*False love Genuine love*
天宮蒼葵様に捧げます
*パラレル設定
*ライル死ネタ注意
*ヒューマノイドライルと、造った兄さん
*色々な設定があやふやなのでサラッと流して下さいww
許せる方のみど〜ぞ
14の時に両親と妹を事故で失った。
その悲しみを、残されたたった一人の家族、双子の弟と乗り越えてきた。
二人寄り添って、愛し合って。
幸せになれたのに。
なんで――――
「はい、ディランディです」
一本の電話が、淡々と語られた事実が、いとも簡単に幸せを崩していく。
その場に膝をつき、ただ呆然と相槌を打った。
ライルが、死んだ―――。
“ヒトの細胞から、人為的にヒトを創り出す”ここはその研究者、技術者達の研究所、俺の職場だ。
身体の一部を失った者に、人為的に創り出した部品を提供したり
実験用や手術練習用などの人体を提供する。
俺は家族の死をキッカケに、この職業に就いた。
「……出来た…」
研究所の、自分だけに与えられた研究室。
ほの暗いその部屋で、ベッドに横たわるヒトを見下ろし呟いた。
「やっとだ、やっとまたお前と暮らせるな」
ぐったりとしたその身体は、脳以外はれっきとした人間の細胞で出来ている。
それも俺の細胞から、なんて完璧なんだろう!
栗色の柔らかい髪も、碧の瞳も、全部“本物”そのものだ。
服を着させ、髪を整え、膝に乗せ呼び掛ける。
「ライル、おはよう」
起動スイッチである俺の声と言葉に、ライルの睫毛が震えた。
一秒さえもたまらなく焦れる。
ゆっくりと開いた瞳が、二、三度瞬きをしてからこちらを向いた。
「…にいさん」
発せられた声も、記憶と違わないライルの声。
たまらず俺はライルをかき抱いた。
「ライル!ライルッ!」
「苦し、ちょ、兄さん」
“ライル”として、俺が持てる全ての技術を注ぎ造り上げたヒューマイノド。
脳であるプログラムにはライルの全てが詰まっている。
ライルの性格、俺の知り得る限りのライルの記憶、今後に都合の悪いことは全て嘘で塗り替えて。
「ああ、ライル!やっとまたお前と暮らせる!」
「…ごめんな、独りにしてて…」
“ライル”には、事故に遭って暫く寝たきりになっていたという嘘の記憶をプログラミングした。
「いいんだよ、お前が帰ってきてくれたんだ…それだけで、いい」
ライルは帰ってきたんだ。
「兄さん、コーヒー」
「おう、サンキュー」
疲れて帰れば、今までと変わらずライルが出迎えてくれる。
今までと違うのは、ライルが常に家にいることくらいだ。
本当は職場にだって連れて行きたいけど、個人利用目的でのヒューマイノド所持は法律で禁止されている。
研究所の連中を騙すのだって骨が折れた。
「あ〜〜も、本当疲れる…ライル〜〜」
コーヒーをローテーブルに置きライルに手を伸ばせば、苦笑しながら膝に乗ってくれた。
「お疲れさん。飯にしようぜ」
「んーまだだめ。充電中だからな」
「飯食ってからでもいいだろ?」
「だめ。キスー」
「あーも、はいはい…」
口を塞いで、舌を絡めて、震える睫毛を間近で眺めて満足する。
「…っん、は…」
ピリ、と脳が焼けるみたいな感覚を覚えた。
多分それは、強烈な違和感だ。
ライルはキスの後、注意しないとわからないくらいの舌舐めずりをする。
「…ライル」
「ん?なんだよ兄さん、変な顔して。もう満足だろ?飯の仕度する」
「あぁ…」
素っ気なく俺から離れていく姿は、いつもと変わらない。
それに安心して、俺も部屋着に着替えるべく自室に戻った。
日常の中の、ほんの些細な違和感が積み重なって行くのに、そんなに時間はかからなかった――。
「ライル、なにしてんだ?」
「え?何が?」
風呂上がり、ソファーでくつろぐライルの髪を乾かし終えた後に気付いた違和感。
「何って…」
そっと唇に親指を当てる仕種。
そんな仕種、ライルはしなかった。
いや、似たような仕種はしていた。
煙草を消した後に、軽く人差し指で唇を拭うんだ。
それが口寂しいように見えて、いつもキスを仕掛けていたっけ―。
「…なんでもねぇよ」
「変なヤツだなぁ」
「そう言うなって」
胸のざわめきを振り払うようにライルに無理矢理キスをする。
びっくりしたライルが暴れるのはいつものことで、それもすぐに治まって舌を絡ませてきた。
「ん、ん、ふっ…」
「…ん、らいる…」
「はぁ…っ、に、さ…」
ライルが不意に、顔にかかった髪を耳にかける。
それを見た瞬間、違和感が脳を焼いた。
「…違う」
「え?」
「ライルはそんなことしない」
「兄さん…?」
「…………なんでも、ねぇよ」
気分が悪い。
俺はライルに背を向け自室に戻った。
それからの展開は速かった。
積み重った違和感が俺を不快にさせ、“ライル”をライルとして見れなくなっていく。
俺がいつも造っている、“ヒューマノイド”。
容姿も、記憶も、ライルとして完璧なはずだ。
なのに何故こんなにも違和感が付き纏う?
「兄さん…最近調子悪ィみたいだけど…なんかあったのか?」
「ん?んー…別に」
「…仕事で失敗したか?アンタにしたら珍しいことかもしんねーけど、失敗なんて普通だぞ」
ライルは一生懸命俺を元気つけようと喋る。
そうだな、俺が元気ないとやたら饒舌になるんだよなお前さん。
いつもは素っ気なくて、話しかけても生返事しかしないくせに。
「な、兄さん、ビールでも飲もーぜ。明日休みだろ」
「…いや、やめとく」
「……そか」
しょげたライルに少し胸が痛むが、どうしても拭えない違和感が俺の動きを止める。
このままじゃいけねぇなぁ、なんて考えていたところで、頬に感じた感触に驚いて顔を上げる。
「…ラ、イル?」
「っ、元気出せよなっ」
ライルが、俺の頬にキスをした。
顔を真っ赤にして、逃げるように踵を返す。
「…ちが…う、だろ…」
「ぅわっ」
ライルの腕を掴み、引き寄せた。
あまりにも力が入り過ぎていたのか、ライルは顔を歪め「痛ぇ」と呟く。
「兄さっ…離せよ!痛ぇ!」
「なんなんだよ…?そんなことしねーだろ!」
「え、」
「ライルは!そんなことしないだろ!」
爆発だった。
積み重なった違和感が、もう完全にコレをヒューマノイドと見なしていた。
だってそのキスは、俺がライルにしてたものだろ?
「お前は出来損ないだ」
「な、に…言ってんだ?」
「お前さんは俺が造ったヒューマノイドなんだよ。今まで気付かずにのうのうと暮らしてなぁ?お前は、ライルの代わりだ」
「……変な冗談、やめろよな…趣味悪ぃ…」
「この頭ん中には機械が入ってる。お前の全てはプログラムで出来てんだよ」
「嘘だっ…」
「……ライルは死んだ。事故で。俺は認めなかった…だからお前を造ったんだ」
「やめろよ!」
俺は、最後の一言を発した。
「お前みたいな出来損ないは、もういらない」
ライルの瞳が大きく見開かれる。
手を振り払うように離し、その場にライルを残して去った。
今はとにかくコイツといたくない。
これからのことは明日考えようと、俺はゆっくり瞳を閉じた。
そして、翌日からライルの姿を見なくなった。
人気のない家。
静かになった部屋。
一人で出歩かれては困るから初日はライルを探したが、どうやら自室に篭っているようで、その後はもう放っておくことにした。
仕事に行き、仕事をして、帰宅して、一人きりで食事をとる。
ライルを造っていた時と同じだ。
数日が経ち、不意に虚しさが込み上げてくる。
「……アイツ、飯食ってないよな…」
ポツリと、一人きりのリビングで呟いた。
ライルは脳の代わりの機械が詰まっているだけで、後は人間の身体だ。
人間のように生活しなければ衰弱だってしていく。
「……ライル…」
思い出すことはヒューマノイドのライルのことばかりだ。
目覚めてくれた時の喜び、「兄さん」と呼んでくれた嬉しさ。
いつもアイツは、ライルとして俺の傍にいてくれた。
俺が望むままに、ライルとして生きてくれている。
「っ…ライルッ…」
“ライル”と暮らしていくうちに、いつの間にか俺はライルの死を受け入れていたんだ。
“ライル”と生きていきたい。
ライルの死を受け止め、“ライル”と共に。
「ライル」
ライルの部屋の前、ライルに呼び掛ける。
反応がないのなんて覚悟していたから、めげずに何度も何度も呼んだ。
「なぁ、ライル。聞いて欲しいんだ」
扉に手の平と額をあて、目を閉じる。
届くように願いを篭めて。
「……ごめんな…。俺、酷いこと言ったな。許して欲しいとは言わねぇよ。ただ、もう一度チャンスが欲しいんだ」
瞳を、開く。
「俺にはお前が必要だ。ライルの死の悲しみを、分かち合ってくれるお前が。俺は弱いから、一人じゃダメなんだよ…情けねぇけどな…」
届け、届け。
「ライル、俺の傍で、一緒に、生きてくれ」
しばしの沈黙。
そっと扉を離れ、泣きそうな気持ちで扉を見詰めた。
そして、ゆっくりとその扉は開いた。
「…ライル」
痩せて、生気を失った姿を見て胸が痛む。
今すぐにでも抱きしめたかったがそれを堪え、ライルの言葉を待った。
「……ぉ、れは…」
「あぁ」
「…………俺、は…ニールの…ニールが望む、本物には………なれない………」
「あぁ…」
ライルの瞳からポロポロと涙が溢れ落ちていく。
「…っ、け、どっ…だけどっ…!ニールが好きだっ…!」
泣き叫ぶように言われた言葉をキッカケに、俺はライルの身体を強く抱き締めていた。
「ライル!ライル、ライルッ…!ごめんな、俺も、お前が好きだ!」
「にいさっ…ぅ、く…」
お互いの嗚咽を飲み込むようにキスを交わす。
泣きながら交わすキスはなんても拙くて、唇を離した後二人して笑った。
傍にいて、ずっと傍に。
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天宮蒼葵様に捧げます!!!
本人様に限りお持ち帰り自由です。
テーマは“ライルを事故で亡くした兄さんとヒューマノイドライル”です!
完成がだいぶ遅くなってしまいすみませんでした!;
いやぁもうノリノリで書きました(笑)
あんまりライル出てこない兄さんのお話でしたね。
久々で新鮮な気分で兄さん書けて楽しかったです!^^
ヒューマノイドとか科学技術とか設定がもう苦手分野過ぎたので
さらさらっと流して書きました…^^;
矛盾とかナニコレとか見つけても生暖かい目で見逃して下さい(^q^)
リクエストありがとうございました!
凄く楽しく書かせていただきました^^
わかりやすいシュチュ説明ありがとうございました!^^
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