*始まりの日の悪戯*
*二期、ニール生存設定
*言わずもがな嘘つきの日ネタ
*他のお宅とネタがかぶっててもスルーして下さ…!orz
許せる方のみど〜ぞ
実戦データと訓練データを見比べながら唸っているライルを、ベットの上から見詰める。
ハロを投げたり転がしたりして遊んでる時でも、俺の視線はライルに張り付いて離れなかった。
今日俺は、あるおかしな決意をしている。
そしてそれは、日付が変わる瞬間、決行する。
そしてついに、デジタル時計がグリニッジ標準時間午前零時を示した。
「ライル」
「なんだよ、先に寝ていいよ。つぅか部屋戻れば」
「ライル」
「…だから、何」
「ライル」
バッと振り向いた苛ついた顔に、ぞくりと背筋が粟立つ。
あぁ、俺は変態だ…。
「だから何々だって―」
腕を思い切り引っ張り、背負い投げでもするかのように乱暴にベットに放った。
ライルは詰まった声を上げ、ベットに沈む。
「っ…てぇな!何すんだ!ふざけんなよクソ兄貴!」
吠えて暴れるライルにのしかかり押さえ付け、今日のために何度も鏡を相手に練習した言葉を耳に吹き込んだ。
「お前のこと、好きじゃなくなった」
自分を褒め讃えたいくらいの演技した声音に驚きながら、息を呑んだライルの瞳を覗き込む。
予想を遥かに凌ぐ程、ライルの翡翠の瞳は揺れていた。
つい、破顔しかける。
「…は?」
「もう一回言うか?お前に、興味なくなったんだよ俺」
「……兄さん?」
「俺な、いつもいつもお前に嫌がられて、傷ついて…だからお前のこと好きでいるの止めたんだ」
「っ……じゃ、ぁっ」
みるみるうちに溜まっていく涙に、俺の良心が悲鳴を上げた。
だけど、まだ、もう少し。
ライルの肩を押さえ付ける手に力を入れて、耐えた。
「じゃあっ…離れろ…!放せよ!!!」
「ぅわっ」
先程とは比べ物にならない力で抵抗され、慌てて全体重をもって押さえ付ける。
「放せ、放せよ!!俺だってアンタなんか嫌いだ!!アンタなんか、アンタなんか!!!」
「やっぱ俺のこと嫌いなんだな?」
「嫌いだ!!大嫌いだ!」
「そうかい…お互い気持ちは一緒ってことで」
敵機を撃ち落とすシュミレーションを必死に脳内で繰り返し、冷めた視線でライルを見据えた。
ギシリと身体が固まり、眉が情けなく下がり、唇が噛み締められる。
あぁそんなに噛んだら、その綺麗な唇に傷がついてしまう。
「もうこれからは、お前を無理矢理抱くことも構うこともねーから、安心しな」
「っ、ふ…」
「……大嫌いだ」
「――ッ!!」
上手く、言えなかった自信がある。
きっと今の俺の顔は苦渋に歪められているだろう。
なのに、涙の膜が邪魔をしてか、信じきってしまっているせいか
ライルは疑いもしなかった。
そして遂にライルの瞳から涙がボロボロと零れ落ちる。
「ひ、ぅ、きらっ、あ…嫌いだぁっ…兄さんなんか、兄さっ…」
しゃくり上げながらの悪態は、俺に馬鹿なことをしたと後悔させた。
ただ俺は、本音を聞き出したくて、この行事に乗っただけなんだ。
早く、お願いライル
早く俺に、1番欲しい言葉を下さい。
「うっ、うぅ、にぃっ、きらっ…うっ、にーる、にーる…!」
「…うん」
固く閉じていた瞼が緩慢に開く。
涙をつけキラキラ煌めく睫毛を震わせ、瞬きをする度に真珠が零れ落ちた。
「にぃるっ…!すき、なのに…!!」
その瞬間、俺は震えるライルの身体を、力一杯抱きしめた。
「うっ、く…にぃ、?」
「…………ごめん、ごめんな」
しっかり瞳を見詰めてから、涙を舐めとり、鬱血した唇にキスをする。
「嘘、だよ。全部、全部嘘だ。俺がライルを嫌いになんてなるわけないだろ…」
「…………………は?」
目が点とはこういうことだろうか。
もう一度、は?と聞いてきたライルに
ネタばらしが気まずくて仕方ないが、自分の残虐非道な行いを悔い改め白状した。
「……エイプリルフール」
理解するのに数秒を要したらしいライルの目が、みるみるうちに見開かれていくのを間近で鑑賞しながら、覚悟を決める。
歯の一本や二本、もしかしたら肋骨もイくかな。
とりあえず歯を食いしばった。
あぁ、咎は受けるさ!
そして待つこと一分。
一向に衝撃も痛みも襲ってこないことを不思議に思って目を開く。
「え、ライル…?」
呆然としたまま今だ涙を流すライルに虚をつかれた。
「……嘘?」
「あ、あぁ。嘘だ」
「じゃあ、俺のこと…」
「大好き、愛してる」
「………兄さんの、バカ」
「ごめん…」
「っ…よかった…!」
「うお!」
唐突に引き寄せられ抱きしめられる。
耳元でよかったと繰り返すライルに、罪悪感で胸が一杯になった。
「ごめんな、ライル。愛してるよ」
「こんな嘘っ…二度とつくなよ!次したら、兄さんを殺して俺も死ぬからな!」
「………俺、も?」
「兄さんのいない世界なんて、俺にはもういらないっ…」
「ッ、ライル!」
腕を無理矢理引きはがして唇に噛み付く。
夢中で舌を絡めあい、愛を確かめあった。
「ふぁ、は…兄さん…」
「ライル…」
「大嫌い」
一瞬、時間が止まった。
とりあえず耳が拾った言葉は再確認する。
でも信じられなくて、聞き返した。
「は?」
「……エイプリルフール!」
バチィン!と乾いた音が室内に響く。
次いでやってくる痛みに顔をしかめた。
「やられたらやり返す、兄弟ゲンカの基本だろ?」
自分で仕掛けておいて、ライルに騙されるなんて。
だって特別甘い雰囲気だったんだ
嘘つかれると思わないだろ。
でも嘘か
大嫌い、の嘘は
“大好き”
「…愛してるよ、ライル」
張り手一つで許してもらえたことに、俺は感謝しなければならなかった。
優しい嘘なら、いくらでもつくさ。
それが相手にとって悲しいことでも
でも、自分のためだけの歪んだ嘘は
二度とつかないと心に誓った。
あるエイプリルフールのお話。
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お決まりのエイプリルフール話^^;
ライルがいつになく素直です…
兄さんはよく優しい嘘をつく人だと思う。
誰かがそれで傷ついても、誰かを救えるなら、兄さんは嘘をつく。
誰かにとっては残酷な優しさ
そんなニールが大人げないのにたまらなくカッコイイ…!