*Recycle*
*二期、ニール生存設定
*ライルがとことん可哀相
*赤毛のあの人とライルが絡んだり
*でもあんまライル出てこない
許せる方のみど〜ぞ
「もう、嫌なんだ…アンタとの差を見せ付けられるのは」
頑なにニールを拒絶し、散々声を荒げた後
ライルはうなだれて力無く呟いた。
「良かったのか、無理矢理にでも引き止めなくて」
展望室で一人虚空を見詰めるニールに刹那が声をかける。
ニールは振り向かず、ガラスに映る刹那に笑いかけた。
「……あぁ、いいんだ」
「しかし、酷い顔をしてる」
「そうか、な…」
ニールはガラスに映る自身にそっと手を伸ばし、目を伏せる。
ガラスから伝わるのは冷たさばかりで、鏡合わせのような愛しい人の体温は伝えてくれなかった。
「…アイツは、俺といることが苦痛なんだと」
「ライルがそう言ったのか」
「そうだ。子供の頃もそうだった。学年が上がるにつれて、ライルから笑顔は消え、俺の傍にも寄らなくなって…
俺といたくないって言って、寄宿舎付きの学校に行っちまった…。また繰り返しだ…」
「ニール、ライルは決してお前を嫌っていたわけではない」
「…なんで、そんなこと言えるんだよ」
「酔った勢いか…ライルが俺に聞かせてくれた話がある」
「……なんて?」
刹那は暗闇を見詰め、その時を思い出すように語り始めた。
ライルがトレミーに来て数週間経った頃、
疲労とストレスがピークに達していたのか、自室で酒を浴びるように飲み泥酔していた。
そんなところに来てしまった刹那はライルに捕まり酒の相手をさせられる。
最初はどうでもいいことばかり話していたライルだったが、ポツリと呟いた言葉が刹那の心を揺らした。
『兄さんは、皆に愛されてたんだな…』
嬉しそうな表情に、目を奪われる。
『兄さんが孤独に死んだんじゃなくて良かった…。
俺は傍にいれなかったから… 兄さんの傍にたくさん人がいて良かった』
ライルは酒を煽り、子供のような表情をして笑う。
『あーぁ、俺がこんな情けない奴じゃなかったらなー。兄さんから離れなくて済んだのにな…。
なぁ刹那…なんで俺はこんなに弱いのかな…』
その時刹那は答えられなかった。
なんと答えていいかわからなかった。
もし何か答えを思いついて
お前は弱くない、とライルに伝えられていたら
今この場に彼も留まっていてくれただろうか。
『俺は自分が傷つくのが怖くて、兄さんを悪者にして逃げたんだ…。本当に悪いのは俺なのに』
「ライル…」
ニールの表情が悲哀に歪む。
ガラスに額を付け、固く目をつぶった。
「…アイツを連れてきてしまって、すまなかった」
「今更それ言うかぁ?アイツが選んだんだ、お前さんは悪くねーよ。
それに…これがなきゃ俺はずっとライルに本気で嫌われてると思い込んでたままかもしんねー」
絶望の中に、薄らと見える小さな光。
自分はまた、彼の前に立つ勇気を得た。
「世界を変えて、ライルに会いにいく。たくさんケンカしてわかりあって、愛してるって抱きしめてやるんだ」
「…そうか」
「もーいい、いくらでもケンカしてやる。アイツのことを理解するまで、俺のことを理解してもらうまで。
本気モードの俺はしつこいぜ!」
ガラスに映る自分に狙いを定め、撃ち抜く。
「待ってろよライル!」
勢いを取り戻したニールを、刹那は柔らかな笑顔で見詰めた。
彼らのためにも世界を変えると、心の中で誓う。
明るい空気になったその時、端末がけたたましい音を上げた。
「結局また逃げちまった…」
小型艇を地球に向けながら、ライルは呟く。
やっとケルディムを上手く使いこなせるようになった今になって
前マイスターの兄がひょっこりと帰ってきた。
兄は最初、操舵を受け持つと言っていたのだが、ライルは兄にマイスターの座を受け渡した。
耐えられなかったのだ。
この冷たい暗闇に。
兄を取り巻くクルーの表情は、今まで見たことがないほど晴れやかで
口々に“ロックオン”と呼んだ。
急速に遠退いていく仲間達との距離。
広がる兄との格差。
過去に体験した苦痛の記憶がライルをその場から逃げ出させた。
「兄さんに…お帰りって言えなかった…」
マイスターを辞めトレミーを降りると言ったライルに、兄が必死の説得をしたがライルは首を横に振り続ける。
兄という光が眩し過ぎて、自分が消えてしまいそうで怖かった。
自分は子供の頃から微塵も成長していなかったのだ。
「……兄さん、ごめん」
見詰めた先のガラスには、情けない顔をした自分。
その奥に、不穏な赤い光が煌めいた。
「どうした!」
フェルトの切羽詰まった声に呼ばれ、ブリッジに集まった刹那達は目を見開いて固まる。
正面に展開されたスクリーンには、兇悪な笑みを浮かべた男
アリー・アル・サーシェスが映っていた。
『よぉ、ソレスタルなんちゃらの皆様方!』
「…な、なんだ…なぜ奴が…トレミーへの通信をっ」
ティエリアが苦しげに言うと、サーシェスは嬉しそうに目を細める。
『さぁて…俺は今どこにいるでしょう?』
「何をふざけたことを…」
アレルヤが憎々しげに言った。
それに被さるようにミレイナの小さな悲鳴が上がる。
「ス、ストラトスさん…!」
「なにっ?」
「通信は!ストラトスさんが乗った小型艇からです!!」
「…な、」
ニールはミレイナの言葉を聞いて、サーシェスに振り返った。
耳ざわりな高笑いがブリッジに響く。
『ご名答!!ふよふよ浮いてやがったぜ、てめーらが出したゴミがなぁ!!』
サーシェスの背後には、小型艇の外壁がバラバラに砕かれ浮かんでいたのだ。
操縦席に座っていたであろうライルの姿は見えない。
ニールは叫んだ。
「貴様ぁあぁぁあ!!」
『ははははは!なんだよ、捨てたんだろ?コレ!廃棄物だろーが!どんなにしたって構わねーだろ?!』
「ふさげるな!!何が廃棄物だ!!ライルはっ!ライルをどうしやがった!!!」
『だから、その“ライル”、がゴミだっつってんだよ。てめーらが捨てたモンだ』
「てめぇっ!!」
『安心しなぁ。この俺様が直々に廃品回収に来てやったんだ、リサイクル品として可愛がってやるからよぉ』
画面に突き出されたモノは、白いノーマルスーツのいたるところを赤に染め、ぐったりとした意識のないライルだった。
ニールも、刹那も、その場の全員が目を見開く。
「ラ…イル…」
『じゃあな、ソレスタルなんちゃら。次は戦場で会おうぜ』
無情にも、ブツリと通信が途絶える――。
「待ちなさいロックオン!!」
弾かれたように動き出したのはニールで、気付いたスメラギは叫んだ。
恐らくニールはケルディムで現場まで行く気だ。
しかしもう小型艇はトレミーから随分離れた場所にいて、トランザムを使ってもサーシェスに追い付くことは出来ないだろう。
「もう追い付けないわ!」
「スメラギ、俺が同行する。行くだけ行かせてくれ!」
「刹那…!」
廊下に消えたニールを追うように、刹那もブリッジを飛び出した。
「刹那!僕も行く!」
「俺もっ…」
アレルヤとティエリアが同様に動き出そうとしたが、振り向いた刹那がそれを止める。
「全員出たら誰がトレミーを守る!お前達はここにいろ!」
「っ……了解っ…」
「…了解、した…」
その場に踏み止まった二人は、悔しそうに俯く。
トレミーの前を横切るケルディムとダブルオーを見て、スメラギは溜息をついた。
「あの子達…パイロットスーツも着ないで飛び出したわね…」
「トランザムなんて使ったら血ぃ吐くぜ」
「……彼らにとって、ライルはそれ程大切な存在だったのよ。
……廃棄物、か…
。そんな扱いしたつもりはなかったわ、でも…」
泣きそうに顔を歪めるスメラギの肩を、ラッセがそっと叩く。
「…ニールが帰ってきた時…完全に…私はライルを忘れてしまった気がする…」
「アンタだけが悪いわけじゃねぇよ」
「…後悔しても仕方ないわね、彼を取り戻す方法を考えなくちゃ。アニュー!」
「あっ、はい!」
「きっとロックオンも刹那も内臓を痛めて帰ってくるから、メディカルルームをお願いね!」
「わかりました」
アニューが皆の横を通り過ぎる時、フェルトだけが気付いた。
アニューが、薄らと笑っていることに。
「…リターナーさん…?」
フェルトの呟きは、誰にも届かなかった。
「やぁ、お目覚めかな、ライル・ディランディ」
「………こ、こは…」
フカフカの大きなベッドの上、目覚めたライルに声をかける少年が一人。
薄緑色の髪の少年は、優雅に足を組み替えた。
「おっ、起きたか!」
「…き、さまはっ…!」
少年の背後にやって来た男の顔を見て、ライルは飛び起きようとしたが、身体中が痛んで身動きがとれない。
「ぐ、クッソ…!」
「無理をしない方がいいよ、君は人間なのだから。弱くて脆い」
「アンタは…何者だ…」
少年は音もなくライルに近寄り、顔にかかる髪を避けてやり微笑んだ。
グッと顔を近付け、唇が触れ合う程の距離で囁く。
「リボンズ・アルマーク、世界を統べる者…イノベイター」
虹色の光を放つ瞳にライルが息を呑んだ。
固まるライルの唇を奪い、リボンズはその場を離れる。
「サーシェス、後は君に任せるよ」
「アイアイサー」
ドカリとベッドに座るサーシェスに、ライルは顔を歪めた。
そんなライルを見て、愉快そうに笑う。
「大将がな、ソレスタルなんちゃらに捨てられたてめぇが可哀相だっつって拾ってやったんだよ」
「誰がっ…捨てられてなんかねぇ!俺は自分で出て行ったんだ、捨てられてなんて…!」
「出て行くよう仕向けられたんなら、捨てられたも同然だろぉ?」
「っ……!」
兄を囲う暖かな光の空間は、ライルを拒絶していた。
兄が来てから誰一人としてライルを見ない、呼ばない。
それは、彼らの中からライルという存在を廃棄されたことではないか?
「…う、くっ…」
「泣くなよ、いい大人が」
「泣いてねぇ…」
「ククッ、まぁ安心しろや。リサイクル品のてめぇだけどよ、可愛がってやるぜ?俺も、大将も…他のヤツらもな」
サーシェスは、ずっとこちらを伺う彼らに視線を向ける。
新しく来た人間、しかも自分達が好きにしていい人間に、彼らは興味津々だった。
「だから、てめぇも可愛がってもらえるよう頑張れや。次は捨てらんねーように、な…」
ようこそ、ライル・ディランディ
ボクらの新しいオモチャ
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暗い話が書きたくなった結果(酷い)
前回もライルをいじめた気がします(ごめんねライル)
兄が帰ってきたCBの空気がライルを無意識にズタズタに傷つけてしまった
というモノが書きたかったのと
サーシェスにライルに対して「廃棄物」とか「ゴミ」とか「廃品回収」とか言わせたかったんです(笑)
アリライもちょっと書いてみたかったのもあって…やりたいことは今年中に!みたいな!(ライルごめんね!)
やっぱりCBのみんなの中ではニール>ライルなんだろうなぁって…
スペシャルエディション2を見たらなんかもやもやしてしまって…
ライルが認められてない感がさ…こう、ね?(わからん)
続くようで続きは考えてません。
ちなみにこの話のアニューは自覚アリのスパイです。
なのでイノベに攫われたライルといつか遊べると思ってニコニコしちゃいました。