*I believe …5



*パラレル設定
*ニルライ、刹ライ
*おまけ的後日談
許せる方のみど〜ぞ






「そういえば、昼間どこ行ってたんだ?」

夕飯中、唐突に問われニールは瞬く。
持ち上げていたスプーンを皿に戻し、思い出したように顔を上げた。

「……ああ〜、うん。あのな、家具屋行ってた」
「…家具屋ぁ?」
「そう、ベッド見に」
「…ベッドぉ?」

ライルは意味がわからないと肩を竦める。

「お前のベッド、捨てて新しいのにしようと思って」
「え…」
「気持ち悪いだろ、他人寝かせたベッドなんて」
「…………ぁ、あぁ…そうだけど」
「…まぁ、見に行ってから気付いたんだけど、あの時点ではまだお前が戻ってきてくれるってわかってなかったんだよな」
「…兄さん」
「途中で止めて帰ってきた、そしたら…ライルがいてくれた」

嬉しそうに、幸せそうにニールが微笑む。
つられてライルも微笑んだ。

「じゃあ、明日一緒に見に行こうぜ」
「う、い、一緒にか?」
「なんだよ、嫌?」
「いや、むしろ嬉しいんだけど…やけに積極的じゃないか?」
「…俺、これからはちゃんと、愛情表現しようと思って」
「ライル…」
「もうこんな悲しいすれ違いしたくねーし」
「っ、だよな!よし、俺もどんどん愛情表現するからな!」
「え、いいよ兄さんは…」
「なんで?!」
「今のままで充分暑っ苦しいから」
「お、お前なぁ!」

声を裏返させて抗議してくるニールに、ライルは声を上げて笑った。









「今度はこれ、自然素材ーとかいうのにしてみる?」

家具屋で二人、ベッドコーナーをうろうろ。
他の客や店員に不思議そうに見られていることに気付いたライルは、段々恥ずかしくなってきていた。

『一緒に行くなんて言わなきゃ良かった…!』
「ライル?どした?」
「……なんでも…」

一人でいたって目立つ容姿なのに、そんな容姿が二人分もあれば自然と目を引く。
しかもココは家具屋の、ベッドコーナーで。

「…に、兄さん、早く決めて出よう」
「えー、なんで」
「〜〜っ、アンタほんと図太い神経してんなっ」
「はぁ?」

不思議顔のニールをよそに、ライルは頭痛と戦っていた。
深く溜息をついてから顔を上げると、ふいに視界に入った男女の姿。

大きなベッドの前で、幸せそうに寄り添って話していた。

「…………ぁ」
「ライルー?どうしたんだよさっきから」

ニールを見て、ライルはニヤリと笑う。
その顔はいかにもイイコト思いつきましたーという顔で。
悪戯っ子のようなその顔にニールは息を呑んだ。

こんな顔をする時のライルは、自分より大胆になる。

「ら、らいるちゃん?」
「ちゃん付けんな」

ズビシと額にチョップが決まり、痛がるニールを引っ張ってベッドの前に立った。

目の前には、枕が二つ並ぶ、大きなふかふかのベッド。

「……え、と?」
「どうせなら、コレにしよーぜ。兄さんのも捨ててさ」
「………はぁ?!」
「部屋入るよな、ダブルだし。あー、ドアがキツイか?うーんどうしよっか、一度ドアもぶっ壊して…」
「ままま待て待てライル」
「なんだよ」

どうやらライルは本気らしい。
双子だからか、付き合いが長いからか、ライルが真剣なのはすぐにわかった。

『こいつホント…たまに突拍子もないよなー…』

ベッドの寝心地や座り心地を確かめているライルを見下ろし、溜息をつく。

「使い心地はどーですか?」
「ん、いい感じ!ふかふかだし!」
「よし、じゃあ決まりな」
「…なに、さっきまで渋ってたくせに」
「ライルの愛情表現に胸を打たれたんだよ」
「ッッ!なっ…」

真っ赤になるライルを置いて、店員を呼びに行く。
頬が緩むのを、引き締めるなんてことは出来ないまま。









ライルのドアを壊すという案はやんわりと却下し、多少金額は上がるが部屋の中でベッドを組み立ててもらうというサービスに落ち着いた。

そして業者が家を訪ねてきたその日。
ライルはトイレに閉じ篭りたくなるほどの恥ずかしさに気付く。

二人暮らしの家に、ダブルベッドなど

俺達は双子のホモです!

と、公言しているようなものだ。

「………死にたい」
「どしたライル、お前が決めたんだぞー、あのベッド」
「言うなっ!!」

まだこの国では同性愛は認められていない。
ましてや血の繋がった兄弟だ。

それでも、昔に比べれば同性愛者に対する偏見は厳しいものではなかった。

業者の人達は二人をあまり気にしないように黙々と作業を進める。

「…はぁ、なに血迷ったんだろ俺…」
「お前は結構後先考えないもんなー」
「うっさいな…」

作業を終え、笑顔で帰って行く業者の人達を複雑な気持ちで見送り、やっと肩の力を抜いた。

「疲れた顔してんなー」
「やっぱ兄さんは図太いよ…」
「はは、さぁて、昼飯にすっか!」
「…あぁ」




ダブルベッドで眠る初めての夜は、ただ抱き合うだけだった。














「…てな、ワケで。………悪かったな、刹那」
「いや、気にしていない」

駅前のカフェで深く頭を下げるライルと、背筋をピンと伸ばしている刹那。
昼下がりのカフェには似つかない光景だった。

「…ほんと、ごめんな。アホみたいな事に巻き込んじまって…」
「気にするな、それよりお前達が仲直りして良かった」
「サンキュ、刹那」

ライルはふわりと笑う。
刹那も同じように微笑んだ。

「しかし、ニールも思いきったことをしたな」
「な!だよなぁ?!普通やんないよな!」
「あぁ、アイツは昔からたまにぶっ飛んだことをする奴だった」
「へー…」
「あぁいう出来た奴程、思い込んだりキレたら怖いんだ」
「だよな、兄さんたまに怖いよなー。子供の頃からなんだぜ、ガキ大将にいきなり殴りかかったり」

最愛の兄のことを語れるのが嬉しいのか、ライルはほくほくと笑う。

「でも今回のはちょっとやり過ぎだよな。さすがに傷付いた…」
「反省してるんだろ?」
「あぁ、そりゃもう。土下座してくれたし」
「……土下座…」
「なんだよその目は!させたワケじゃない、したんだ、兄さんが」
「…そうか」

ライルは頬杖をつき、じっと刹那を見詰めた。

「…なぁ刹那、俺、刹那がいてくれて助かった。あの時縋れるものがなかったら俺、きっとおかしくなってたよ」
「ライル…」
「刹那が抱きしめてくれたから、俺は兄さんと仲直りできたんだと思う」
「……俺は、なにもしてない」
「はは、謙虚だよなアンタ。……ありがとう、本当に」

刹那はそっと目を伏せ、ポツリと呟いた。

「俺は…お前が好きだった」
「………え?」
「ライルのことが、好きだ」

上げられた赤い瞳は、悲しみに歪んでいる。
ライルは息を呑んだ。

「っ…あ、」
「言わないつもりだった…すまない」
「あ、あの…俺、酷いこと…した…」
「お前は悪くない。気付いたのはお前が寝た後だ」
「でも、そんな」
「…最初から、淡い想いはあったと思う。お前の寄り処になれたのが嬉しかった」
「…刹那、ごめん、俺…」

ゆっくり首を振り、ライルに微笑みかける。

「お前は悪くない。俺は、ニールといる時のお前の幸せそうな笑顔が好きだ。だからいいんだ」
「っ…せつな」

泣き出しそうな顔をしたライルの手をそっと握った。

「俺は、心の底からお前の幸福を祈ることが出来る。だからこの気持ちは恋情ではなく、愛情なんだ。愛してる、ライル」
「…むずか、し…こと、言うなよ…」
「すまない」
「謝んなよ…」
「………これからも、お前の寄り処でありたい。いいか?ライル」

ライルは何度も頷く。

「…ありがとう」
「ッ…りが、と、せつなっ」
「…出るぞ、人目が気になる」
「う、ぇ?」

慌てて顔を上げると、何人かと目が合った。
刹那はみるみるうちに赤面していくライルの手を取って席を立つ。







「最近恥ずかしい思いばっかしてる…」
「そうなのか?」
「う〜〜〜…最悪だぜ」

言いながらライルは手を刹那に手を差し出した。

「…?なんだ?」
「握手。これからもよろしく刹那」


ニッと笑う。
刹那はライルの手を強く握った。

「あぁ、よろしく頼む」

















「どーした、ライル?」
「ん〜〜〜…」

帰ってくるなりしがみついてきたライルに戸惑いながらも、優しくその頭を撫でる。

「なんかあったのか?」
「……にーさん…スキ」
「…は、えぇっ?!」
「もー浮気すんなよ」
「うっ…ぐ…まだ謝り足りねーか…」

そりゃ足りないよなぁ、なんて呟きうなだれた。
ライルはニールの頭を撫でる。

「違う、今度は約束」
「約束?」
「そ、俺は兄さんを信じるから、ちゃんと約束しろよ」
「……ライル」
「俺は絶対兄さんを裏切らない」
「…あぁ、俺も絶対ライルを裏切らないよ」

見詰め合い、二人同時に囁いた。

「「愛してる」」





そしてふにゃりと笑い、抱き合う。







信じてるよ!













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暗雲漂うニルライ長編もどき!!!ついに最終回を迎えました!!^^
刹那とも上手くいきました^^

今後は刹那とニールが結託して刹ニルライ3Pな関係になってもよし…^^
とにかくね、仲直りに一緒にベッド見に行く二人が書きたかった!
んでダブルベッド買って毎晩同じ布団でくっついて寝るニルライが可愛い!!
刹那も加わればキングサイズに買い換えるよ(笑)

お付き合いいただきありがとうございました!!
いい勉強になりました^^;


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