*貴方の存在に感謝を*



*二期後、本編設定


許せる方のみど〜ぞ





トレーニングルームで肩を並べ走るマイスター二人。
今現在、CBという組織にマイスターは二人きりだった。



「ロック、オン」
「ん、な、にっ」
「今夜、部屋に行っても、いいか」
「あぁ、構わ、ねぇっ、けど」
「ありがと、う」
「ん」

もう結構な距離を走っている二人は息を弾ませた会話を打ち切り、ノルマを達成すべくマシンに向き合う。
ライルはふと、首を傾げた。

『いつも唐突に来るくせに、なんで今日は聞いてきたんだ?』

刹那の方を盗み見るも、その無表情からは何も伝わってこない。
ライルはまぁいいか、と気を取り直した。











ピピーッと鳴る電子音と、刹那の声。

「どーぞー、開いてるぜ」

ベッドの上でストレッチをしていたライルが顔を上げたのを合図に、刹那が部屋へ足を踏み入れた。
ライルはその左手に握られたボトルを見てきょとんとする。

「珍しいな、アンタが飲み物持参だなんて」
「あぁ、今日は付き合って欲しい」
「付き合う?」

ベッドに二人で腰をかけ、ライルは刹那から手渡されたボトルをフラフラと揺らした。

「赤ワインだ」
「へぇ、そりゃまた一層珍しい!どうしたんだ?今日は」
「そうだな…とりあえず乾杯をしよう」
「乾杯ねぇ」

一体何に対する乾杯なのか理解しないまま、ライルは刹那に向かい合った。

「……ライル、遅くなってしまったが」
「…え?」
「誕生日、おめでとう。生まれてきてくれたことに感謝する」
「……ンな、なっ、な…な!」
「乾杯」

カツンと鈍い音を立てて揺れた手元のボトル。
呆気にとられて刹那を見遣ると滅多になくその口許は綻んでいて

「ッッ……サンキュ、刹那…」
「あぁ」
「…う〜、なんつか、めちゃくちゃ恥ずかしい…」

ストローで飲むワインは味気ないが、この時ばかりはそんなことも気にしていられなかった。

「すまない、ケーキはさすがに用意できなかった」
「いや、これだけでもう腹一杯だし…。ホント、嬉しい。気を遣わせて悪いな」
「当然だ、お前は俺の一番大切な存在だからな」
「…また、そーゆう恥ずかしいことを…っ」

顔に集まる熱を逃がそうと頭を振る。
不意に顎を掴まれ、刹那の大きな瞳にライルは魅入ってしまった。

「あ、せつ…」

続く言葉は刹那の咥内に消えていく。
重なった唇からほのかにワインの味がして、ライルは微笑んだ。

「ふふ、ホント珍しい」
「…そうだな、俺はやはり酒は苦手みたいだ」
「ありがとう、刹那。今まで誕生日って、たいしていい思い出なかったんだけど …
これでやっと、誕生日が幸せな日だってわかった」
「そうか、お前が幸せなら、俺も幸せだ」
「刹那の誕生日も祝わせてくれよな?」
「…あぁ、頼む」

二人で笑いあい、どちらからともなくまた唇を重ねた。



「そうだ、ライル」
「ん…?」
「受け取って欲しいものがある」
「え?なに…?」
「これを…」

背後から取り出されたモノは小さな箱。
何が入っているかなんて、見慣れ過ぎていたせいですぐに気付いてしまった。

「それ…」
「左手を」
「っ……マ、マジ?」
「大マジだ。さぁ」

ライルの白い手をとり、片手で開けた箱の中から煌めくリングを取り出す。

予想通りのものが出て来たせいか、ライルは恥ずかしそうに顔を歪めた。

「ライル…やはり、綺麗だ」
「…恥ずかし過ぎる…」
「似合う」
「…ありがと。ほ、ほら!刹那にもしてやるから!」

ぐいっと刹那の左手をとり、箱の中にあったもう一つのリングをその薬指に通す。

「……お揃いだな」
「ペアリングだからな」
「……くすぐったいような、感じがする」
「アンタがガラにもないことするからだ!」
「そうだな…」
「…でも、本当にありがとな」
「いいや…お前の存在に救われているのは俺の方だ」
「お互い様だろ、それは」

お互いの両手両指を絡め合わせ、まだほのかにワインの香が残る唇を寄せ合った。













あの日以来、リングはライルの左手から離れることはなく

今も手袋の下でひっそりと輝いていた。













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戦後、初めて刹那がライルの誕生日を祝う話。

ペアリングをプレゼントしたのは沙慈の入れ知恵です^^
ちなみに刹那の方はチェーンにリングを通して首から下げてます。
ガンダムの操縦時に気になるからです。
ライルはたいして気にしません。機体制御はハロが手伝ってくれるから^^

映画の二人はペアリングしてると勝手に脳内補完します(万死)


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