*聖夜*



*パラレル設定
*ニールは不定期な仕事、ライルは商社マン

許せる方のみど〜ぞ






笑顔でライルを送り出して、俺は家中の掃除を始める。

今日はクリスマス・イブだ。

ライルと二人きりの、初めてのイブ。





「よぉし、こんなもんだろ!」

綺麗になった部屋に満足し、休憩にコーヒーを煎れた。

ここからが本番だ!

買い集めた色とりどりの装飾品を袋から引っ張り出して机に広げる。



家の装飾は俺の役目

今日はライルとクリスマスパーティをする約束をしていた。











「……らいるぅ〜〜…」

夜、9時半。
定時上がりならとっくに帰って来てるはずの時間。
むしろ食事すら済ませている時間だ。

机に突っ伏して愛しい名前を呼ぶ。
携帯を何度もいじるけど、ライルからの連絡はなかった。

「あぁ…ライル…ライル…お兄ちゃんは寂しくて死んじまうぞぉ…」

携帯に入っている画像データを次から次へ展開する。全てライルの画像。
それを眺めて一人にやりと笑ってしまうほど今俺はライルに飢えてるんだ。

「ライ「兄さんごめんな!ただいま!!」

もう一度呟こうとした名前は、その持ち主の声によって掻き消される。

「家庭持ちの奴らの尻拭いで残業させられて…」
「ライル!お帰り!!」
「うわぁ!ちょ、兄さん!」

冷たい身体を思いっきり抱きしめて、首元に顔を埋め思いっきりライルの匂いを吸い込んだ。

「兄さん?」
「イブが終わっちまうかと思ったぞ」
「うん、ごめん」
「いいよ、帰ってきてくれたからな…」

ライルは困ったように笑って、俺にキスをする。
触れるだけのキスをして、すぐに離れた。

「食事は俺の担当だよな。すぐ作る、待ってて」

名残惜しいと思いつつも、ライルの手料理につられて大人しく従う。

ラフな格好に着替えて出てきたライルは、手際よく料理を作り始めた。

「兄さん、テレビでも見てなよ」
「ん〜お前を見てるからいい」
「気が散るって」
「だってなぁ、テレビよりお前のがいいしなぁ」
「……ったく、このブラコンは…」
「ブラコンの何が悪い!」
「何もかもだよ、バカ」
「酷いなぁ…ライルは…」
「はいはい、本当に気ぃ散るからリビングで待ってて!」
「わかりましたわかりました…ケチ」
「毒を仕込むぞ」

ライルのドスの利いた声に慌ててリビングに引っ込む。
つけたテレビからは、クリスマス定番の歌特集とかいうのがやっていた。

見始めてから10曲は過ぎた頃、美味しそうなシチューの匂いが漂ってくる。

俺の好物のジャガイモをたくさん入れたホワイトシチューだ。

あぁ全く、可愛いなぁライルは…

真剣にチキンにアルミを巻いている姿を盗み見てにやける。

料理をする一連の姿がなんかもうたまらなく可愛い。その上エロイ。

エプロン姿のライルに嫌らしい妄想が浮かび上がってきた時、現実に引き戻すかのように携帯が鳴った。

「ライル、携帯鳴ってる」
「んー今行く」

エプロンで手を拭きながらキッチンから出てくるライルも可愛い。

電話の相手は誰だ?
仕事先?
夜中にそれはないか…

「あ、クラウス」

ぽつりと呟いた名前から記憶を探る。

確か数ヶ月前に行った取引先の会社で会ったとか言ってた奴、か?

『やぁ、ライル』
「クラウス、なんだよ?」
『まさか出てもらえるとは思わなかった』
「?なんで?」
『なんでって…今夜の誘いを断ったから、君は今恋人と過ごしているのかと、ね』

映し出された顔を盗み見る。
誠実そうな男だ。

だがしかし、気に食わない…
今夜の誘いってなんだコラ!

「恋人はいないって言っただろ」
『そうだな…君は今…自宅か?その姿はまた、可愛いな』
「「はぁ?!」」

ライルがもう一回びっくりして俺を見てきた。
思わず声が出たんだ、許せライル。

『今…声が二重に聞こえた気が』
「あぁなんでもない、そんなんよりアンタは外か?なんで俺に電話を?」
『…君が誘われてくれたら、見せたかった場所だ。見てくれ、ライル』
「……う、わぁ…」

ライルが感嘆の声を漏らす。
もの凄く気になる、が、今顔を出しては説明が面倒だ。
初対面の奴に双子だと説明するのはもうこの29年間で飽きている。

「すごいな」
『気に入ってもらえたかい?隣でその声が聞けないのが残念だよ』
「…悪い、今俺、大切な人といるから」
『…恋人はいないと?』
「家族だよ」
『そうか、家族か…一度私も君の家族に会ってみたいな。年が明けたら挨拶でもしに行ってもいいかな?』
「いや〜それは…いいって…クラウス遠いし」
『君に会いに行くためなら、どんな遠くても私は構わないさ』
「あのなぁ」
『そうだライル、ニューイヤーパーティをしないか?私の家で、最高のもてなしをしよう』
「いいよ、悪いから」
『また君は…私のことが嫌いかい?』
「嫌いじゃない」
『私は君が好きなんだがな。誘われてはくれないのか?』
「生憎、ね」
『残念だ。どうしたら君を口説けるのか…』
「クラウスゥ、もう冗談はやめろって」
『冗談などではない。私は君を愛してる』

ライルが息を呑んだのと同時に、俺の勘忍袋の緒がキレた。

「はいちょっとごめんなさいよっ」
「うわっ」
『?!』

画面の男、クラウスが目を見開く。

「何やってんだ兄さん!」
「お前なぁ!さっきから黙って聞いてりゃライルにとんでもねーこと言いやがって!」
『兄、さん?ライルが二人…』
「あぁ、俺はライルの双子の兄だ!てめぇ俺のライルを口説くぅ?ふざけんな」
『…これは…驚いたな。はじめまして、私はクラウス・グラードといいます。ライルとは取引で』
「聞いてねぇよ、いいか!もう二度とライルにちょっかい出すなよ!」
『…お兄さん、私はライルのことを本気で』
「お兄さんとか呼ぶな!」
「ちょっと!兄っっさん!」
「ライルは黙ってろ!俺は今無性にコイツを狙い撃ちてぇ…!」
『ぜひ今度お兄さんも一緒に食事でも』
「あぁ?!」
「クラウス!兄さんを逆なですんな!」
『しかしライル、私は君を愛してるいる故に君のお兄さんにも認めてもら』
「てめぇ住所教えろ狙い撃ちに行ってやらぁぁ!」
「兄さんっっ!クラウスも!!もう!通信切るぞ!」
『待ってくれライルまだ』

プツン

ライルが通信終了ボタンを押した。
ついでに電源まで落とす。

「…はぁぁ…ややこしいことになっちまった…」
「ライル!なんだ今の奴は!」
「兄さんちょっと待ってて、俺もの凄く腹減ってんだ…先に食事にさせてくれ」

有無を言わさぬライルの瞳が俺を射抜く。

「…は、はい」

ライルはキッチンへ戻っていった。













「すっげぇ!すげぇなライル!全部うまそうだ!」
「当たり前だろ、俺が作ったんだから」

得意げに鼻を鳴らして笑うライルは子供っぽくて可愛い。

「「いただきまーす」」

見た目に偽りなく、オードブルは全部美味しかった。
他愛もない会話で笑いあいながら、平らげていく。





「はぁ〜食べた〜!ごちそーさん」
「お粗末さん」
「……じゃあ食後の紅茶でも煎れてくるよ」
「ありがと兄さん」

食べ終わったら速攻問い詰めたかったが、我慢した。
消化に悪い気もするし、何よりこの幸せな満腹感を台なしにしそうだ。

しばらく会話もそこそこに食休みをする。

紅茶を飲み終えて、一息ついた頃、俺はついに口を開いた。

「ライル、あのさ」
「わかってます」
「う」
「クラウスとは…会ったその日に気に入られて…何度か食事に行った。確かにアプローチはあった気がするけど、今日みたいに直球で言われたことはない」
「ふぅん」
「だから…びっくりした…でもちゃんと断るし、俺は…」

ライルは不安そうに俺を見詰めてくる。
ニッコリ笑って先を促してやった。

「…俺が愛してるのは兄さんだけだ」

目を伏せてポツリと呟かれた一言に、狙い撃たれる。

「っ……!」
「だから心配しなくて…兄さん?」
「ライルッ…ちょっと、ちょっとこっち来い」
「?うん」

自分の隣にライルを呼び寄せて、座ろうと屈んだところを背後のソファーに突き飛ばした。

「うあ!!」

そのままライルの身体をソファーに縫い付ける。
抗議しようと開いた口に舌を挿し入れ口中を舐め回した。

「ん、んくぅ、ぷはっ」
「ふはっ、は…ライル…」
「いきな、り…何、兄さん」
「お前が可愛過ぎた」
「……あのな」

瞼にキスをして、額を合わせてニッと笑う。

「俺も愛してるのはライルだけだ」
「兄さん…」
「…MerryChristmas…ライル」

呟くと同時に、振り子時計が低い音を響かせた。

我ながら完璧なタイミングだった。
まぐれだったけども、意外と乙女思考のライルは目を潤ませて感激している。

「兄さん、MerryChristmas」
「あぁ」
「……もっと、キスしたい」
「たくさん、いくらでも」

聖なる夜に、禁忌の俺達は罪を重ねる。

それでも、いつ咎を受けようとも

愛して求めることは止めない。





この世界にたった一人の半身を

愛して止まないこの気持ちを否定なんてできない。





「愛してるよ、ライル」
「愛してる、ニール」





例え神が敵になろうとも、ライルだけは俺が護る。

お前に愛の祝福を



ライル―













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去年のクリスマスに書いてたものです(苦笑)
もう兄さんはライルが好きで好きで堪らないといいです
クラウスが介入してきても、兄さんには敵わないよね〜^^


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