*ハロウィンミッドナイト*



*二期後、刹ライ前提ニルライ

許せる方のみど〜ぞ





部屋のディスプレイの前に置いたかぼちゃのランタンを眺め微笑む。

今日は息抜きを含めたハロウィンパーティが開かれた。
ミレイナから渡されたドラキュラの衣装を脱ぎ、ベッドに腰かける。

「ふあぁ…疲れた…」

着慣れないマントのせいでやたら肩が凝り、首を回すとパキパキと音が鳴る。
しかし自然と笑みが零れるのは今日が楽しかったからだろう。
年甲斐もなく色々なモンスターに扮した男共の姿が脳裏に浮かんだ。

「ふっ…刹那の狼男は可愛かったかも…」

みんなで撮った写真のデータを呼び出し眺める。
頭に大きな耳がついた刹那の無表情がまた面白くて吹き出してしまった。
初めて見た時も指を指して爆笑して怒られたが。
ついでに肩を噛まれた。

「やらしいとか言いやがってあの野郎…。パーティーで発情すんなよなっての」

久しぶりの味の濃いパーティー料理と、年代物のワイン。
談笑と笑顔。
今日はこの幸せな気分のまま寝たい。
きっと良い夢が見れるはずだ。

衣装に合わせてアップにした前髪を手櫛で解き、いつもの制服のアンダーとズボ ンを身に纏い横になる。
シャワーは朝浴びればいい。
思っていたよりも身体は疲れていたらしく、すぐに瞼が下りてきた。

『ロックオン、オヤスミ!オヤスミ!』
「ん…あぁ…お休み、ハロ」

ランタンの淡い光が優しく瞼を照らす。















「ライル、ライル」
「……ん、やだ…ねむ、ぃ…」
「トリックオアトリート、ライル?」
「んん…」

ちゅ、と耳元で鳴る音。
ついで何かが脇腹を撫でた。

「ンッ!な、に…やだぁ…」

くすぐったくて身を捻る。
逃がさないとばかりに肩を掴まれ首筋に温かい吐息が掛かった。
鈍い痛みにゆるりと覚醒していく脳みそ。

「んー…なん、なんだよ…せつ、な?」
「…悪戯に決定だ」

俺の身体にこのような触れ方をするのはこの艦に一人しかいない。
だからその人物の名前を呟いたまでだ。
しかしそれに不満げな声を上げられ、その声に違和感を覚えた俺は無理矢理重たい瞼を持ち上げた。

「…せ、」

つな、と続く言葉は唇を塞がれ奪われる。
視界を染める栗色に一瞬思考が停止した。
ゆっくりと離れていく唇、やっとその人物の全体像を脳が理解すると、俺は思わずその名を叫んだ。

「ニール?!」
「当たり。刹那じゃなくて悪かったな」
「なっ、なんで!そんなっ…アンタはっ…なん、で…」
「…会いに来たよ、ライル」
「ちょっ…」

混乱する俺を置き去りにして、兄は身体をまさぐりだした。
いつの間にか下には何も履いておらず、素肌の太ももを兄の手の平が撫で摩る。

「ひっ…あ、待って…!兄さんっ!」
「お菓子をくれなかったから悪戯するの。待たねーよ」
「そんなっ、ン!聞いてない!あ、やだって!兄さん!」

逃げようとベッドをずり上がるも、腰をホールドされ逃げるに逃げられない。
しかもあろうことか大事な場所を兄の手が強く握ってきた。

「いっ!いた、にいさぁっ…」
「お前と刹那がこんな関係になった時、俺すげぇ後悔したんだ」
「んっ…な、兄さん…?」
「…俺も、ライルを愛していたよ。生まれた時から、死ぬ瞬間まで。死んでしまった今でさえお前を愛して止まないんだ」
「んんっ…あ、あっ、やぁっ」
「ライルを抱きたい…。今夜だけ、今夜だけは俺のものになって、ライル…」
「ふ、ああぁッ!」

有無を言わさず熱を上げられ、刹那に仕込まれた身体は簡単に開いていく。
期待して収縮する穴に長い指が入り込めば、嬉しそうに締め付けた。
いつもと違う場所が刺激され、身体が妙に強張る。

「ひぅっ、あ、あ!」
「…力、抜けよ。気持ち良くしてやるから。ライル…俺に身体を委ねて?」
「んんっ!やめっ…だ、めだぁっ…!」
「…それは、俺のこと愛してないってことか?」

兄は悲しげに表情を歪め、一切の動きを止め俯いた。

「っ…ち、ちが…でも…だって、アンタはもう…」
「ずっと傍にいるよ、ずっと…。刹那のように温もりはやれないけど、俺はずっとライルの傍にいる…」
「兄さ…お、れ…兄さんのこと、愛してたよ…」
「あぁ…あぁ、その言葉が聞けて、幸せだ」

頬擦りをして子供のように甘える兄。





これは、甘い夢なんだろうか




前立腺を指先が引っ掻き、あまりの刺激に腰が跳ねる。

「ンッ!あ、ひううっ!」
「俺だけを見て、俺だけのことを考えて」
「にいさぁッ…あ、あぁあ…〜〜ッ!!」

思いきり腸壁を擦りながら指が抜けていき、だらしなく開いているだろうソコに兄が腰を突き入れた。
鈍い衝撃と今までの比にならない質量に肉が引き攣る。
声にならない悲鳴を上げ目を見開けば、溢れた涙が宙に散った。

「ッ…ぐ…あ、ぁ…うぁぁ…」
「ふっ…やっぱキツっ…性急になっちまって、ごめんなっ…」
「ひは…ッふああ!ン、待っ…にい、ひゃああ!」
「こうする、と、気持ちいいんだよな?ライルはっ」
「んあああああ!やらぁ!ヤッ…やあぁあ!」
「ほんとっ…やらしくなっちまって…!なんでっ…俺じゃないんだろうな…?」

兄が悲しげな声で何かを言うが、快楽に侵された脳みそは言葉を理解しない。
たとえこれが夢であろうと、兄の言葉を聞き逃したくなんてないのに。

「やっ…だぁっ…にいさっ…!」
「らいる…らいるらいるらいるっ…愛してるんだ…!」
「あっぃ…ひて…ッンん!おれぇ…う、くぁっあ、はあ、は、あ、あ!」
「ライル…俺だけを…」



“あいして”



その悲痛な叫びを脳が理解する前に、目の前で火花が散り思考が白く染まった。














「…う…うううっ…うぁ?え…あれ?」

目の前には寝る前に見たいつもの天井。
頭が軽く混乱している。
ゆっくり起き上がり布団をめくるも覚悟していた惨事は起きていない。

「…ゆめ…。さい、ぁくだ…俺」

夢の中で兄にあんなコトをさせてしまった。
刹那という恋人だっているのに。
この歳になって夢精してなかったのが唯一の救いかもしれない。
朝からドン底の気分になり深く溜息を吐き出す。

「兄さん…ごめん、変態な弟でごめんっ…」

泣きたい、けど泣いたらもっと惨めだ。
昨夜は幸せな気分で眠りに落ちたというのにこの目覚めはなんだ。
とりあえず落ち込んでいても仕方ないと思い直し、顔を洗うべく立ち上がる。

「…ん、あれ?」

まだ暗いままの室内。
眠る前、つけっぱなしで置いておいたランタンの明かりが消えていることに気付いた。
無重力空間ということでランタンには蝋燭ではなく電気のランプが使われていたのに。

「…魔よけ、なのに…。ゴーストが入ってきちま…………あ?」

まさか

まさかまさか

「本当に…兄さん…?」

ふらりとシャワールームに向かい、鏡を覗き込む。
泣きそうな顔をした自分が情けない。

「兄さん…愛してたよ…」
「知ってるよ」

耳を打つ呆れたような声。
鏡に映ったもう一つの顔に、勢いよく振り返る。

「なっ……!」
「帰ってきたんだ、今夜だけ。夢じゃない。信じろよ、ライル」
「兄さんっ…」

困ったように微笑む兄が、俺の頬を撫でながら囁く。

「トリックオアトリート?」
「……菓子なんて、ねぇよ、バカ…」
「残念。じゃあ、悪戯だ」
「つっ……あ…」

首筋にチリッとした痛みが走り、思わず目をつむる。
嫌な予感がして慌てて目を開けば、そこに兄の姿はもうなかった。

「……にいさ…」

悲しくて、涙が溢れる。

『また来年の、ハロウィンの夜に。愛してるよライル』
「っ…!兄さん!」

空気に溶けるようにして響いた声に呼び掛けるも、もうなんの反応も返ってこない。

「来年の…ハロウィンの夜に…」

痛みの走った首筋を撫で、思わず呟いた。










「…これはなんだ」
「え?」
「俺のじゃない」

トレーニングを終え、着替えをしていた俺の肩を掴み刹那が唸る。

「なにが?」
「…これだ」

グッと親指で押された場所には、兄に残されたキスマークがあった。
刹那の据わった目を見て頬を引き攣らせる。

「こ、れは…に、兄さんに悪戯されたんだ。ホントだぜ?」
「ほう、ニールが化けて出たというのか」
「そ、そうそう。ほら、昨日はハロウィンだし?」
「……お前は俺のだ。ニールに返してなんかやらない」
「うわっ!いだだだだ!!」

ガブリと、キスマークに上書きするように歯型がついた。
内出血するほど強く噛まれ、涙目で首を撫でる。




兄さん、来年は会えないかもしれねぇよ?

でも、ランタンの火は消しておくんだろうなと
鈍い痛みに苦笑しながら思った。














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ハロウィンの夜には先祖の霊が帰ってきたりするんだよ!!
ライルは帰ってきた兄さんに悪戯されればいいんだよ!

ハッピーハロウィーン!!^^




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