*X,mas*



*現パロ
*家族は事故で他界、双子二人暮らし(出来上がってます)


シンと冷たい朝の空気。

いくら遅い時間に寝ても、いつも決まった時間に目が覚めてしまう。
壁に掛けられた時計は午前6時を指していた。

「…んー…起きるべきか…」

天井を見上げたままぽつりと呟く。
そっと隣に目をやると、布団から少しはみ出た栗色の髪の毛が見えた。

『くく、寒がり』

すっぽりと布団の中に入った愛しい片割れ。
クリスマスイブにかこつけて散々愛し合ったためか、いつにも増して微動だにしない。

今布団から出たら、寒さで目を覚ましてしまうかもしれない。
それは可哀想だなと思って起きるのは止めにした。

『かと言って、二度寝な気分じゃねーなぁ』

暖房はしっかりついてはいるが二人とも全裸な状況。
目覚めてしまった身体はじわじわと寒さを自覚し始めた。

『雪、積もってんな。起きたら雪かきしねーと』

寒がりの片割れは絶対に手伝わないから、中々な重労働が自分を待っている。
冷えた身体でわざとあったかいライルの身体を抱き締めるのがご褒美だった。
わいわい文句を言いながらも、お互いの体温が同じになるまで抱き締められていてくれる。

それからライルが淹れた紅茶で芯まであったまって、しばらく二人でのんびりするんだ。

寒い朝、布団の中で立てる一日の計画はなんて穏やかで幸せで、素晴らしいんだろう。

それに今日はクリスマス。
いつもと違う食卓も楽しみだ。
ケーキに、七面鳥、たくさんのご馳走。

シャンパンでの乾杯は、明日が平日ということで一杯に留める約束をした。
その分昨日散々呑んだし。

『そか、アルコールも入ってんじゃあ、まだまだ起きねーな』

そっと布団をめくり、縮こまるライルの頭を撫でる。

『…俺の下であんなやらしい顔してたくせに、なんつーあどけない顔して寝てんだよ…。可愛過ぎるだろ!』

もっと触りたくなってきて、髪をかきあげ首筋を撫でた。
ぴくりと反応してますます丸まってしまう。
その仕草が猫みたいで可愛い。

「…らいるー」

小さな声で呼んでみるも、ライルは寝息を立てたままだ。
起こすのは可哀想だが、起きて欲しいとも思う。

髪の間から覗く耳に唇を寄せ、軽くキスをした。

「…ん」

唇から逃げるように顔を枕に埋めてしまう。
無意識のその行動は子供っぽくて可愛い。

そんな可愛い態度ばっかとられると、もっと弄りたくなるだろう。

にやけ顔を直しもせずにライルのうなじに唇を寄せた。
さすがに耳より鈍い部分なのか、ライルの反応はない。

調子に乗って何度もキスをし、しまいにはうなじに舌を這わせた。

「うー…」
「おっと」

さすがに違和感があったらしく、ライルは嫌々と首を振る。
やはり起こすのは可哀想だと、弄るのをやめた。


なんだかんだで目覚めてから一時間近く。
空腹を訴えてきた腹に、起きる覚悟を決めた。

家中を暖めておかないといけないし、朝食も作らないといけない。

そっとなるべく空気を入れないようにベッドから這い出る。

「さみぃっ」

ベッドの下に落ちていた衣服を慌てて纏い、極寒の廊下に出た。

「凍る!」

わっさわっさと身体を動かしながらリビングに入り、暖房を入れる。
すぐさま踵を返して浴室へダッシュした。





「ラーイル!メリークリスマス!」
「うぅっ」

毛布の上から抱き締め、遠慮なしに首筋やら耳やら肩やらにキスをしまくる。
逃れようともがくライルをがっしりとホールドしてキスの雨を降らせれば、10分ほどでライルは目を覚ます。

「〜っ、やめ、にいさんっ」
「朝だぞ、起きろっ」
「わーた、から、うざ…」

もそりとこちらを向いた眠たげな瞳。
瞼にキスをして、最後に口端にキスをして開放してやった。

「おはよ、ライル」
「ん、おはよ兄さん」






熱いシャワーを浴びて、身支度を整えればスッキリする。
目覚めは多少うざったいものだが、それからは至れり尽くせりだ。

暖かい室内に、暖かい朝食。
なによりもあったかい兄さんの笑顔と声で、今日もまた幸せな一日が始まる。




「んじゃ、雪かきしてくっか!」
「いってら」
「だぁよなぁー…」

兄を送り出して、俺は洗い物なんかを始めるのも、この冬定番だ。
水は冷たいがひたすら雪を相手に腰を痛め付けるよりはマシなわけで。
そもそも昨晩の兄のせいで腰が怠くて仕方ない。

掃除機をかけながら外を見ると、ご近所の人と楽しそうに会話をしながら雪かきをする兄を見付ける。

『ほんと、人当たりいいよな』

この風景に嫉妬するのはもうとっくの昔に疲れたので、普通の感想しか抱かなくなった。

それにあの人は、外から室内に戻れば、もう俺しか見えなくなる。




「冷てぇ!ばか!」
「んーライルあったけー!」
「冷えるだろ、離れろよ」
「やだね」

冷たい頬をくっつけて猫みたいに懐く兄の頭を軽く叩きながら、そのままにしておいた。
体温が同じになれば、兄はそっと体を離して笑うんだ。

「サンキュ、ライル」
「たく、茶淹れるから、座ってろ」









町中に溢れるイルミネーションと、クリスマスソング。
ご近所の家々は小さい子どももいるため、これでもかとイルミネーションで飾っていた。

それらに囲まれて質素な飾り付けの我が家。
アラサーの男二人暮らしならしょうがないだろう。
リビングは一応精一杯の飾り付けで賑かだし。

「んー幸せだなぁー」
「そーね」
「こーゆう一年のイベントごとにさ、幸せだなって感じられるのは、本当に幸せなことだよな」
「何回幸せって言うんだよアンタ」
「何度でも言うさ!つか、ライルがいてくれりゃ毎日が幸せなんだけどな!」
「…あそ」
「お、ライル、耳赤いぞー?」
「酒飲んだからな!」

毎年変わらないクリスマスの光景。
二人きりのクリスマスは、どうしたってふとした瞬間に寂しくなるけれど。

「……兄さん、俺も幸せだ。メリークリスマス」
「…!おう!メリークリスマス、ライル!」

ライルが
ニールが

ずっと傍にいてくれるなら、大丈夫。
ずっと、幸せ。








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素敵企画にお誘いありがとうございました!

兄さんはイベントごと大好きで、毎年何かしらライルとイベントを過ごせるのが楽しくて仕方ないです。
付き合ってるライルもライルで、幸せそうな兄さんを見ると幸せになります^^

メリークリスマス!