*特別な愛情*
*二期後、本編設定
*スメラギさんがナチュラルに同性恋愛認めてます(笑)
許せる方のみど〜ぞ
「遅いわね…」
スメラギが困ったように呟く。
朝の定時ブリーフィングの時間。
とっくに皆集まっているのに中々顔を出さないのは我等がリーダー様だ。
「俺呼んでくるよ」
「そう?お願いねロックオン」
「オーライ」
1番ドアの近くにいたのと、男の部屋にレディを向かわせるのはどうかと思ったため申し出た。
居住エリアまではそれなりに距離があるため、移動用レバーを使わずに壁を蹴りながら進む。
「よっと、ととと!」
少し行き過ぎてしまい慌てて壁にしがみつく。
軽く床を蹴り刹那の部屋の前まで戻り、インターフォンを鳴らした。
数十秒経っても反応はなく、もう一回鳴らす。
三回程繰り返して、短気な俺は無意識にOPENスイッチを押していた。
「あ」
開くとは思っていなかったドアが呆気なく開く。
部屋を覗くと、ベッドに腰を掛けたところで倒れてしまったような姿の刹那を発見した。
ギョッとして駆け寄る。
「せっ刹那?!」
「……う、う…」
抱き起こして顔を覗き込めば、焦点の合わない瞳で刹那が呻いた。
「おい、どうした?大丈夫か?」
「…ら、イル…ライル…」
「ん?」
「…たくさ…いる…すごいな…どうし、たんだ?」
「…は?」
俺は増えた覚えなどない。
刹那の額に手の平を当てれば、異常に熱いことがわかった。
「熱があんな。横になれ」
「う、うぅ…気分が…わるい…」
「だろうな。ほら、ゆっくり横になるんだ」
「らいる…」
筋肉質のせいで見た目より重い刹那の身体をベッドに横たわせるのに必死になっていた俺は、か細い呼び声に気付き顔を上げる。
熱で潤んだ瞳が俺を捉えてふわりと細められた。
「刹那?…辛い、か?」
「らいる…顔を見たい…」
「顔?別に変わったとこなんかないぜ?」
笑いながら顔を近付けてやれば、刹那は嬉しそうに破顔した。
熱くて湿った手の平が頬に添えられ、弱い力で更に引き寄せられる。
「お、おい…せつ…」
「ん…」
かさついた唇が重ねられた。
それに満足したらしい刹那はパタリと手をベッドに落とし、目を閉じる。
「…かっ、風邪うつるだろバカ…ッ」
恥ずかしさから乱暴に毛布を掛けた。
雑音混じりの寝息が耳に届き、はたと我にかえる。
「やべ、薬だ薬!あと連絡…」
刹那の部屋を飛び出し端末をスメラギへ繋ぐ。
事情を説明しながらメディカルルームへ向かった。
棚を漁って解熱剤を確保。
続いて食堂に向かい流動食を探した。
「よしあった。んで…水…」
「あの、ロックオン」
「ん?あぁフェルトか」
控えめに後ろから声を掛けてきたのは優秀なオペレーター、フェルトだった。
「私、あとやっておきます。ブリーフィングに行って」
「あ…あぁそっか!悪い悪い。頼むよ。じゃあこれ薬と流動食と水、よろしくな 。あ、刹那結構熱高いみたいだから風邪うつらねーようにマスクとかした方がいいぞ」
「…うん、わかった」
「じゃ、行ってくるわ」
「行ってらっしゃい」
本来の役割を思い出した俺はフェルトに全部任せて食堂を出る。
今このトレミーにマイスターは二人しかいない。
地球もごたついていて襲撃はパッタリ止んではいるが、警戒を怠るわけにはいかないのだ。
すぐさま気持ちを切替ブリーフィングルームへと壁を蹴った。
「…と、こんなところね。ラッセ、交代時間までよろしくね」
「おう」
「で、ロックオンはちょっと残ってちょうだい」
「俺?」
「刹那のことで」
「あー…オーライ」
二人きりになったブリーフィングルームでスメラギが口を開く。
「刹那の様子はどうだった?」
「随分熱が高いみたいだ。喉がひゅーひゅー言ってたし、喉風邪かもな」
「風邪、ねぇ…。風邪菌なんてどこで貰うのよ。宇宙にずっといるのに」
「あ、そうか」
「疲労…かしらね」
「顔に出さねーからな、あのきかん坊は」
「ふふ。そういう貴方も気をつけて」
「え?なんで俺」
「貴方も顔に出さないから」
「……体調管理くらい、大人なんだから出来るさ」
「そうだといいけど。刹那に夜とか無理させられてないかしら?」
「はぁっ?!」
「やだ大声だしちゃって♪」
「む、無理ってなんだよ?俺は別に刹那に仕事押し付けられたりしてないぜ?」
「はいはい、残念だけど知ってるのよねー」
「なにを?」
「貴方達のカンケイを」
「ッッ…」
スメラギの悪そうな笑顔に身体が硬直する。
つつつと寄って来たスメラギから無意識に逃げようと後退し壁に背中がぶつかった。
「う…」
「刹那から相談を受けたのよ私。この感情は一体何なんだ?って」
「…アンタが諸悪の根源だったわけかよ…」
「やぁねぇ、貴方だって受け入れたんだから気があったんでしょ?」
「ゴリ押されただけだっ!つか…俺もあんな状態でおかしくなってたし…」
「あら、後悔してるってワケ?なら今すぐに別れた方がいいわよ。貴方のために も、刹那のためにも」
「…………それ、は…」
まくし立てられ言い淀んだ俺に、スメラギがそっと触れてくる。
「…素直になりなさい。刹那を変えてくれたこと、私は感謝してるの」
「感謝…?」
「人を愛することを彼に教えたのは貴方よ。愛する人がいる男は強くなれるわ。 他人に関心がなく、触れようともしなかった彼に、愛を教えて変えてくれたのは貴方なの。わかるわね?」
「…そんな、大層なもんじゃねーよ」
「大層なもんなのよ貴方は!だからこれからも刹那をよろしくね?彼を愛してあげて」
「…刹那は、皆から愛されてる。俺なんか…」
「貴方じゃなきゃダメなのよ。自分が愛する人から貰える愛情は、とても大きな 意味を持つんだから」
「はは、なんか凄いな。やっぱ恋愛論は女性の本分てか?」
「そうね。男は鈍いから」
「痛いなぁ」
「…でっ、貴方、刹那よりだいぶ年上なんだから毎回毎回許しちゃだめよ?!」
「だぁっいきなりソッチの話かよ!!」
「こっちが本題!刹那はまだ若いけど、体力的に無理があったハズよ!貴方大人なんだからちゃんとコントロールしてあげて!後、中出しなんかさせてないでしょうね?」
「なっっっ……」
絶句とはこのことだろう。
朝っぱらから何言い出すんだこの戦術予報士サマは。
「体調を崩すのは貴方。病気になるのは二人とも。ちゃんとベッドマナーも教えてあげてね」
「ス、スメラギさん?下品だぜ?」
「現実的な問題です。真面目に聞きなさい」
「……ハイ」
「私の予測としては、刹那は自分の体力低下に気付かずに若いから調子に乗って貴方と励み」
「励みとか言うなよ…」
「ただでさえ重傷を負った後なのに張り切っちゃうから。それで、身体が先に音を上げて熱を出したんだと思うわ」
「あーそうデスネ」
「だから貴方もぶっ倒れる可能性もあるの。今日はオフにするから部屋で休みなさい」
「…は?」
「襲撃はないわ。大丈夫よ、私の予報は当たるでしょ?」
「いきなりオフって言われても…」
「とにかくたくさん寝てたくさん食べて体力を回復させてちょうだい」
「……はぁ、わかったよ。じゃ、今日は休ませてもら…」
「ロックオン」
ふわりとブリーフィングルームに入ってきたのはフェルトだった。
今までの会話が会話なだけにギクりとして振り向く。
「どうしたの?フェルト」
「刹那がロックオンを呼んでるの。うわごとみたいだけど…」
「あらあらあらぁ。だってロックオン」
「だって、って…アンタなぁ」
「今日貴方はオフなんだから、刹那の傍にいてあげれば?」
スメラギが少し背伸びして俺に耳打ちした。
「相手は病人だし、貴方が協力さえしなければムフフな展開にはならないわよ」
「ムフフってなんだよ!!」
思わず声を大にしてしまった俺をフェルトが不思議そうに見詰める。
「な、なんでもないからな、フェルト!」
「えと、なんのこと…」
「俺刹那んとこ行ってくるわ」
ここは逃げるが勝ちだ。
さっさとブリーフィングルームを後にする。
「流されちゃだめよ〜」
「うっ…わぁってるよ!」
スメラギの呑気な声を背に俺は刹那の部屋を目指した。
「刹那、起きてるか?」
先程来た時と同様ロックの掛かっていない部屋にふわりと入る。
刹那が怠そうにこちらに視線を寄越してきた。
口を開くが声が出ないらしい。
傍まで寄ると強く腕を握られて少し戸惑った。
「せ、つな?大丈夫か…?辛いだろ」
「……ル、」
「ん、なんだ?水飲みたいか?」
唇に耳を寄せると熱い舌がベロリと俺の耳を舐めた。
びっくりして勢いよく刹那から身体を離す。
が、掴まれた腕のせいでのけ反る程度に終わった。
「なっ、おまっ…な、なにしやがんだ!」
「きす…したい…ライル…」
「はっ?キス?…おま、えなぁ…病人は大人しく寝てろよな…」
「お前に、触れたい…」
「…はぁ…とに、流されねーぞ俺は…」
スメラギの言葉が脳裏を掠める。
弱っている刹那があまりにも愛おしく感じてしまい、俺はあっさり刹那の要望に従ってしまった。
「ん…」
「ライル…ありがとう…そばに、いて…くれ」
「わかった、ずっと傍にいてやるから早くよくなれ」
刹那の汗ばんだ額に唇を寄せる。
この熱を吸い取ってやれるように
「らいる…すきだ…」
より幼い表情で、刹那が微笑んだ。
愛する人から貰える愛情は“特別”なんだと
スメラギが言ったその言葉を理解する。
「俺も好きだよ、刹那」
お前に俺からやれるものはなんだってあげるから
早くいつものように強く抱き締めてくれ
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普段強い人が見せる弱った姿ってキュンときますよね!
ライルはオトナなのでキュンとくる前に心配になり兄貴気質が先立ちましたけど(笑)
生死を彷徨った後だったらそりゃ刹那もライルを確かめたくて励むだろうと…
あんまりにも疲れすぎると熱出たりしますよね〜
スメラギさんはおおらかな人です(笑)
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