃんを無視しない!!!」
グリッと頭を兄に向かされる。
首の筋が嫌な音を立てた。
「いだっ!」
「ライル、遅くなってごめんな?必死で急いだんだけど…。もういっそ世界に二人だけになれたらいいのにな…」
「病んでるな」
「そこ、茶々いれない」
「あーもうわかったから。早く食べろよ、昼休みマジ終わる」
「そうだな!ライルの顔見ながら食べれるのは幸せだな〜」
「朝晩見てんだろ」
「太陽の下でプリンを食べるライル、超可愛い」
ニコニコしながらさらりとそう言う兄にももう慣れたものだ。
大好き愛してる可愛い綺麗
甘いセリフのほとんどを俺は毎日のように聞かされている。
「…俺は先に戻る。じゃあな」
「おっ、やっと空気を読んだなきかん坊!」
「次が移動だから早く戻るだけだ。……あまりライルを放ったらかしにするな、さらうぞ」
一瞬、空気が凍る。
兄の瞳も刹那の瞳も、ゾッとするほどの冷気を宿していた。
「に、兄さん、プリン一口やろうか」
慌ててそう声を上げれば、兄の瞳は瞬時にふわりと細められ嬉しそうに微笑む。
「いいのか?!じゃあアーンてしてくれたりするのか?」
「調子ノんな…ったく…」
兄の口元にプリンを運びながら刹那の方を盗み見ると、もうすでに刹那は屋上のドアに手を掛けていた。
「………わっ?!」
「よそ見すんなよ、ライル」
スプーンを持つ指先をペロリと舐め、いつもより低い声で兄が囁く。
「…変態」
「ライルは絶対誰にも渡さねーよ。俺のもんだ…俺だけのライル」
「…わかってるよ…俺だって兄さんのこと好きなんだ…だから…」
もっと俺だけを見てて
そんな言葉を言えるはずもなく飲み込む。
人気者のニール。
自慢の兄。
俺自身が1番、兄が慕われているのを見るのが好きなのだから
独占しようなんて思えなかった。
「ライル、今日は一緒に帰ろうな。先に帰んなよ?」
「兄さんこそ、今みたいに遅刻したら置いてくぜ?」
「はは、心得ました」
「ん」
俺の双子の兄は人気者だ。
でもそんな兄が世界で1番愛していると叫ぶのは、紛れもない弟の俺。
兄は俺を独占したいと考え
俺は兄を皆のものだと考えた。
毎日毎日俺の周りにいるヤツラに牽制をする兄を見るのは少し嬉しかった。
その時は兄が俺だけのものにってるいるから。
でもそれも俺の前でだけ。
遠くにいる兄は生徒達に囲まれてちやほやされている。
俺は踵を返した。
あの集団には関わりたくない。
人気者の兄を自慢に、嬉しく思うと同時に、嫌なドロッとしたものが胸に込み上げてくるから。
「ったく、学校で通れない場所があんのもどうかと思うぜ…」
ぼやきながら人気のない方へと歩いていると
背後から喧しい足音が追ってきた。
「ライル!」
「え……兄さん?」
俺の前まで走って来た兄はどうにも不機嫌そうな表情をしている。
「お前なんで声掛けてくんねーんだよ」
「…だって、他の連中と話してただろ」
「ライルは!ライルは俺のことを無視しちゃいけません!!」
一瞬、思考が停止した。
駄々っ子のようにそう喚く兄に沸き上がってくる感情は
愛情…だったら良かったのにただの苛立ちだ。
「…アンタは…」
「ん?」
「アンタはもうっマジ腹立つッッ!!!」
「ぐぇ?!!」
渾身の左ストレートを兄の頬に決めた俺は、颯爽とその場を離れた。
独占してしまいたい気持ちに無理矢理蓋をし、深く深く溜め息を吐き出す。
「アンタがそんなんだとっ…俺ほんと病むからな…」
俺の双子の兄は人気者です。
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ライルも病んでいいと思うんです(イキナリか)
兄さんが無意識に周りに愛想振る舞いてて
でもそんな兄が自慢で大好きなライル^^
しかしあんまりちやほやされてるのを見ると辛くなるっていう
これは某携帯緑ゲームの恋愛ゲー三木さんやってて思いつきました^^
無視しちゃいけないって…なんかトキめくポイントなんでしょうが私はイラッときたんですよねイラッと
もう二人でずっーーと二人の世界にいればいいです!
二人で病んじゃえば怖くない!!!
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