*夏祭り*
*二期後、ニール生存設定
*全マイスタ健在、沙慈とも仲良し
許せる方のみど〜ぞ
これでもかという人混みの中、はぐれないようにそっと手を繋いだ。
「あれ?ちょっと兄さん」
「ん?どーした」
「刹那達がいない」
「え、あ〜〜〜」
自分達の前と後ろにいたであろうマイスター達と、この日本の祭に招待してくれた沙慈の姿が消えている。
ライルの言葉を気にする風でもなく、ただニールはライルの手を引いて人混みを突き進んだ。
「ぶっちゃけ、撒いた」
不意に振り向きそう告げたニールを見て、ライルはぽかんと口を開く。
「……はぁ?!」
「いや〜、だってなんかお前と二人きりになりたかったんだもんよ」
「な、な、なっ…アンタなぁ!」
「悪かったって。後で刹那達には謝るからさ」
「そーゆう問題じゃないだろ!」
「あ!ライルライル、あれなんだ?射的…だって!おもしろそーじゃん、やろうぜ」
「人の話を聞けっ!」
ぐいぐいとライルを引っ張り、屋台の前に辿り着いた。
繋いでいた手を離し、ニールは不適に笑う。
「なぁ、ライル。お前どれが欲しい?」
「は?」
「お前が俺の欲しいもん、俺はお前の欲しいもんを狙ってさ、プレゼントしよーぜ。
残りの弾で当てた景品が多い方が勝ち、とかさ!」
「……あのなぁ…」
「いいだろ?なっ、モチベーション上がるじゃん!な!」
「………オーライ兄さん。でも百発百中の人間と競う気にはなれないなぁ…」
「なーに言ってんだ。俺だって初めて触る銃だと外すぜぇ?」
「…………ふぅん?」
「ま、十発中二発は外すかね」
「…それって、試し撃ちと誤差修正分だけじゃねーか」
「え?あぁ…まぁ、そうだな」
「むっかつくー」
ムスっと唇を尖らせるライルを見て、ニールは朗らかに笑った。
可愛い可愛いと言いながら頭を撫でる。
「さ、どれが欲しいんだ?ライルは」
「…そーだな………あー、じゃああのジッポ」
「うお、まーた難しげなトコきたなぁ」
「そんなこと言って、簡単に撃ち落とすくせに」
「んーなことないってぇ。オーケイ、ライル。狙い撃ってやるぜ!」
「じゃあ、兄さんはどれ?」
「そーだな……俺は…」
並んだ景品から、ツイ、と視線をライルに移した。
不意に絡んだ視線にライルは首を傾げる。
「ライル、が欲しいな」
ニッコリ、とでも擬音が浮かびそうな笑顔で言い放たれ、ライルはまたも口をぽかんと開いた。
みるみるうちに白い頬は朱に染まる。
俯いてふるふると震えるライルを見て、ニールは慌てて両手を振った。
「あっ、いや、今のナシ!嘘!ごめんな?!調子乗ってすみません!」
「……兄さん」
「はい!」
「…………いいよ、やるよ」
「………はぃ?」
睨みつけてきた翡翠の瞳と、上気した頬がまた色っぽい…などと思いニールはまた慌てて頭を振る。
「い、今なんて?」
「だーから、やるよ。欲しいんだろ?」
「う、うそ、マジで?」
「ただし、難易度上げるぜ?あのジッポ、一発目で墜としてみせて」
「……っ!よ、よっしゃ!オーケイ、ライル!」
「でも俺がつまんなくなるから、ほら兄さん。ちゃんと景品ん中からなんか欲しいモン選んでよ」
「俺二個も欲しいもん貰えるのか〜」
「今日の遊び代兄さん持ちな」
「えっ!マジで」
「俺を賭けるにしては格安サービスだと思うけど?」
「そ、そうだよな!あぁ、そうさ!なんでも買ってやるからな」
「これ終わったらアレ食べたい」
「よし、任せとけ!」
「で、何が欲しいんだよ」
「えーと、じゃあ……………あのおもちゃの手錠」
「…………………………………………」
「……あ、えと、はい、…ごめんなさい、冗談です。あれ、あの写真立て!」
「りょーかい」
二人は店主から銃の扱い方を聞き、銃をいじくった。
ニールは丹念に、ライルは適当に。
「よし、狙い撃つ…!」
ピンと張り詰めたニールの空気に、ライルは目を奪われた。
ライルに限らず、店主や見物客も息を呑む。
ぴったりとジッポに定まった銃口から、コルクが勢いよく飛び出した。
「っ…!」
ジッポに命中したコルクが弾け、衝撃でゆっくりとジッポが後ろに傾く。
ボスっと音を立ててジッポは下に落ちた。
「よっしゃ」
ニールの呟きを皮切りに、周りが騒然とする。
「やったぜライル!一発目!」
「す、げ…やっぱ兄さんて凄いな」
「へへー、ライルのためならな!」
「…恥ずかしいこと言ってんなよ」
ライルは照れをごまかすように、ニールが指定した景品へと銃口を定める。
見物客達はまたも静まり返り、先程神業を披露した男と瓜二つの男を見詰めた。
「っ…」
ライルは心の中で言う。
ロックオン・ストラトスの決め台詞。
コルクは写真立ての端に当たり、跳ねた。
「ちっ」
最初から一発目で墜とせるとは思っていない。
でも周りの溜息や、つまらなそうな声にライルは苛ついた。
二発目は写真立ての真ん中に当たり、崖っぷちまで追いやる。
「次で決まるな」
ニールは呟いた。
そして三発目、景品はボスンと下に墜ちて行く。
「…ほら、取ったぜ」
「ん!ありがとなライル!」
ざわつく見物客は、ライルにも賞賛の声を送っていた。
「なんで手錠墜としてんだアンタはっ!」
10個の景品を抱え、その中の一つ、手錠を楽しげに見詰めるニールにライルは怒鳴る。
「え?えへっ」
「没収だ!」
「嫌だね!」
「コラ!兄さん!」
「なにもお前に使おうなんて思ってねーよぅ!今は」
「いっ…?!誰が使わせるかぁ!!」
ニールの手から手錠を奪い取った。
代わりにネコのぬいぐるみを押し付ける。
「ライル〜、使わねーからさぁ」
「保証がないね。これは永久没収だっ」
「そんなぁ」
ライルの腕の中には、ジッポを抜かし、7個の景品があった。
ライルはもちろんニールに負けたのだ。
「チッ、あの後一発しか外さないなんて…。アンタはホント、スナイパーの鑑だよ」
「さんきゅーライル♪」
「…………嫌味すら通じねーし」
「ラーイルッ」
「なんだよ」
「手!」
「………ヤダ」
「ダメだ!お前は俺のなんだから、言うこと聞きなさい」
「っ…アンタなぁっ」
サッと左手をとられ、ニールはあろうことか恋人繋ぎをする。
「ちょ、これはさすがにっ…ないだろ!」
「誰も気付かねーよ、こんな人混みじゃあ」
「気付いたらどーすんだ」
「どーもしないって」
「…〜〜っ…俺の精神面に考慮してくれよ…」
ニールはからからと笑い、うなだれるライルの手を引いて人混みから離れた。
森を突き進み、ライルの問い掛けには生返事を返す。
「なぁっ、兄さん!」
「着いた!」
「はへ?」
森を抜けたらそこは、崖っぷち。
その下には大人数の見物客がひしめいていた。
「穴場だぜ、ライル」
「……あ、花火!」
「そう!」
合点がいくと同時に、轟音が鳴り響く。
ライルは唖然と空を見上げた。
「……すげー…」
「日本の花火ってのは、ホントに凄いんだな」
「きれー…」
翡翠の瞳に、色とりどりの火の花が咲き乱れる。
二人は無意識にお互いの手をキツく握っていた。
「……アイツラ、連れてこなくて良かったの?」
「……う〜ん、また来年、な」
「そっか、また来年ね…」
フィナーレが始まる。
間髪入れずに花火が上がり、空はただひたすら明るい。
ニールは花火を見上げるライルの顎を取り、キスをした。
「――っ!」
ハートの形の花火が咲き乱れ、最後に大輪の花火が上がる。
辺りが静まり返ってから、ニールは唇を離した。
「……1番スゲーの、見逃した…」
「ハハッ!また来年、な!」
「……バーカ」
手を握り直し、人混みの中に舞い戻る。
すぐに刹那達に見付かり、二人っきりの時間は終わりを告げた。
(ほら刹那、これやるよ)
(なんだコレは?)
(あ〜、恐竜の置物?)
(ティエリアにはこれな)
(ぬいぐるみなど…貰っても…しかし、ニールからのプレゼント…っ)
(アレルヤ、パズルとか好きか〜?やるよ)
(え、あ、はい。ありがとうございます)
(沙慈くんにはこれやるよ!)
(へっ?)
(おもちゃの手錠)
(あああ?!ライル!それ俺!)
(ダメ!兄さんにこんな物騒なモン持たせられっか!)
(酷い!俺が墜としたのに!)
(ほら沙慈くん!早くしまっちゃって!)
(えええ?あの、僕もいらな…)
(はい!しまうー!)
(ちょ、ちょっとー!)
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夏は萌えネタの宝庫だと思います!!!(真顔)
沙慈とマイスタを絡めるのは、割りと好き。だって沙慈可愛いんだもん!
あ、屋台の前で二人は英語で話しているので、店主や客は??って感じですよ!(笑)