*Compensation of the love3*



*パラレル設定
*ニールは不定期な仕事、ライルは大学生

許せる方のみど〜ぞ





身体を這い纏わるゴツゴツとした指。
胎内を穿つ熱の塊。
揺れる視界に映る男達の嫌らしい顔。
ライルは、悲鳴を上げた。







「アッ、あああぁああぁっ?!」

自身の悲鳴で目を覚ます。
視界に入ったのは見慣れた天井だった。
ホッと息をつき、胸を撫で下ろす。

そして何か違和感に気付き、戸惑った。

「……あれ?」

見慣れた天井、家具の配置。
でも、ココは―

「…兄さんの部屋…?」
「ライルッ、大丈夫か?!」

慌てて入ってきたニールの顔は、少し青ざめていた。

「兄さん…」
「今、声聞こえて…っ、ごめんな、すぐに来てやれなくて」
「……いや、ごめん、兄さん。迷惑かけて」
「ッ、迷惑なんかじゃねーよ」

ライルの額にひやりとしたタオルが乗せられる。
ビクリと肩を震わせると、ニールは辛そうな表情をした。

「悪ぃ…」
「…んん、平気…。おれは…?」
「熱出てる。結構高いから、動かないで大人しくしてろよ」

落ち着かせるためか、自分が落ち着くためか、ニールはライルの頭を撫でる。
優しく滑り落ちていく掌に、ライルは恐怖を覚えた。

「ッ…い、やだ!」
「ライルッ?」
「やだ、触るなぁっ!」

男の手は、ライルの髪を乱暴に掴み上を向かせ、その咥内に無理矢理自身を突き入れる。
その手を払おうとすれば、他の男に押さえ付けられ、中を穿つ塊は激しさを増した。

ニールの掌が、それらのフラッシュバックを起こしたのだ。

「やだ、やだやだっ!もうっ…いやぁぁっ…」
「ライル!!」
「ヒッ…ぃ……あ、あ?」

頬を挟み、怒鳴り付けるように大きな声で呼び掛ける。
恐怖に揺れていた瞳がやっとニールを映し、和らいだ。

「にー、さん…」
「…ライル、ライルッ…」

額を擦り合わせてニールはライルを呼ぶ。

「…ごめん…兄さん…」
「……ライル…なぁ、俺、お前が好きだ…」
「……へ?」

少し身体を離し、濡れた瞳を覗き込んだ。
伝わるよう祈り、汗ばんだライルの手を握る。

「お前に、言われて…俺は拒絶した。今更って思われたってしょーがない。
でも、本当なんだ。俺、お前まで道を踏み外すなんて嫌でっ…だからっ」
「…嘘、だ」
「嘘じゃねーから!信じろよっ…!」
「俺達は兄弟なんだって…兄さん言ったじゃないか!」
「だから!お前には可愛い嫁さんもらって、幸せな家庭を築いて欲しくて…」
「そんなの!!俺は兄さんとじゃなきゃ幸せになれないのに!」
「俺はお前に普通の未来をやれない!」
「っ……」

瞳が揺れ、ライルは震える唇を噛んだ。

「俺は…ライルを愛してる…。あの時応えてやっていれば、お前はこんな目に遭わなかったのに…!」
「兄さん…」
「ごめんな、ライル、ごめんなっ…!怖かったんだ…お前を縛ってしまうことも、父さん達に顔向けできないことも…」

そっと抱きしめてみるが、抵抗はない。
頭を撫でて、温もりが伝わるように更に腕に力を込めた。

「死ぬ程後悔した、お前の姿を見て…!自分を殺してやりたくなった!」
「…嫌だよ兄さん…一人にしないで…っ」
「わかってる、一人になんかしないよ」
「兄さん…俺っ…」
「ライルが好きだ。逃げちまって、ごめんな」
「…っう、えぅ…兄さぁんっ…!」

やっと自身の背に回ったライルの腕に、ニールは安堵する。

なんで俺はこいつの手を振り払っちまったんだろう?
伸ばしかけていた手を握られたことが怖くて、俺は酷い理由をつけて拒絶した。

兄弟だとか同性だとか、そのことで自分がどれだけ苦しんでいたのかも忘れて

ライルの気持ちを踏みにじって傷つけた。

「ライル…愛してる。俺はもうお前を離してやれねーぞ?いいのか…?」
「…離さないで欲しい…。でも…俺は、兄さん以外と…」
「そんなこと…!俺が気にするかよっ、元はと言えば俺が悪いんだ。
ライルがライルなら…どんなライルだって大好きだ…っ!」
「にぃ…ニー…ル…」
「ライル」

怯えさせないよう、そっとそっと、ありったけの優しさと愛情を込めて唇を重ねた。

頬を伝う涙を拭うと、ライルはふわりと微笑む。

「…キスは、初めて」
「へ?」
「男とキスしたのは、ニールが初めてだよ」

甘えるように擦り寄るライルが、ニールには愛おしくてたまらなかった。
そして胸の奥底で沸々と沸き上がるのは怒りの炎。



自分自身と

ライルを嬲った男達へ向けて

















それからライルは一週間、床に臥せた。

熱は中々下がらないが、ライルを想うと病院に連れていくのはあまりに酷だ。

ニールは必死で看病し、なんとか微熱程度にまで状態が落ち着く。

「ライル、少し出掛けてくるけど…何か欲しいものはあるか?」
「プリン食べたい」
「うわ、お前まーた可愛いこと言って!」
「うるさいな!食べたくなるんだよ、ガキん頃の刷り込みだろっ」
「はいはい、買ってきてやるからな。大人しく寝てろよ?なんかあったらすぐ電話しろ」
「わかった」

ライルを寝室に残し、玄関で足を止める。
胸の内ポケットから取り出した鉄の塊を睨み、暗い炎を瞳に宿した。













「ライル!久しぶりだな、風邪をこじらせたんだって?」

久しぶりに行った大学で、ライルはクラウスに声をかけられ立ち止まる。

「あぁ、ちょっとパブで呑んだら酔っ払っちゃって…風邪引いちまった」
「おいおい……って、そうだ。一昨日だったかな?君の家の近所で発砲事件があったそうじゃないか」
「……へ?」
「知らないのか?確か、男5人…だったかな。どこからか狙撃されて重傷をおったんだよ」

ライルは目を瞬かせ、驚いた。
そういえばここ最近テレビを見ていなかったな、と記憶を辿る。

ずっと兄の腕の中で生活をしていた。

「君がうろうろしていなくてよかったよ、巻き込まれなくて本当に良かった」
「熱出して正解って?」
「はは、いや、この歳で高熱を出したんじゃ辛かったろう?よく頑張ったな」
「ちょ、頭撫でんなぁっ」
「いい子いい子!」
「うっせバーカ!ハゲ」
「まだハゲてない」
「はいはい…で、犯人は?」
「ん?いや、痕跡一つないらしくてな、捕まっていないよ」
「へー。銃弾から追えないんだ、この時代にもなって」
「まぁまだ事件発生から二日程しか経っていないからなぁ。しかも、男達が狙撃された場所が怖いぞ」
「はーん?どこ?」
「男なら誰しも大事にする場所だな」
「……………怖っ!!」

連想した結果に鳥肌が立った。
クラウスも苦笑いを浮かべる。

「余程恨みを買っていたんだろうな…レイプ犯だったんじゃないか…とか、噂が絶えない」
「……ふ〜ん」

怖い、とは思ったが、同情はしなかった。

そうだとしたらむしろざまぁみろと思う。

自分を嬲った男達も…確か五人だったような…

そこまで考えて、ライルは思いきり頭を振った。

「クラウス、講義始まるぜ」
「あ、あぁそうだな。どこに座ろうか」

脳から掻き出して消してしまいたい記憶。
いつかニールが全て溶かしてくれると信じて、忌まわしい記憶に鍵をかけた。

















「なぁ兄さん」
「んー?」
「最近さ、近所で事件があったの知ってる?」
「………んや」
「そっか、兄さんもやっぱテレビ見てなかったかー」
「お前のことで頭がいっぱいで、それどころじゃなかったよ」

頬にキスをすると、ライルはすぐに顔を赤くした。

「バカ兄貴…」
「ライルバカです」
「アホ!」
「なんとでも言えー!」
「わぁあっ」

抱きしめる両腕に、まだザワリと心が揺れる。

この両腕は、決して自分をいたぶることがないとわかっていても

信じていても

トラウマとなってしまい身体が竦んだ。

そんなライルの様子に、ニールはそっと身体を離して顔を覗き込む。

「ライル、愛してるよ」
「……うん、俺も」
「ずっと、永遠に愛してる。だから、ゆっくりやってこうな?
焦らなくていいんだ、俺はお前を手放すつもりはないからな」
「……うん」
「愛してるよ…ライル」

















熱のせいでぼやけてしまっていたライルの五感は

あの日の夜、ニールから漂った硝煙の匂いに気付くはずもなかった。













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狂気のニール兄さんの巻(万死ですよ)

終わりましたん!
ライルんちゃんと幸せにしてあげれました!!^^
兄さんはライルが大切過ぎてライルの気持ちにNOをあげたのです。
普通の幸せを掴んで欲しかったから
自分はライルへの想いを抱えたまま生きてくだろうけど
ライルは自分とは違うから、自分を忘れて幸せを掴めるって、勝手に思い込んでました。

その結果ライルは酷い目に遭いましたけどね。

兄さんの仕事はスナイパーですよ^^
殺し屋組織CBに所属してます!
でも今回は殺さなかった。CBは私怨で殺人はしないがモットーです

男達の手元にあったライル凌辱データは塵一つ残さず兄さんが消しました^^
雨降って地固まる的なお話って好き!これは土砂降りだったけど^^;


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